表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

魔眼持ちの悩み

魔眼持ちの悩み




私は魔眼持ちである。

あ、待ってください、話を聞いてください。不審者じゃありません…!

私は相手の感情や本性によって、瞳の色が異なって見えるのだ。

その魔眼を駆使して万引き犯を捕まえたこともある。

ちなみに、万引き犯ボルトは現在隣のレジで元気にレジを打っている。

「ピッ、安いヨ〜。ピッ、安いネ〜コレ。」

「ね、安いわよねェ〜!」

「オネサン、今日も可愛いヨ〜。」

「あらっ!ボルトくんてば〜オホホ!」


ーボルトのヤロー。全く思ってねーこと言いやがってアイツめ…!


振り返って確認すると、ボルトの目は紫色…つまり嘘をついている時の目の色だった。


ー可愛いなんて思ってねーな…。「安い」とは思ってるようだが…!


魔眼持ちの私にはモロバレだ。





休憩時間に同じくレジ打ちの同僚、ユイちゃんに話してみた。

ユイちゃんは念動力が使える。

「なんかさ、魔眼持ちだからって何でも出来るわけじゃないんだよね。」

「そッスよね。」

「嘘ついてるヤツいても、そうそうひっとらえる事出来ないし。」

「サイコキネシスもそッスよ。そうそう使えないッス。やっぱり老後に備えて筋トレは欠かしたくないし。」

「老後に備えて(笑)」

そこへボルトがやって来た。

「マチから出ようとマチまで〜♪デーカーケターが〜♪」

「どんなタイムリープだよ。こえーわ。」

「何。財布でも忘れたか。」

「サイフを♪ 忘れた♪ …デショ、マチ子サン?」

「は?私!?」

私の名はマチ子だ。

バッグを確認すると、確かに財布が無い。

「あんたなんで私が財布忘れたって分かったのよォ!? まさか盗った!?」

「ひどォ〜い!」

確かにボルトの瞳の色は、嘘つきの色ではない。

ただ、楽しい気持ちを表す色である黄色をしていた。…癪である。

「じゃあなんで私がお財布無いって分かったのよォ!」

「ボク、人が忘れたものワカル。これ異能力。」

「「エッ!?」」

ユイちゃんと私の声が思わず重なった。

ボルトも能力者…!?





「あ〜うん、ボルトくんねェ〜彼、確かに人の忘れ物が分かるらしいのねェ〜。」

スーパー魔王城の店長(あだ名 魔王。でもただのおじいちゃん)に確認すると、意外にも肯定の答えが返ってきた。

「本当なんですか!? …でもあんまり使い道ない能力ですね…!?」

「履歴書にはねェ〜特技として書いてあったけど…そうだね、あんまり使い道ないかもねェ〜。」

「ウケるーwwwww」

そこにまたボルトがやって来た。

「店長サン…免許証、持っテル?」

「あっ!うっかり今朝玄関に置いたままだ…!」

「オーゥ!無免許運転ダメヨ〜!」


ーボルト、犯罪を未然に防いだ…!?


※店長、出勤は免許証なしで運転して来ちゃったらしいけど。

私とユイちゃんは顔を見合せた。


ーボルトすげぇ…!





瞬く間にボルトは人気レジ打ち店員となった。

会員カードを忘れたことを、言われる前に見抜き、ちゃんとレシートにスタンプを押してあげるからだ。

「オーゥ、今日会員カードないネ? ダイジョブ、スタンプ押すカラ。」

流れるような接客である。

さすが、元流れるように万引きしていただけある。

「オーゥ、それ、スーパー大富のカードだネ。惜しいネ。ここスーパー魔王城。レシートにスタンプ押しとくネ。」

高齢者の方とのやり取りが大変スムーズだ。

よって、総合的にレジ打ちが速い…。


ーま、負けた…!!


完敗である。


今日も私は魔眼を生かせずにレジを打つ。どうにかこの能力を使って活躍出来ないものか。

魔眼持ちの悩みである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ