第13話 いろいろ面倒な
翌日になってわたしと亜紀さん、そして斎藤のじーさんの三者でいろいろ細かいことを詰めていくことになった。
いろいろ面倒なことは今週中に一区切りをつけて、来週から普通の暮らし、新しい暮らしを始めていきたいものだ。
わたしの後見人に亜紀さんがなるということ自体はまったく問題ないようだ。その線で書類をまとめて家庭裁判所への提出を行ってくれるそうだ。
亜紀さんはいろいろ署名や印鑑書かされている。
その量の多さにもう嫌になってきてるようだが、そこはなんとか上手くなだめすかしながら、やってもらっている。
特にわたしは何も書くものとかはなさそうだ。
前世のときは、何もわからないうちにすべてが決まってたし、そういうものなんだろう。
それだけで2時間くらいかかってしまった。
亜紀さんは、この時点でもう嫌になってきてるようなので、ここはいろいろご機嫌を取らないと。
「よし、お昼はお寿司取りましょう!」
「やったぁ!」
近所のお寿司屋さんに出前を注文する。3人前、松竹梅の松だ。当然、この頃は回転するお寿司屋さんはまだない。正直言ってめちゃ高い。
「出前が来るまで、話を進めましょうね」
「うへぇ……」
基本的な財産は亜紀さんの後見のもとで、わたしが相続するので問題ないんだけど、問題なのは会社だ。
父がやってた事業の内容とかは、この際省略するけど、個人経営ながら株式会社となっていたのだ。この時代にはまだ有限会社というお手軽な会社の形式があったのだが、どうして株式会社になってるのかはよく知らない。
そうなってたんだからしかたがない。父の意図をいろいろ想像することは可能だけど、それがあっているかわからないから。
そして株主は父と母。社長は父で母は役員になっていた。
これらも全部わたしが相続するってことにすればいいって思ってたんだけど、そう簡単にはいかないようだ。
斎藤のじーさんの説明によると、未成年者が社長ってのは法律上やってやれないことはないけど、面倒このうえないらしい。
まず第一に未成年者は印鑑登録ができない。
これ聞いた時点でそりゃもうあかんと思ったよ。何せ前世で死ぬ直前に支社長とかやってたし、小さい会社なら持ったこともある。とにかく日本でなにかやろうと思ったら印鑑がやたらと必要になる。そして印鑑証明がほとんどに必要となる。
それどうするのさって聞いたら、毎回親権者の印鑑登録を添えるのだそうだ。
なにそれ、実質的にムリじゃね?
結局のところ、株式だけをわたしが相続して、社長を亜紀さんにまかせるというのが実際的な手段らしい。
亜紀さんはめちゃ渋ったが、その分報酬アップということで話は落ち着いた。
実際のところ、最初の手続きが終わったら会社のお仕事ってほとんどないはずだから。
会社とかどうでもよくないと思う人もいるかもしれないけど、まず結構な資産が会社名義であったのだ。預貯金もそれなりにあったが、大きかったのは所有株式。
この時点ですでに結構な金額となる株式を会社名義で持っている。
名目上、会社の資産は会社の株式を相続するわたしのものなんだけど、社長がこっそりいろいろやれば、ある程度はなんとでもなるもの。
前世での会社がどうなったのかよくわからんけど、きっと親族の誰か、たぶんアイツが好き勝手したんじゃないかな?
知らんけど。
会社関連の書類も含めてその日の夕方までに一応提出準備が整ったようだ。
皆、特に亜紀さんはグッタリと疲れ果てている。
でも、これでとりあえず、いろいろ面倒なことは終わったようだ。
まぁ実際は、後で家庭裁判所から亜紀さんが呼び出されたりとかいろいろあるようだけど……頑張って!
この話で第1章は完結です。
ここまで、ほとんど恋愛小説っぽくない流れでしたが、次の第2章からは一転して甘々な展開になっていくんじゃないかなって思ってます。
これで一区切りということで、少しでも期待していただけそうなら、『ブックマーク』や下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価していただけますと嬉しく思います!
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