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凡人が英雄になるたった2つの方法  作者: youko
第1章 見習い
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第3話「冒険の始まり」

「うぁぁぁぁぁ!」

 俺が何故叫んでいるのかというと…今、まさに俺が母親の股から出てきているからだ!

 ここが我が家なのだろうか?まるで家畜小屋のようだ。

 汚くて臭くて狭い。

 どう見ても遅れた文化だ。


「すみません!」

 直接頭に声が響いてくる。

「その声は、オオノさん?」

「はい、そうです!」

「どうされました?」

「あなたが英雄と成られるための特典を忘れていました」

「あ。そういえば、英雄になりたいって願いでしたね」自分でも忘れてたよ。

「では、この中からお選びください」

 ・筋力上昇

 ・体力上昇

 ・知力上昇

 ・頑強上昇

 ・器用上昇

 ・魔力上昇

 ・運上昇

 ・経験値上昇

「うほっ。魔力があるってことは魔法ありの世界なのか…。やっぱり運ってパラメーターがあるんだ。俺って運が低かったんだろうな…オオノさん!では、オーソドックスに経験値上昇でお願いします」

「承知いたしました。では、そのようにしておきます。では」






 気が付けば俺は5歳になっていた。

 ちゃんと0歳から5歳までも記憶もあるので、意識が飛んだわけでもないのだろう。

 いつの間にか5歳になっていた。


 で、この世界の文明はかなり遅れている。

 基本的に成人となるのは15歳からだが、様々な事情によりそれ以下でも成人となる人もいる。

 例えば、身分の高い家の場合、家主が早くに亡くなった時、長男が10歳くらいでも成人とみなされ新しい家主となる。逆か…家主となるために成人するのか。

 

 ところで、我が家はそんな良いところの家ではなく、そこら辺の百姓である。

 女神オオノさんから聞いた通り、モンスターがいるらしく、人間は固まって慎ましく生活をしている。

 食料は粟を中心に食べ、お祝いの時には米を食べる。はっきり言って粟は不味い。


「今日からヒコも労働力よ、しっかりお食べ」

 母親がそう言って俺にお米を食べさせてくれる。

 5歳の俺が労働力?


 そう。この世界では5歳にもなれば労働力とカウントされる。

 農家の手伝いをする者もいれば、どこかの商人の家に見習いに出される者もいる。

 5歳という物心ついて間もない内から、人生の選択肢を迫られるのだ。

「ヒコは何になるんだい?」

 父親がそう言って、おかずの野菜を俺のお米の上に置いてくれた。

「はい。冒険者になろうと思います」

 そりゃ、これ一択でしょ。

「うちでは初めてだな。わかった。では父さんの知り合いに何人か冒険者がいる。明日、紹介しよう」

「ありがとうございます」





 翌日、俺は父に連れられ、村はずれの家に連れて行かれた。 

「イワさん、久しぶり。その子が?」

「ああ。頼んだよ」

「では、ヒコ、この人がこの村で冒険者をやっているツメさんだ。ツメさんの言うことを聞いて立派な冒険者になりなさい」

「はい!」

 ツメさんという冒険者は、40歳くらいのおばさんだった。


「じゃあ、これを」

 そう言って、ツメさんは父に米俵一つを渡した。

 なんだか、親に米一俵で売られたかと思うと、ちょっとショックな気分だな…


 父は黙って米俵を肩に担ぎ家に帰って行った。


「ヒコってんだね?」

「はい!」

「冒険者ってのは、モンスターを狩ってなんぼだよ。うちにはあんたみたいな見習いが15人いるんだ。いいね?自分でダンジョンに入って自分で稼いでくるんだよ?」

「はい!」

 マジか!冒険者のイロハを教えてくれるもんだと思ってたよ!ばばあ!

「ほう。いい返事だね。この銅のナイフをやるよ。それに仲間もね」

 おお。風向きが変わってきた。

「イリビ!アナト!出ておいで!」

「「はーい」」

「ヒコ、二人の紹介はいらないね?イリビ、アナト、今日からこのヒコともパーティに入ってもらうよ」

「「はーい」」



「では、ツメ様。早速、ダンジョンに行ってきます」

「あら。あんたって子は物分かりが早いのね。普通の子は泣いたり親の後を追いかけたりするのに…あんた冒険者の才能があるかもね。イリビ、アナト、あなたたちツイてるわね」

「「はーい」」


「で、では、改めて、行ってきます」

「「いってきまーす」」




 ダンジョンに向かう道中…

「ヒコ、あんたモンスターと戦ったことあるの?」

 そう質問してきたのは、おかっぱ頭のイリビだ。

 イリビもアナトも、どこからどう見ても幼女であるが、イリビはとにかく幼い。

 こんな幼女をモンスターと戦わせるなんて、この正解は狂ってる。

「ないよ。今日が初めてだね」

 モンスターを見たこともない。


「えー大丈夫?うけるー。まぁ、唯一の男の子なんだし、お願いねー」

 ぐぬぬ。幼女といえど、女は女。イラっとするわー。


「まぁまぁイリビ。今日来たばかりなんだから、はじめてに決まってるわよ。ヒコ、これから一緒によろしくね」

 おお。アナトはあ姉さんキャラなのか。幼女だけど。

「はい。よろしく!」


 ふーん。長い髪のお姉さんキャラのアナトに、元気キャラのイリビね。

 これからは中身がおっさんの俺が、二人の幼女を守らなければ!



「着いたよー。じゃあ、早速、ダンジョンに入るわね」

「お、おう…」

「ヒコくん、そんなに気負わなくても大丈夫だから」



 ダンジョン1F

「ダンジョンつっても真っ暗じゃないんだね」

「そうよー。本当の自然の洞窟だったら真っ暗だけど、ダンジョンというのは人間を誘い込んでるから明るいって聞いてるわよ」

「へぇーそんなもんなんだ」

「そうよー」



 というか、ステータスって見れないのか?


 ヒコ 男 5歳

 見習いLv1

 装備 銅のナイフ


 アナト 女 6歳

 見習いLv2

 装備 銅のナイフ


 イリビ 女 6歳

 見習いLv2

 装備 銅のナイフ


 見れるんかい!

「アナトもイリビもレベル2なんだ」

「…ん?レベル?レベルって何?イリビ、レベルってわかる?」

「ははっ。わかんなーい」

 なるほど。ステータスが見れるのは俺だけね。

「あ。いや、何でもないんだ。ところで、アナトとイリビって、見習い冒険者になってどのくらい経つの?」

「ちょうど一年よ。何?」

 俺の異世界得点である経験値上昇がどれくらい効いてくるかわからないが、一年にレベルが1上がるくらいの経験値が手に入るのが普通、ということがわかった。

「へえ。で、見習いを卒業するのって、何年くらいかかるものなの?」

「だいたい5年ね。まぁ4年の人もいるし、10年の人もいるからたいたいだけどね」

「見習いを卒業したら、どうなるの?」

「んー。人によるけど、剣や刀が使えるようになる人とか、魔法が使えるようになる人とか、モンスターからレアアイテムをドロップしやすくなったりする人とかがいるみたいよ。よくわからないけど」

「いや。ありがとう!よくわかったよ!」

 なるほど。見習いレベル5で転職が出来るようになると考えて間違いなさそうだ。



「あ。ゴブリン出た」

 なんだか、ゴキブリが出てきたような言い方だな。

 ゴブリンの身長は1mくらいで、ちょうど俺たちと同じくらいの大きさだ。

 1mくらいの大きさの人が戦ってるって傍から見たらシュールだろうな。

「ヒコ、よろしくー」

「あの。ゴブリンの弱点は?」

「弱点?何それ?」

 ぐぬぬ。まあいい。適当に首にナイフを当てがえば死ぬだろ。ゴブリンも生物なんだし。


「うりゃ」

 ゴブリン…めっちゃ弱い。なんだか全然攻撃もして来ないし、こっちの攻撃も避けなかった。


「うわっ。凄い。一撃」

 イリビが驚いている。

「やっぱり男の子って強いのですね」

 アナトも驚いている。

「いや。ゴブリンって弱くない?」



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