手荒い歓迎
やっぱり短いです。
【手荒い歓迎】
「いやあ。案外、上手くゆくものですなあ」
消防ロボットと門を文字通り跳び越え、既に沢山の警備ロボットが出待ちしていた工場ビル敷地内へと降り立ったアウトロー達。
事前情報の通り、門を越える際に識別機器で身体をスキャンされていたらしく、対人対サイボーグ使用の重火器を持つロボット達が先頭に、全員の着地を待つことなく火を吹こうとするも、一番乗りのエスメラルダがそれを一蹴。
間を空けずに落ちてきた神父をエスメラルダが片手間に受け止める頃には重火器部隊は既に鉄屑の山に。
勿論、このまま黙って不法侵入を許すほど眼鏡の用意した警備は甘くはなく、すぐさま拘束専用のロボット達がわらわらと姿を現す。
やっぱりよう順番が逆じゃあねえのかい、という尤もなエスメラルダの呟きに網状のテイザーガンでもって応えるロボット達。無論、生身どころかサイボーグの身体を持つ荒くれ者達がその手の対策を怠る筈もなく、ましてやカンニング済みである。
敢えて網を被った神父とエスメラルダはそのまま両端に分かれ、ロボット達の周囲を縦横無尽に走り回り逆に縛り上げてしまう。
更には門の前で明らかに重量の増えた一人と二匹を一人で受け止める羽目になった赤パンダが何やら大声で喚くもそれを掻き消す程の音波が門全体から放たれる。
五月蠅そうに伸びた銀の手で獣耳を塞ぐメタリックな狼人間達の傍ら、赤パンダは門に拳を叩きこむ。門全体に外傷は見られなかったが鼓膜を破り脳すら破壊せんとする音響兵器はあっさりと沈黙。
極めつけにビル表面から明らかにヤバいと分かるレーザー光線が放射されるも、銀に輝く腕を解いて盾に変形させた狼達がそれを反射。エスメラルダと赤パンダの二人があれは一体どんな原理で跳ね返してるんだと訝しげに見守る中、宙吊り状態で警備ロボ達の猛攻に曝されてもなお傷一つ付かなかったジャックマールに庇われ、その腕に抱えられた五人組が漸く地に足をつけての神父の一言だった。




