「龍霊雨器達の話作りについて」
「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、
各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。
*本編のネタバレ満載の内容になりますので
未読の方はお気をつけください。
物語の中で沢山登場する、魂を宿す工芸品達。
第一期だけでも30体近くの工芸品達が登場します。
出し過ぎた……かもしれません。
最初、龍霊雨器の物語を考えていた時に
●一話、一トラブル
●できる限り一話でサクッと終わる
●色んなタイプの話を書く
ざっくりとこれだけ決めていました。
各話どうしようかな〜。
賑やかだったり、楽しかったり、シリアスだったりしたいけど……
多種多様な話ってどうやって決めればいいんだろ。
龍霊雨器達は人格も感情もあるから個性的にしたいし……。
感情……感情か。
感情で調べると、アメリカの研究では人間の感情は
27種類のカテゴリーに分類されるそうで。
敬服・崇拝・称賛・娯楽
焦慮(不安・そわそわに近い感情)
畏敬(畏怖と感嘆が混ざったような感情)
当惑・飽きる・冷静・困惑
渇望(強い欲求)
苦しみの共感(他人の苦しみへの共感的な痛み)
夢中・嫌悪・嫉妬・興奮
恐れ・痛恨(強い後悔や悔しさ)
面白さ・喜び・懐旧
ロマンチック・悲しみ・好感
性欲・同情・満足
うーん。面白い。
それなら、龍霊雨器に出てくる工芸品達にこの感情を
一つずつ当てはめて話を作ってみよう。
そう思いついた訳です。
例えば
香炉→悲しみ
対の簪→ロマンチック
ネコの白玉彫刻→面白さ
双六→娯楽
獅子の石像→満足
琴と二胡→性欲
……など。
沢山話を入れてしまったせいで
ごちゃごちゃしちゃったかな……と
悩むこともありますが……(^^;
色んなタイプの話を考えるのは楽しく、どの話も
お気に入りです。
*
SS「龍霊雨器」
“な〜んかぁ〜。私たちの名前って、硬くなぁい?”
琴の天鳳瑞奏が、ゆるやかに弦を弾きながら言った。
“マジそれ! もっと可愛いのがよかったんだけど!”
二胡の龍吟天響も、身体を揺らしながら同意する。
“いくらパパ(龍の神)が付けてくれたとはいえぇ〜”
“パピィ(龍の神)も、年頃(?)の私らのこと考えてほしいわけ。なんか似合ってないんだよねぇ”
「へぇー。龍霊雨器の名前って、龍の神様が付けてたんだ」
星鈴も興味津々で話に加わった。
演奏会以来、すっかり仲良くなった三人。
星鈴は最近、度々楽器保管庫へ呼ばれるようになっていた。
「二人は、どんな名前がよかったの?」
“もっと可愛くてぇ〜”
“ガチでキラキラしてるやつ!”
そこから二体は、好き勝手に名前候補を挙げ始める。
“星彩姫音とかぁ?”
“いやいや、綺羅美奏っしょ!”
“え〜!それダサくなぁい?”
“は!?そっちこそ言いにくいんだけど〜!”
きゃいきゃい盛り上がる二体を見ながら、星鈴は思わず笑った。
でも――
「オレは、天鳳瑞奏と龍吟天響が、ぴったりだと思うな」
“……まあねぇ〜”
“それはそうかも”
二体はどこか嬉しそうに身体を揺らした。
(龍霊雨器達って、本当にお父さんのこと大好きなんだな)
そう思った、その時。
“それよりもぉ〜!”
“玄曜たんとはどうなのよ?”
「えっ? 玄曜と?」
“月宵和宴の夜ぅ〜……どうなったのぉ?”
“マジで詳しく聞かせてほしいんだけど”
――空気が変わる。
甘く、妖しく。
身体の奥をじんわり痺れさせるような声音。
「え、えーと……その……」
星鈴は思わず後ずさった。
逃げたい。
だが――逃げられるわけがない。
相手は、悠久の時を生きる龍霊雨器。
しかも、とびきり厄介な二体だ。
「…………」
星鈴は観念したように、小さく息を吐く。
そして――ゆっくりと口を開いた。
※作者より
お読みいただき、ありがとうございました。
『龍霊雨器』裏話+SSは、不定期更新です。
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