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青銅の鐘突き人形  作者: 沼田紋次
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人間限定

作中、アイザック・アシモフ著「I, Robot」の「ロボット工学の三原則」を引用した個所があります。

【人間限定】



「さて、チームワークは望めないという有り難い情報が得られた所で、これ以上人数を減らされる前に説明を終わらせ仕事に取り掛かってもらいたいと思います」


 最初と比べ間違い無くスピードアップして喋る黒縁の、これ以上この場に居たくないという気持ちがヒシヒシと伝わって来る聖堂内。


 何故か野箆坊の生首を脇に置いたまま、晒し首の状態のまま、その隣に座り続ける木槌男は先程と打って変わり、赤シャツの方に体ごど顔を向け見詰め続けている。


 赤シャツも何故か首がもげた野箆坊を自分の隣に座らせ、肩に腕を回し、寄り掛かりながら木槌男を睨み付けている。


「何人かの方は確実に半機械体(サイボーグ)のようですね。説明するまでもありませんが、今回皆様に依頼するお仕事は殺人を含みますので完全機械体(ロボット)の方は余りお勧めいたしません」


「ナンでだ?」


「……は?」


「ナンでロボットはススめない」


 一般常識を態々説明する必要もないと、すぐ流そうとしていた黒縁はその的外れな、つまりは一般常識を知らないのであろう人物の思いがけない質問に言葉を詰まらせる。


 手を上げ黒縁に質問をしたのは毛皮少女だった。


「え~~と……、貴女はロボットで?」


「チガう。だがキになった」


「は、はあ。そうですか」


 ロボットでないのなら話を進めても特に問題は無いのだが、黒縁は如何したら良いかと悩んでしまう。ここで変に時間を掛けたせいで、また誰かがヘソを曲げ、誰かの首を飛ばす可能性も無きにしも非ずだからだ。


 首が飛んだのなら繋げてやらない事もないのだが、正直そこまでする義理も無い。だが放置するのもそれはそれであれである。


 後片付けだって面倒であり、なにより人数不足でこの後の仕事に支障が出かねない。どの行動が最適か、一瞬の内に思案を巡らせた黒縁は口を開く。


「ロボット工学の三原則は知っているか」


「シらない」


 話し出したのは木槌男だった。


 それに応える毛皮少女も黒縁に見向きもせず、さも最初から木槌男と話していた様な態度で会話をしている。お喋り好きの黒縁は少し残念そうに口を閉じた。


「人に対するロボットの絶対的な三つの原則だ」


「ふんふん」


「一つ、人を傷付けてはいけません。二つ、人の指示に従いなさい。三つ、自分の身を守りなさい」


「シツモン。ミッツのゲンソクにイハンすることをメイレイされたバアイは?」


「違反する命令は従わなくていい。ただ、人の命とロボットの命、どちらが優先かといえば人だ。危機的状況において先ず優先されるのは人だけだ。例え自分が壊れようとも逃げずに、人を助けなければならない」


「ふーん。だからロボットはヒトゴロしデキないんだ」


「そうだな」


 毛皮少女は何時の間にか生首を挟んで木槌男の隣に。ふんふんと小さな鼻を鳴らし興味深げに話を聴いている。残りの面々も木槌男の話を、というよりは思いがけない博識さを見せた男の語り口に注目していた。


「じゃあニュースでやっている、テツオ・ホリのヒトゴロしはどうなんだ?」


「あれは……」


「あれは?」


「……」


「無意識を計算し故意の過失を装った殺人ってヤツよ」


 言い淀む木槌男の後に続いたのは、意外にも赤シャツだった。


引用について、これで大丈夫なのかちょっと自信がありません。

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