第14話 当たり前の日常
第2章です。
ここからが恋愛小説となります。
翌週月曜日、今日から普通の生活、そして新しい生活が始まる。
前世ではなかった、今までと同じ小学校での続きの生活。当たり前の日常という前世では願っても叶わない生活が帰ってきたのだ。
朝、分団の集団登校の集合場所に行く。
「おはよう!」
そこに立っているのは冬でも半ズボンの長身の藤堂くん。
同じ町内でご近所さんの藤堂くんとは同じ分団なのだ。
男女ともに6年生はいなくて、5年生である藤堂くんとわたしが最上級生。班長と副班長となっている。
男子の藤堂くんが班長なのはこの時代の当然の流れ。別に不満はない。
「おはよう」
藤堂くんは挨拶を返すと、わたしの顔を見た後、少し目をそらす。
あれ?
今の態度って……ちょっと保留。わたしの希望的観測が混ざってる恐れがあるから、早急な判断は命取りになるかもしれない。
焦る必要はない……はず。
「お葬式、来てくれてありがとうね」
「いや、でも元気そうでよかった」
そう言ってニンマリと笑ってくれたので、わたしもニンマリと笑って返す。
うん、こうしたちょっとして感情の投げ合いだけで十分に嬉しかったりする。
そういえばいつの間にか、藤堂くんを見るときの視線が少しだけ高くなってる?
まわりくどい言い方はやめよう。いつのまにか身長抜かれた?
去年まではわたしのほうがちょっと高かった。春の身体測定の結果も聞いたけどわたしのほうが2ミリほど高かった。それなのに……まぁ改めて考えると別に悔しくはないね。ホントだよ。
この頃の意識では身長が高いほうがなんとなく偉そうな感じに思ってたけど。男の子の方がちょっと高い方がいいかなって今は思う。
朝の時間は早く流れる。
皆が揃ったので登校開始だ。
班長の藤堂くんは先頭、副班長のわたしは最後尾に別れるから、登校中におしゃべりとかはできない。ちょっと残念。
そうでなくとも、1年生とか下級生たちをちゃんと監視しておかないといけないから、早々上級生が勝手な行動は取れないのだ。
わたしは1年生の女の子と手を繋いで、最後尾から先頭を歩く藤堂くんの後ろ姿を眺めながらの登校。春からずっと眺めてるこの光景のはずなんだけど、この当たり前の光景がとても嬉しい。
もう一度やり直せてるんだなぁ。あの時とは別のルートで。
今度こそ、ごくごく普通の幸せな日常を送れるのかなぁ……なんとなく、それはムリなんじゃないかなぁっていう予感もするけど。
だって、わたしだもん。
当たり前だけど何事もなく登校は終わり、分団は解散して各自で教室へ向かう。
当然、藤堂くんとわたしは同じクラスなんだから一緒に。
2人で隣を歩いて行くという、ごくごく当たり前な行動に少しだけドキドキしてしまう。チラッと藤堂くんのほうを見る。恋愛マンガとかだとこういうときに偶然目があったりしてドギマギするんだけど、まぁそういうことは……ないね。やっぱり。
教室に入り、それぞれの席に向かう。と言っても2人は一番うしろの隣の席。
前の方の席になったこともあるんだけど、2人とも背が高いので前の方にいると後ろの子のジャマになって黒板が見れなかったりするのだ。
そんなことが度々あって、いつのまにか2人とも一番うしろが指定席になった感じ。
隣の席だと、どちらかが教科書を忘れて見せてもらったりするような定番イベントがありそうなものだが、記憶にある限り5年間まったくそんなイベントは起こらないな。
普通はそこまで忘れないって。
教室で周りの子に挨拶すると、一瞬戸惑った感じの後、ちょっと不自然に笑って挨拶が返される。ちょっと無理してる感じがありあり。
たぶん、大島さんにああいうことがあったけど普通に接しましょうって感じで学級会とかでの話し合いがあったんでしょう。
気をつかってもらっちゃってるみたいだけど、わたしとしては皆のそういう不自然な態度に気が付かないフリをしてるのがいいんだろうなぁ、たぶん。
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