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青銅の鐘突き人形  作者: 沼田紋次
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コードネーム

【コードネーム】



「作戦の説明に入る前に、呼び方を決めましょうか。幾らチームワークが望めそうに無くても、呼び名が分からなければ互いに指示を出す事も出来ませんし」


 黒縁の提案に、工場の図面を取り囲んで車座に座る面々は一斉に反論をし始めた。


「うっさいわねえ。別にこいつら含む眼鏡の指示なんて必要ないわよ」


「眼鏡さんはよう、当日、巻き込まれない様どっかに籠ってなあ」


「私も同意見です。眼鏡殿はひ弱に見える故、当日は我々だけで結構」


「むしろ何かあるのなら今夜からだ。何があるか判らねえから、当日過ぎるまで雲隠れでもしていろ」


「アヤしまれぬよう、メガネはちょっとユキヤマにでもソウナンしていろ」


「め」「ガ」「NE」「ME」「が」「ネ」「メ」「GA」「ね」「眼」「鏡」


「……変な所でチームワーク見せないで貰えませんか。そしてこれは伊達です。お洒落眼鏡ですからね。ただの黒縁眼鏡ではありませんよ」


 黒縁の無意味で虚しい伊達男アピールは聞き流され、結局、眼鏡で落ち着くことに。渋々、伊達眼鏡は眼鏡のまま司会進行を続ける。


「私も今日限りで皆様と顔を合わせるつもりはありませんので。皆様も、当日は我が社の本気のセキュリティに阻まれますのでお気を付け下さい。命の保障もするつもりはありませんので」


 眼鏡の言葉に、赤シャツは上等だと言わんばかりの挑発的な笑みを見せる。明るい街中でなら見惚れてしまいそうになる程の色気だったが、場所が場所なだけにそれは現実味の無い作り物めいた嘘臭さを漂わせていた。


 目に見えているものが正しいとも限らないのが世の常。赤シャツの顔が本物か創り物かなど当の本人にしか判らない事である。


「そうねえ。手が滑って誰が死んじゃうかも分からないしぃ」


 尚も殺る気満々といった赤シャツはしなくてもいいのに、目線が合い易いように図面を挟んで碧帽子の正面へと移動し、つばに隠れた瞳を睨み付ける。


 だが碧帽子はそれに応える事はしない。時間が経ち十分に冷めてしまった碧帽子の対応は好い加減なものだった。


「そおうかい、よろしくだぜ……………糞パンダ」


「お互い、遺恨が残らぬ様に致しましょう。糞パンダ嬢」


「俺の邪魔をするなよ、糞パンダ」


「クソぱんだ」


「苦」「租」「PA」「ン」「唾」


「アンタ達が今死にたいってのはよーく解ったわ……だから一列に並べやコラァッ! その首全部ちょん切ってやっからよおっ!!」

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