第20話 調べ物は
コネ探しだけしていても始まらない。
わたしは前世の放浪で海外の知識はふんだんにあるものの、サッカー知識はわずかだ。一般人並の知識しか持ってない。
いや令和の時代でも、そこそこお年寄りの部類に属してたから、当時の若者の平均知識に劣ってるレベルかもしれないな。
知らないことは学べばいいのさ。
とは言っても特定の分野の知識をいきなり学ぶための手段に昭和時代は乏しい。ネットがあればなぁと切に思う。ぐーぐる先生に聞けば、少なくとも表面的な知識はすぐに身につく。うぃきぺでぃあ先生もとても頼りになる。
でも、今はお二人に学ぶチャンスはないのだ。
今、特定の分野について学ぼうとしたら、その分野に詳しい人を探すか、独学なら図書館くらいしか思いつかない。その分野に詳しい人は現在探しているが五里霧中。
ということで、地域の図書館へやってきた。小学校にも図書館があるけど、サッカー関連の本は、サッカー入門くらいしかなかった。一応借りたけど……
本当は市の中央図書館まで行きたかったけど、往復の時間を考えると平日に向かうのは得策ではなさそうだ。
さーて、本を探すぞ。
と言っても蔵書の検索は、この時代3種類しかない。
1つ目は紙の目録から探す。ただ現在のコンピュータによる検索と違って、キーワードで検索するとかできない。目的の本のタイトルとかわかっているなら使えるんだけど、今の目的にはまったく合わない。
2つ目は実際に書棚から本を探し出す。体系別に並べられた書棚から自分の目で本の背表紙を見ながら目的の本を探すという手法は、将来的にもずっと有効であろう。そして、この方法は本好きの人にとっては楽しい時間でもある。欠点としては時間がかかったり、見落としがあったり、開架分しか探せないことだ。
そして3つ目の方法は司書の人に尋ねること。この方法が時間も短縮できるし、確実性も高い。問題があるとすれば、司書さんに当たり外れがあることだ。司書さんには大きく分けて2種類の人がいる。
本が好きでしかたなくて司書になった人と、ただ公務員として採用されただけでたまたま図書館に配属された人だ。もちろん後者でも、真面目に取り組んでいる人はたくさんいるけど。
そして人によって好きな本の分野も様々だから目的の本に詳しいかどうかってこともある。
今回は3つ目の方法を取ることにした。書棚をぶらぶら見て回るのも好きだけど、今回は時間を優先だ。
こう見ても人を見る目はそこそこ確か。本が好きで好きで仕方なさそうに見える司書さんは2人。男女1名ずつだ。今回探す本はサッカー関連ということで、どちからと言えば男性のほうがサッカー好きが多そうかなと思って、男の人に声をかけた。
「すみません。海外のサッカー関連で調べたいことがあるんですが、そういった本はありませんか?」
「サッカーか。海外関連はあったかな?」
男の司書さんはそう言いながらわたしを見分するように見た。わたしは身長が高いこともあり、丁寧な口の聞き方をすれば中学生から高校生くらいには見られる。まぁ小学生には普通見れないから児童書のところへ連れて行かれることはないだろう。
ただ、この夕方という微妙な時間に制服でなく図書館に来ていることや、胸のふくらみ具合などから、鋭い人なら見破るかもしれないけどね。
司書さんの後ろについていくとスポーツ関連の書棚に案内された。
「このあたりがサッカー関連の本になるけど、海外関連は……あったあった」
「ありがとうございます」
わたしは司書さんに頭を下げて、書棚を眺める。
第一印象としては、サッカー関連の本少なすぎ!
まさか、書棚の1段の1/3くらいしかないとは思わなかったよ。
やはり、今の日本のサッカーへの関心の低さがこの蔵書数に現れてるんでしょうねぇ。近くに置いてある野球関連の1/10以下しかないや。
外国語で書かれた原書でも問題なく読めるんだけど、そんなものが地域の図書館に置いてあるわけないしね。
あった本は技術書っぽいのと戦術書っぽいのが数冊ずつ。これらは今のところ用はなさそう。
そしてサッカーの歴史っぽい読み物が1冊と海外プロサッカーの紹介っぽい本が1冊。後者は目的にぴったりではあるものの、やたらと薄いな。
とりあえず、この2冊を借りて行くことにした。
家に帰ってゆっくり読むことにしよう。
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