5話 人間同士の話し合い
「なんだと!?」
あの洞窟の近隣の国、〔デリカ王国〕のある部屋にて、話し合いがされていた。その様子は、騒がしく、焦っているのが伺える。その理由が理由だからだ。それは、初心者から、中級者に人気の洞窟の中にC+~D-の魔物の死体が転がっていたと言う報告がされたからだ。さらに、その死体は基本的に切り傷がある。だが、致命傷にはならないだろうと言う。
「では、何が魔物を死に陥れたんだ? 他の傷は無かったのか?」
その質問をした男、ギルド〔ランサー〕のギルドマスター、ハーバードンは、思考を巡らせる。
(切り傷が致命傷でないのならば、他の傷の可能性か。)
そんな考えとは裏腹に、返ってきた答えは予想外のものだった。
「他の傷は無かったそうです。変わりに泡を吹いていたと。」
「はぁ? 泡を吹いていた、だぁ?」
ハーバードンは、思わず聞き返してしまった。
「はい。」
報告者、ギルドのサブマスター、グジールは落ち着いている。
このような感じで二人には上下関係があるように見えるが、実は幼いときからの幼馴染である。だから、一緒に話しをし、仕事してたのしい友、と二人は思っている。
しかし、それを仕事に持ち込むわけにはいかないと言うことで、他人行儀のような形になっている。
そんな二人として、いや、ギルドとして大きな問題が出来てしまった。それが洞窟の件だ。
お互いにあらゆる原因を考えている。
しかし、答えは出てこない。
ここでグジールが、口を開いた。
「……なぁハーバードン、ここからはいつものように二人で考えないか?」
「……そうだな。いつもどうり、友として対等な立ち位置にするか。」
こうして、結局上下関係はなくなるのである。
「それで、グジール。何か思い付いたか?」
そう問うハーバードン。
「たぶんだが、毒でやられたんじゃないか?」
「やっぱり、お前もそう思うか。」
「なんだよ、ならば聞くんじゃないよ!」
そう、二人は考えることが似ていることで、有名なのだ。そして次も。
「「しかし、誰がやったんだろうな。」」
そうして、二人はまた考え出した。
その中、グジールが口を開く。
「……とりあえず、魔物だと仮定して、毒を使うやつを絞るとしないか?爪などか鋭い、鋭くない限らずな。」
「そう、だな。まず、スパイダー系列。それと、スネーク系列だな。」
「この辺りだとそうなるな。ただし、高くてもC-ぐらいまでだがな。」
「となると、スパイダー系列という可能性が高いな。」
「そうだ……、いや、待てよ。」
グジールは、気がついた。
「ユニーク個体という可能性は?」
「っ!?」
グジールの言葉にハーバードンが、衝撃を与える。
「もしそうだとしたら、その個体はAは悠にこした化け物だぞ!」
「そうだが、まだ可能性の話だろ?」
「そうだが、これくらいしか考えられなくなってしまうぞ!」
「……そう、なるか。」
このような会話をしているが、正解は分からない。この二人に分かることは、かなり危険な魔物だということにになる、ということだけだった。
ハーバードンは更なる情報を得るために、ハイレベルの調査隊を向かわせることにした。
「グジール、ハイレベルな調査隊を出してくれ。それと、そうだな……護衛も追加で一パーティー出してくれ。それも、B+ランク以上のだ。」
「ハーバードン。まさかだが、最新部の方まで調査させるつもりか?」
「そうしないと、情報が足りなさすぎる。」
「……はぁ、わかりましたよ。ギルドマスター。」
「よろしく頼むよ、サブマス」
こうして、人に動きができたのである。
この先の未来が荒れることになるのは、まだ、誰も知らない。
世界はもちろん、その中心となる魔物も…………
今週、忙しくて更新が遅れてしまいました。
皆さま、誠に申し訳ごさいませんでした!
m(_ _;m)三(m;_ _)m
今回、主人公ちゃんの活躍がなかったですね。もしかしたら、次回めこんな感じになるかもです。