「人間と動物」
ゴミを漁るカラスを、汚い物でも見る様な目でホウキを振り回すオバさん。
カラスは目をまん丸にして飛び去った。
玄関前で糞をする野良犬を、大声で罵倒するオジさん。
犬はしてる途中だったからヨタヨタ足で逃げたした。
庭でゲーッと吐く野良猫に、足でコラーと誰かさん。
猫はヨダレを垂らしながら飛び上がる。
なんでだろう?
そんな人間に出会った動物達は、悲しいよりも不思議だった。
しばらくして、走る犬を見かけたカラスがそっと近付き背中に止まった。
「なあ、腹が減ったからって飯を探すのは悪い事なのか?」
「さあね」
考え事をしてるのか犬の返事は素っ気ない。
道端で丸まる猫を見かけた犬が立ち止まる。
「ねえ、腹が痛いからって、ウンコをするのは悪い事なのかい?」
「どうかな」
他の事を考えてるのか猫の返事は素っ気ない。
犬の背中に止まるカラスに猫が聞いた。
「あのー、気持ち悪いからって、ゲーを吐くのは行けない事なの?」
「カーカー」
カラスはただ鳴くだけだった。
ただ生きる為なだけなのに、なんでだろう?
きっと人間だって同じ事をしてるはずなのに。
犬猫カラスは三匹で集まって考えた。
ずっと考えて、答えが出るまで動かない。
「カー、たしかに人間が出したゴミだけど、ゴミはもういらないはずだ、カー」
真剣に考えた、三匹お腹が空いてきた。
「ワン、土だったら糞を綺麗に埋めるけど、アスファルトではそれが出来ない、ワン」
一生懸命考えた、三匹眠くなってきた。
「ニャー、庭は土だったのに、それでも吐いちゃいけないの?ニャー」
ダメな事ばかりじゃ僕らは死んでしまうのに。
僕らはいなくてもいい生き物なのかな。
もう、あんな汚い目は見たくない。
もう、あんな酷い言葉は聞きたくない。
もう、あんな恐ろしい攻撃は受けたくない。
三匹は集まって身体を寄せあった。
トタトタッと誰かが近付く足音。
トタトタと近寄る人間の男の子、三匹の前で座った。
合わせた両手に水が溢れる。
三匹はそれを美味しそうに飲み干した。
おしまい。