第23話 わたしの部屋へ
警報が出ていると言っても、雨・風ともにたいして強くはない。
分団での集団下校、下級生の家の前までそれぞれ送り届けた後に、藤堂くんの家へ。
「友達の家へ行ってくるから!」
藤堂くんは玄関はいってすぐにそう叫ぶと、ランドセルを放り投げてすぐ出てきた。
あんなんでいいんだ。男の子の家は。
友達の家ってのも嘘ではないな、まぁ。
2人連れ立ってわたしの家へ。
「ただいまー」
玄関の扉を開けると、亜紀さんが待ち構えていた。
「おかえりー。大丈夫だった?」
「うん」
「学級連絡網で電話かかってきたんだけど、次どこにかけていいかわからなくて、大変だったのよー」
そうか、学級連絡網のこととか、まだ亜紀さんに教えてなかったな。
「ごめーん。で、どうしたの?」
「電話してくれた鵜飼さんが気を遣ってくれて、次にかける加藤さんのところでも電話してくれたので、助かっちゃった」
「そうだったのね。鵜飼さんには学校で今度会った時にお礼言っておくね」
いろいろ親御さんたちにも気を遣ってもらってるようです。ありがたいことで。
「いいところへ帰ってきてくれたよ。
なんか町内会で緊急招集みたいだから、ちょっと行ってくるね……あれ?」
そう言ったところで、わたしの後ろにいた藤堂くんに気づいた様子。
ちょうど死角になっていたのかな?
「お友達?
それとも彼氏さん?」
「んーと、彼氏さんかな?」
「おー、はじめまして。紗里の叔母です、よろしくね」
「……はじめまして。藤堂翔吾です。」
いきなりで、あわてた感じで藤堂くんがあいさつをする。
「そんなわけで出かけてくるから、お構いできなくねごめんなさいね。
エッチなこととかしてちゃダメよ」
「しないから!」
いきなり何を言い出すのさ!
エッチなことって……
亜紀さんは早々に出かけたので、藤堂くんをわたしの部屋へ案内する。
ピンクっぽいインテリアはあまり好きじゃないので女の子っぽくない部屋。
なんか、藤堂くんはすっごく緊張してしまってる感じ。
「こんな部屋なんだ。そういえば、たしか昔……」
あたりをきょろきょろ眺めながら、ちょっと言い淀む。
記憶に自信ないのかな?
「2回目だよね。この部屋に来るの。
前は1年生のときのわたしの誕生日会。
近所に住んでるクラスメイトってことで、お母さんが勝手に招待しちゃってたね」
「そうだ。あのとき以来なんだ」
「そういえば、あの頃はわたしのことをサリーちゃんって呼んでくれてたよね」
「う、うん……」
「いつから大島さん呼びになっちゃったんだっけ?」
「まわりの男子から冷やかされて……」
「そうだったんだ。わたしは紗里って呼んでほしいな……ダメ?」
「……紗里ちゃん」
顔を真っ赤にしつつも紗里ちゃんって呼んでくれた。
すっごく嬉しい!
「翔吾くんって呼んでもいい?」
「うん!」
「翔吾くん!」
「なんだい」
「呼んでみただけ……えへへ」
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