第八話 真実
「ふざけんなぁ!!!」
遺書と書かれた茶色い封筒は丸められて‥敏志の泣きっ面に当たった。茜は激怒していた。静かなサイゼリヤの店内が一瞬ザワっとした。
「なんで‥死ぬ気したの?もう私達、家族なんてどうでもいいってことかよ?さんざん仕事で家にいなかったくせに、今度は、自分勝手に死ぬつもりかよ?」
ここまで分かる通り、茜は口が悪い‥つるんでる仲間達の影響もあり、ヤンキーとまでは行かないが、高校3年生になった娘の茜はとにかく気性が荒い‥
父親に何か怪我でもさせるんじゃないかと、ヒヤヒヤしたのは茜の友達の方だった。外には、茜のお友達達が待機をしていた。
事前に茜は友達達に親父が死ぬかもしれないとメッセージを送ったのがつい、さっきのことだった。
「茜‥すまない‥父さんなぁ、、もう限界だったんだ‥仕事‥実はミスが多くて‥結構怒られてきてさ、実は家に帰らなかったのは、仕事の後始末が多かったんだ、、こんな事、お母さんやお前達にも言えなくて‥本当にすまない。」
敏志は本当に情けなかった‥死ぬ事もできず、娘にまで、怒られて、今、日本一くそださい父親だったと切に思っていた。
「でも!何も死なない事ないじゃん!なんで!お母さんに相談しないのさ、、冷めきってるからなの?セックスレスだからなの?」
「ぷーーーーーーーーーっ」
セックスという言葉が茜から出てきて、思わず、敏志は口からドリンクバーのメロンソーダーを吐き出しそうになった。セックス‥久しぶりに聞いた単語だった、、思えば、最後にしたのは記憶にないくらいだ、もともと性欲がないわけでは、ないが、忙しさや、精神の疲弊もありペニスに血が通わなくなっていた。
「あのさ‥お母さん‥不倫してるよ、こんな事いいたきゃないけど、、、お母さん、レスだから性欲を外に発散してきてるよ!いいの?それでも?」
茜の言葉に敏志は冷静だった。知っていた。自分の女房の行動くらいは、ある程度把握はしていた、敏志は前の営業先がラブホテルがある繁華街だった時、見てしまったのだ、ホテルから出てくる女房の、姿と若い男の姿を‥女房は笑っていた‥でもその時から精神が疲弊をしていて、見なかったフリをした。いや、現実に蓋をしただけで、蓋をあけるのが怖かっただけだった。
「茜は気がついたのはいつなんだ?」
「一年前?当時付き合ってた彼氏とホテルに行った時、偶然見かけた、、、」
娘が彼氏とホテルと行ったと、聞いても敏志は冷静だった、ずっと娘に対して、過保護だった父親が一度、それを聞いたら発狂をするかもしれないが、敏志は茜とずっと向き合って来なかったし、話もぜんぜんしてこなかったので、何故か他人の女の人と話してる感覚になっていた。




