幽霊少女、ダンジョンマスターになる②
ダンジョンに初めての侵入者が来て早くも1月、あれから連日連夜冒険者たちが来てダンジョンはごった返していた。
ダンジョンの近くに簡易の村ができたらしく、一日に何度も来るパーティが跡を絶たない。
それは私の倫理観的に殺すことが躊躇されるので、武器破壊やら防具破壊やらで無力化することで追い返しているから。いいカモに思われているらしい。
それでも撃退するだけでレベルは見る見る上がり、一月にしてレベルは30レベルに上がり、浄化率は5%まで上った。
オンラインゲームの廃人様方ならばもっと高いレベルまで行けるのかも知れないが、
RPG系初心者としてはがんばったほうだと信じたい。
レベルが上がった時にインフォが流れていたが、絶えること無く来る冒険者達に気がとられ、チェックすることが出来なかった。
やっと落ち着いてきたので、新たな力の確認しようと思う。
コアを触ると新規習得スキル、5%浄化特典について、新規作成可能モンスターについてが浮かび上がった。
習得スキルは、『無形モンスター使い』『人形遣い』『ステータスメイク』の3つ。
最初の2つに関しては対応するモンスターへのステータス補正が付くというもので、最後のスキルに関しては、これまでランダムに設定されていたモンスターのスキルを作成時に設定できるというものだった。
で次の浄化特典は、空に文字がかける不思議なペン。
自動更新される本(ながったらしく面倒なんで辞典と呼ぶ)に新に更新された内容によると、このペンで決められた法則にしたがった図を描くことで魔法が使えるらしい。
辞典に乗っているのは1つだけで、それが乗っているページは残りは白紙だった。
因みに乗っているのは、硬化というよく分からないものだった。
図を暗記しないといけないし描くという手間を考えるとあまりメリットが有るように思えない。後でよく確認しないとと思い区切りをつけた。
で最後にお待ちかねの新規作成可能モンスターは、特化型スライムの強化版というべきもので、重用してたのが防御力等にに補正があるものや最大体力値が高いものためか、ストーンスライム、ラージスライムという名前の通りの特徴のスライム。
そして、モンスターというよりもゴーストや妖怪といった方が適切なような気がする、メリーちゃんや人形の強化版と言える、木に擬態できるツリーゴーレムが作成可能となっていた。
なにこれツッコミ待ちなのと思ってしまったもは仕方がないと思う。
特にメリーちゃんに関しては。
実際メリーちゃんを作成してみると(スキルを使用せず)、回避値や素早さ、命中率が異常に高く
、スキルとして『背後をとる』や『恐怖の追跡』『念話』がついているため、都市伝説に聞いたことのあるメリーちゃんの話を彷彿とさせるものだった。
そうしてるうちに新たな冒険者のパーティがやって来た。
構成は剣士25神父27魔法使い28という今まで来た冒険者よりも一回り以上レベルが高いもの達。
彼らは、ダンジョンに入って早々大技を使い入り口付近にいたスライムと人形を一掃してしまった。
浄化率が急速に増えてホクホクだけど、このペースだとマスタールームまであっという間に来てしまうかもしれないという恐怖に鳥肌がたった。
1ヶ月もの間多くの冒険者が出入りされていたわけだから、ある程度の情報流出は仕方がない。
それはわかるが、入り口に集まろうとしてしまうスライムや人形は片っ端からやられてしまった。
仕方がない。そう自分に言い聞かせて、先程製作可能となったモンスター達を投入した。
ツリーゴーレムは木に、ストーンスライムは岩に擬態する。
ラージスライムはそのからだの大きさと体力の多さを活かし、狙われる入り口のモンスターの間に立ちふさがり、その隙にメリーちゃんは一人に一体ずつ張り付いていた。
冒険者達は突如現れたそれらに苛立ちを隠せないのか大きく舌打ちをして、
魔法使いは呪文を唱え出し、僧侶はその小さな丸い盾とメイスを握り直し、剣士は近くのラージスライムに切りかかっていった。
そのとき、
「わたし、メリー。ダンジョンの入り口にいるの。」
このような声が各人の頭に響く。
それにより魔法使いは詠唱がとまり剣士は切りかかる動作のまま硬直し大きな隙を作ってしまう。
その隙をモンスター達は逃さない。
擬態しながらジリジリと近寄っていたスライムとツリーゴーレムは剣士の足にキツい一撃を与える。
その瞬間ボキリと嫌な音をたて片足はあらぬ方向にまがり、その勢いのまま数メートル吹っ飛ばされ、辺りに剣士の絶叫が響いた。
恐怖とやられた仲間に気をとられているその隙に、スライムたちが魔法使いや僧侶の足元に張り付きブーツを溶かしていく。
「わたしメリー。あなたの後ろにいるの」
畳み掛けるような攻撃のなかでもがく二人の頭のなかに再び声が響く。
そして恐る恐る振り向いた二人は、有るものを目撃してしまう。
それを見た瞬間、裸足になってしまってることなど、ましては負傷した仲間のことなど忘れて全力で出口に走り出した。
しかし入り口には大量にいるスライムがいる。
冷静さを無くした彼らは、何時もだったらしている、耐酸性をあげる魔法を全身にかけるのだがそれを忘れていた。
無理やりスライムを掻き分けてでたらどうなるか。
入り口から出たときには防具は際どい場所のみ隠せるだけでボロボロ。
非常に無様な格好に成り果てていた。
そして残された負傷した剣士はもう片方の足もストーンスライムにより折られ、剣を溶かされたところでツリーゴーレムにより屈辱のお姫様だっこをされ、ダンジョンの外に捨てられた。
それまで見届けると、やっと退けることができたという安堵感で腰が抜けてしまった。
せっかく創っておいたモンスターが大量にやられたから補充しなければならないことに思い浮かぶがそれなりに時間がかかる。
その時間を作るためにモンスターたちに命じてダンジョンの入り口を石を積んで狭めるよう指示する。
そして、ツリーゴーレムに運んでもらい、石に魔法のペンで陣をかき補強した。
そして、マスタールームに戻り、コアを触ると新たな機能がついていることに気づく
それは、ダンジョンの入り口の移動移機能の実装。
浄化率が10%に達した特典だった。
たった一組の冒険者達を相手にしただけで5%も浄化率が増えたことに驚きを隠せない。
コアで現在のモンスターの数を確認すると、モンスターの数は最後に確認したときと比べ半減していた。
後思い浮かぶのは、彼らが来る直前で作成したモンスター達。
初期モンスターとは比べ物にならないハイスペックさ。
もしかしたらとログを確認すると、大量にやられる前に新に作ったタイミングでも浄化率が増えたことがわかった。
ビンゴ。
これを利用して大量に作れば一気に浄化が進むと思ってしまったが、
辞典を読み確認すると、1度に作れる上限、りトライできるまでの間隔を見るとそうもいかないらしい。
仕方がないので、人形とスライムを量産するだけに留めておく。
そして一息付くと、今日の戦いを思い返す。
相手が大技に頼る頭脳戦の無い脳筋だったから良かったもののそうでなくあの強さだとなすすべもなかったかもしれない。
基本的に戦闘はモンスター任せの楽々コース。それをやめないと次は命がないかもしれない。
様々な“かもしれない”という今回は無かった未来が思い浮かぶ。
戦闘知識なんて無きに等しいというのに大きな課題ができて頭が痛い。
早急に何とかしないとと思いつつも、知識を得ようにもここのは辞典を除き活字なんて無い。
心の友である本がこの手に無いことに今日ほど絶望したことはない。
早く早く早く浄化率を7割にして召喚スキルを手に入れて本を。
今日の出来事がよほどストレスをかけているらしい。
やっと1割の浄化率、後どれだけかかるか分かんないけど、本を読むことは決して諦めないから。
そう改めて心に誓い、冒険者対策に頭を悩ませるのだった。