第16話 もしかして最終回
(嘘です。まだ続きます)
授業が終わると、藤堂くんはサッカー部の練習へ急いで向かう。
帰宅部のわたしは、特に急いで帰らなければならないわけでもない。
自分の席の椅子に座ったまま、窓からぼーっと運動場を眺めてると、サッカー部の練習が早々に始まった。
「サリーちゃん」
クラスでも仲の良い由美が声をかけてきた。
ちなみに、1年生の頃から「サリーちゃん」というのが女子の中でのわたしのあだ名だ。
TVアニメの魔法使いものの再放送が何度もやってた。本放送の頃も一応生まれてはいたはずだが、2歳の頃とかさすがに覚えてはいない。
その主人公のサリーから取られたあだ名。紗里だからサリーちゃんという安直なものだ。そのままだよね。
そのあだ名が気に入っていたわけではないけど、別に嫌でもなかったので、そのままにしてたら、いつの間にか定着してしまった。
「ん? なにかな?」
「珍しいかなって、そうやって運動場眺めてるのは。
もしかして、サッカー部だったりする?」
「うーん、そうかも……」
「もしかして、もしかして、藤堂くんのこと好きになっちゃったりした?」
どうやらまわりにはそう見えてるのかな?
「そうかも……」
「!!!」
わたしが素直に認めたので由美はたいそう驚いているようだ。
今まで、そういうことにわたしが反応したことなかったからね。
「いいねぇ。
完全に両想いじゃないの。
羨ましい限りだわ」
どうやらまわりにも、藤堂くんがわたしのことを好きなのは知れ渡っているようだ。
わたしも今日1日、藤堂くんの様子を観察して、間違いないなと判断したところだ。
いろいろ思わせぶりな態度で藤堂くんに当たってみて、その反応を見てみたけど、どう見ても間違いない。子供の頃のわたしと違って、大人のわたしの目には、とんとお見通しよって思ってたのだが、どうやら知らぬはわたしばかりなりって感じで、2人がほのかに思い合っているのは、まわりには当然の事実だったようだ。
きっと前世では2人とも思いを気づかぬままだったんだろうなぁ。
生まれ変わったこの世界。わたしが思ってたのと違って、イージーモードだったようだ。
もしかして2人はこのまま結ばれてハッピーエンド。めでたしめでたしってやつですか?
Finってつけて、終わっちゃおうか……というわけにはいかないのよね、人生は続くのよ。
でも、いいな。
両想いか。
これってわたしの初恋だよね。過去にそういう記憶ないし……
初恋が結ばれるのって幸せだろうなぁ。
このままほのかな恋心のままってのもそれはそれでいいんだけど、やっぱり進展させていきたいよね。
「で、どうするの?
思い切ってアタックしちゃう?」
「する!」
わたしは断言した。
どれだけ待っていたって、きっと藤堂くんからわたしに告白するってイベントとか来そうにない。藤堂くんってどう考えてもサッカー優先で、恋とか考えたこともなさそうだからね。
前世で学んだことでこれだけは確かだと思うことがある。
想いは言葉にしなければほとんど伝わらない。今回みたいになんとなく察することができるなんて稀なことだ。
伝えなきゃ、この想いを……
でも、どうやってアタックしよう……
さすがにちょっと……ドキドキするね。
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