第27話 すべて上書き
体調を崩してまして、更新が遅れました。申し訳ありません。
のんびり再開です。
んー、口で説明してても、イタリアの都市ってピンと来ないよなぁ。
グーグルマップとかなら一発なのに……と考えてたら、目に止まったのがただのインテリアとなっている地球儀。ちょっと手にとってクルクルまわしてみたけど、こりゃダメだ。
地方都市まで載ってないし、このあたりと指し示そうにも小さすぎてわからないや。
ふと思いついたのが、お父さんの本棚にあった地図帳。高校時代に使ってたやつとか言ってたな。
「ちょっと待っててね」
そう言い残して、お父さんの部屋まで走っていって、地図帳を片手に急いで戻って来る。そして隣に座って、急いでページをめくる。
うん、ちゃんと載ってる。
「ここがユヴェントスのあるトリノで、こっちがACミランのあるミラノ」
そう言ってヨーロッパの地図のイタリア北部を指し示す。
「すぐ近くなんだね」
「そうね、お隣さん。お隣さんだけにどっちも相手のことをバチバチに意識しちゃってるのかもね」
「ふーん、そうなんだ……なんでも、よく知ってるな。もしかして、イタリア語も話せちゃったりする?」
どう返事をしよう?
ぜんぜん話せないって答えてて、実際に行くときになってペラペラに話せちゃったりしたら不自然よね。
「えへ、実はそれなりに話せちゃったりするよ。だから現地に行けたら通訳は任せてね」
「え……もしかして、海外チームへついてきてくれるの?」
「あったりまえじゃない。わたしがついていかなくてどうするの。
……だって、お嫁さんにしてって……」
さすがに暴走して言っちゃったことを、冷静になって言い直すのは照れる。
「海外チームへの道筋は手伝ってくれるけど、現地へは1人で行くものだと思って結構不安に思ってた……」
「わたしがついていくから。翔吾くんはサッカーのことだけ考えてればいいから。あとはすべてわたしに任せて」
不意に翔吾くんがわたしの両肩をつかんで、じっと目を見る。
これは、あれだ。
わたしは目を瞑らないといけないやつだ。
年の功でそういう機微はわかってる。
わたしは目を瞑ってじっと待つ。なかなか来ないなと思って薄目を開けて見てみたい衝動に駆られるけどじっと我慢。
さぁ、翔吾くん。勇気を出すのは今だよ!
そして、いきなりガツンと口のあたりに衝撃が走る。
あまりに勢いよく来たので結構、痛かったりした。
そのまま熱い抱擁が来るかなって思って待ってたけど、残念ながら一瞬のキスっぽい激突だけで終了のようだ。
もう少しいい感じのファーストキスがよかったけど、これもまたよし。
外では風が強くなってきたらしく、ゴーゴーと風の音がしている。
でも台風の日の悪い思い出は、すべて翔吾くんとのファーストキスで上書きされちゃった。
台風の日は甘い思い出の日。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
今回の話で甘い恋愛中心の第2章は完結、第3章はサッカー小説だ(スポ根ではない)!
書き溜めはしてないのでのんびり更新になります。
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