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青銅の鐘突き人形  作者: 沼田紋次
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集う者達

【集う者達】



「どうもどうも。今夜はお集まり頂きありがとうございます」


 腰の低い東洋人だった。


 地味なスーツに黒縁眼鏡と、ぴっちり七三に分けられた前髪。細身で汗かきなのだろう。しきりにハンカチで額を拭っている。


 数世紀程前ならば日本人だと思われそうな風貌だったが、今の時期ではあり得ぬ事だと、男を眺める全員がそう考えていた。


 それはある一体のロボットが犯した殺人により、全世界のロボット工学の進退が決まろうとしていた時期だった。


「時間には少し早いですが、もう始めてしまっても構いませんね?」


 そう言って、黒縁は薄暗い辺りをぐるりと見渡す。黒縁の前には様々な、人種も性別もばらばらな、可笑しな連中が長椅子に座っている。


 スーツ姿の男に作業着姿の美女。


 覆面を被った神父に毛皮を纏った少女。


 全く同じ顔の五人組に顔のパーツが一つもない野箆坊(のっぺらぼう)


 そこは廃れた教会だった。窓には板が打ち付けられ、ステンドグラスは粉々に砕かれている。十字架さえ見受けられぬ教会内の聖堂は、ただただ不気味な廃墟として可笑しな連中を外界から隔離していた。


 どんな貧乏人でも心肺停止の状態から、一時間以内なら八割の確率で必ず蘇生出来るご時世に、神に祈りを捧げる者など居なかった。


「ひーふーみー……。思ったより少ないですが、まあいいでしょう。私もそこまで期待していませんでしたから」


 手もみしながら語る黒縁は、いっそ清々しい程イヤらしい目を向けて来る。


「さて、皆様」


 早口で甲高い声が、ねっとりと教会に響き渡った。


「機械の体は御所望ですかな?」


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