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第21話 台風が来るたび

 猟奇的なシーンがあります。今後の恋愛ストーリーには影響しませんので、残酷なシーンが嫌いな方はこの話を読み飛ばしてください。

 朝、目が覚めると体調が悪い。

 頭痛がするし、全身がだるい。

 月のものではないよ。そっちはまだ始まっていない。前世ではもう2年くらい後になってから始まったから今回もきっとそのくらいだろう。

 別に世間の平均と比べてそれほど遅いというわけではないと思う。


 話がそれた。この体調の悪さは台風の接近によるものだと思う。昨夜の天気予報で今日あたりに最接近とか言ってたし。

 台風が近づくといつもこれだ。急に気圧が下がるせいらしい。


 そして、こんな日は精神的にも少し変調をきたすようだ。


 そうだ。この台風が上陸した日だ。

 前世のわたしがアイツに処女を奪われたのは。


 台風のせいで大阪の鉄道がストップし、アイツは仕事を休んでいた。佐和子叔母さんはパートで出かけていたため、家にはアイツと2人っきりだった。

 自分の部屋とかはもらえてなかったので、わたしは居間でアイツの家にあった本を読んでいた。読んだことのない本がいろいろあったので、特に退屈ではなかったな。


 そんなときに、いきなりあいつに押し倒されたのだ。体力にはそれなりに自信はあったけど、さすがに大人の男性に力任せに押し倒されてはかなわない。

 必死で抵抗したけど、そのまま服を脱がされ、何の前戯もないまま貫かれたのだ。

 最低最悪のレイプで初体験を迎えたから、ずいぶん後まで男性に対するトラウマが残ったものだ。

 怖がるのではなく、攻撃的になるようなトラウマだったが。


 アイツはタバコをゆっくり吸い出した。わたしはそっと台所へ行って、包丁を手に取り、油断しきっていたあいつに向かった。

 胸を刺すつもりだったが、わたしの血で濡れたまま大きくしているアレが目に入った。アレがわたしをこんな目に合わせたんだな。アレさえなければ……そういうふうにわたしは考えた気がする。

 そのまま、アレを左手で掴んだ。アイツは包丁は目に入ってなかったらしい。アレをつかんだわたしに嫌な笑顔を向けた。

 そのままわたしはアレに包丁を叩きつけた。

 角度と勢いがよかったせいだろう。アレはキレイにちょん切れた。

 あいつは叫び声を上げてのたうち回っている。

 わたしは、アレを手にしたまま裸で高笑いした。思い出すと自分でも怖いな、このときのわたし。


 そんな状態で佐和子叔母さんが帰宅して、半狂乱になった。まぁそりゃそうだわな。

 救急車が駆けつけアイツと佐和子叔母さんを乗せていった。ほぼ同時に現れたパトカーから警官にわたしは取り押さえられ、警察署に連行された。

 わたしはいろいろ叫び続けたようだが、何を言ってたか自分でも覚えていない。

 わたしが男性の警察官に対してやたらと攻撃的な態度だったことを察したのか、その後の取り調べは婦警さんに変わった。

 ちょっとゴツい感じの40歳くらいのオバさんだったけど、とても優しくされた覚えがある。わたしはやっと落ち着いてポツリポツリと事情を話し始めた。


 取り調べは終わったものの、家に帰すわけにもいかず、かと言って小学生の女の子を警察の留置場に入れるのも躊躇ためらわれたようだ。

 わたしは、取り調べをした婦警さんの家に一時的に引き取られた。そういう処置が法的にどうかは知らないけど、昭和時代ですから。コンプライアンスとかより大事なものがあったんでしょう。

 婦警さんは結婚していたようだが、その家にいた間、旦那さんとは一度も顔を合わさなかったものだ。たまたまなのか、気をつかってくれたのはわからない。たぶん、後者だろう。


 そしてわたしは保護施設行きとなった。そこがまぁ酷いところだったが、またそれは別の話。


 台風が来るたびにこのこと思い出すのかなぁ。そう思うと気が重くなるけど、前世の嫌なことばかり考えていてもしかたない。


 前向きに行こう!

 藤堂くんといい感じになれたし、彼の夢を叶えるという目標もできた。いろいろハードル高そうだけど、その分やりがいがあるってものよ。

ここまで読んでいただいてありがとうございます!


少しでも「面白そう」と感じていただけましたら、『ブックマーク』や下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価していただけますと嬉しく思います!


皆様の応援がモチベーションに繋がりますので、よろしくお願いいたします!


連載中の作品は下にリンクがありますので、そちらも見てください。

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