第9話 やはりロリコンでスケベ
お通夜は何事もなく終わった。
来客は帰っていき、親族たちは居間で雑談してる。親族会議をこれからって雰囲気ではなさそう。
さすがにわたしも疲れてる。精神的には鍛えられてるから、この程度のことが何日続いてもへっちゃらなんだが、肉体がそれについてこれない。
「先にお風呂行ってきますね」
わたしは一人居間から立ち上がった。
風呂と聞いた瞬間のアイツの反応が笑える。あからさまに、そわそわしてやがったよ。
これは絶対に何かしてくるぞ。まぁ親族たちが何人もいる家で直接的なこととかはしてこないだろうけど。
ふーん、そういうことならいいわ。
親族会議で賛成してもらうようにちょっと利をあげることも考えてたけど、そういうのはいらなそうね。何も発言できないようにしてあげる。
お風呂にゆっくりと浸かっていると、庭の方からあきらかに人の気配。普通はそんな気配を察知するとかできないかもしれないけど、こちとらハンパな人生送ってきてないのよ。熟練したプロが忍び込んできたならともかく、素人のおっさんじゃ、いくら気を使ったってムリよ。
我が家の構造からして、庭にまわればお風呂は覗ける。
それにしてもいい年したおっさんが覗きか。
ガキかよ。
やはりただのロリコンでスケベなだけのオヤジだったようだ。
お風呂の窓をそのままでは狭くて覗けないくらい開けておいてある。きっとあいつは、あの窓を開けようとするはず。
その手が窓にかかるのを確認。
今だ!
いきなり窓を大きく開けて、洗面器に貯めておいた熱湯を頭からかける。当然、こっちの身体はタオルで隠してるよ。サービスしてあげる気は毛頭ないからね。
「キャーーーーーー!」
ついでに大声で叫んでやる。
「どうしたの!」
すぐに亜紀さんが駆けつけてくれる。実はお風呂に来る直前に、亜紀さんには耳打ちしてあったのよ。たぶん、こういうのが来るから、叫び声聞こえたらすぐ来てねって。
「誰かがお風呂を覗いてたの。熱湯かけてやったけど」
亜紀さんが玄関から庭の方にまわってくれる。
そこには、熱湯を頭から浴びてるアイツがいたようだ。
「広道さんでしたよね。
小さな女の子のお風呂を覗くとか、しかもこんなときに……」
騒ぎを聞いた他の親族も集まってきて、アイツを責め始めている。アイツの妻である佐和子叔母さんはオロオロしてるだけだ。
「うるさい。オレは帰るからな。
佐和子、お前が残ってれば十分だろ」
アイツはそう言うと、荷物をまとめてさっさと帰っていった。
びしょ濡れのまま。
はい、おつかれ。
アイツがいなくなって万々歳だ。。
さっさと退場してくれてよかったよ。
まぁそうでなくても、この覗きの件を主張すれば、アイツの家には絶対に行かないって言い張れたでしょうけどね。
佐和子叔母さんさえ残ってれば親族会議も問題なく開けるからね。
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