家族との最後
「いぁぁああああーーーーーーーー」
悲痛な叫び声にハッと我に返り、声のしたほうに目を向けると、そこには母と台所であったであろう場所があった。
「どうしたの?!何があったの?!大丈夫なの?!」
母は痛そうに足を抑えている。急いで母のそばにかけよると、足から大量の血が出ていた。そばにあったカーペットが真っ赤に染まっていて、何とも不気味だ。
今この状況と目の前の景色にクラっとしながらも、美月は母を助けるために動き出した。
「ちょっとまっててね!」
窓から吹いてくる風に立ち向かいながら、やっとのことで薬箱に辿り着き、母のところに戻ろうとした。
しかし、簡単には前に進めなかった。
なぜなら“物が空中を通り過ぎた”からだ。
よくみると家の中にある、ありとあらゆるものが、なくなった窓の外から出て行っている。
“お母さんが危ない!”
本能的にそう思った。足をけがして動けない母に何がぶつかるかわからない。その時、
「スッーーーーーー」
と何かが目の前を横切った。それは・・・・“血がついた包丁”だった。
きっと母はこれにやられたんだろうと美月は悟った。すると・・・
「うぅ・・・い、いたいっ・・・」母の声だった。
「お母さん大丈夫?!ほらこれで安心だよ。」何とか物をよけながら手当てをする
「美月・・・ありがとう・・・」
「うん」
なんとなく気持ちが落ち着いたところで、この不気味な現象の原因を考える。この現象にはある共通点がある。まず、物が出ていく方向は一緒だということ。次に、出ていくものはすべて金属だということ。つまり原因は・・・・巨大磁石015だっっ!!!
すると、
「おかぁさぁああーーーん!!助けてっっ」
けんとの声がした。そうだ!外にはけんととお父さんがいるんだっ!!
こんな大変な状況で外にいるなんて、けんと達は死んでしまうかもしれない!!
「けんとっ!今助けにいくからね!!!!」
母が大きな声で叫ぶ。あんな傷で外に出たらお母さんのほうが死んでしまう。
「おかあさんっっっ!だめだよっっ。あぶないよっっ」
「いいの私は!!美月は中にいなさい。もしなにか起こったら、ごめんね・・・」
「いやっっ行かないで!!おかあさん!」
母は出て行ってしまった。美月も慌てて追いかけようとする。
「けんと、お父さん、お母さっ『ゴッ』
この音を聞いたが最後、美月の意識は途絶えた・・・
「家族との最後」は以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました!