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また、嫌われた

短いです。

まだまだナジャ、続きます。



私はハーブのお茶をそのままにして、厨房をすぐに出た。


リークは一瞬だけ呆けていたが、すぐに慌てて、私に何かを言ったようだった。しかし今は気にとられている場合ではなかった。申し訳なかったが、仕方がなかった。

私はナジャを止めることしか考えていなかった。










――“愛”はダメだ、呪文なのだ。










私は知っている。




『愛』は、誰かを殺す。




『愛』は、誰かの大切なものを壊す。




『愛』は、相手も壊す。










――『愛』は、人を“魔女”にする。










『愛』は、ダメだ。今ならナジャを止められる。

私はもう見たくない、感じたくない、壊されたくない。


ナジャが誰かを殺す前に、誰かの大切なものを壊す前に、止めなくては。



私は洗濯場へと足早に向かった。



















走ってきた私に、洗濯場にいた使用人たちは驚いていた。私はそんなことを気にせずにナジャを探した。

しかし、ナジャの特有の赤色の髪は、見当たらなかった。すぐ傍にいた人に聞いた。ナジャは、今は洗濯を干しているところだと言った。私はお礼を言って、ナジャのところに行った。



白いシーツがたくさん干されていた。

私の視界は白一杯で、目的の赤色は見つからない。私は、シーツとシーツの間を割って探し始めた。しかし、探しても探してもナジャは見当たらない。


走ってきたせいで、私の呼吸は荒かった。大きく深呼吸をして、息を整えた。

辺りを見渡した、一瞬赤色を見た気がした。私はそこへ走っていった。


たどり着くと、目を見開いて、驚きと困惑が混ざった表情をしたナジャがいた。私はすぐにナジャの手を掴んだ。呆気にとられていた彼女は、反応できずに私に手を掴まれたせいで持っていたシーツを地面に落とした。



白いシーツに土の色が染み込んだ。










「ちょっと、なにするっ…」


「ダメっ!!」


「はぁっ!?何がダメなのよ、私はちゃんと仕事をしてるわっ……」










「“魔女”になっちゃダメだよ!!」










私は精一杯叫んだ。

初めてこんなにも大きな声で話した気がした。それぐらい、私は焦っていた。


ナジャの仕事を邪魔してしまったのは、申し訳なかった。でも、今の私に謝るなんて余裕がなかった。


ナジャが“魔女”になるのは、嫌だった。だから、叫んだ。

ナジャは、私を睨んだ。仕事を邪魔したせいだと思う。










「“魔女”?何で私が魔女になるのよ。」


「っだって、お父様のこと好きなんでしょっ!?だからっ…」










「人を『愛』したら、魔女になっちゃう!私は、ナジャに“魔女”になって欲しくないのっ!!」










――言えた。



今までこんなに一生懸命になったのは、3回目だ。

乳母を笑わそうとしたとき、父と話せるチャンスを与えてくれるはずだった花壇の世話。

そして、このナジャのことで3回目だ。


初めて叫んだせいか、息が苦しかった。息を荒くしながら、私はナジャを見た。

私はそのときのナジャの表情に驚いた。










――人形みたいに無表情だった。

――目がとても曇っていた。










「……ちょっと待って。………知ってんの?」


「えっ……」










「アンタが何でそんなことを知ってんのって聞いてんのよっ!!」










ナジャは、無表情だったものをすぐに怒りに変えた。私は、怯えた。怖かった。

ナジャの気迫にやられた私は、ナジャの手から手を放して、距離をとろうとした。


しかし、それは許されなかった。放した手をナジャによって掴み返された。

私はされるがままになり、ナジャとの距離をつめられた。


ナジャの瞳が怖いっ……!!










「……アンタ、本当にムカつく。テオリア様を独り占めしたいの?」


「ちがっ……わたし…」


「あぁ、それとも何?お前なんかただの“妹”でしかないんだって遠回しに言いたいの?」


「そんなっ……」










「っ…ムカつく。アンタ、私の前から消えてよ。」
































ナジャにまた嫌われた。



























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