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【完結】死に戻り令嬢、敵国の王子に溺愛される  作者: 間野ハルヒコ


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愛されすぎてごめんなさい

「は!? 大規模徴兵……!? アベルがか?」


 兵士からの報を聞いたガヌロンは耳を疑った。


 フェーデを奪われた恨みからアベルが宣戦布告してくるところまでは想定していたが、これほどの規模で徴兵を行う意味がわからない。


 長年戦場で戦ってきたからわかるが、アベルは馬鹿ではない。

 いくら法的に徴兵可能であっても、本当にすべての民を徴兵しようとすれば反発が起こる。


 それ以前に、全員を徴兵してしまったら一体誰がパンを焼くのか。すべての産業が停止すれば、いずれ街は崩壊してしまう。


 民のすべてを武力に変換することが許されるのは敵に包囲されて逃げ場がなく、もはや戦うしかない時くらいのはずだが、むしろ奴は攻めて来ると言っている。


 本当に意味がわからなかった。


「これは誤報だ。ありえない」


 偵察隊を出すとトロンの関所は崩壊していた。大量の民がトロンから脱出する際、関税の支払いを拒否したばかりか関所を破壊して我先にと逃げ出したのだ。


 トロンは税の徴収を関税に大きく偏らせたばかりだ。

 徴収システムが崩壊した以上、経済もまた崩壊するだろう。


 これまで積み上げたすべてをなげうって、アベルは何をしたいのだ。


 ただ、黙って政略結婚を受け入れていれば、アンナと伴侶になっていれば、すべてが丸く収まったというのに。これでは合理性の欠片もない、本当にアベルなのか?


 トロンが崩壊する以上、崩壊しきる前にヴィドール領を攻め滅ぼすつもりとしか思えない。

 滅ぼした後はトロンも滅ぶので、これは本当に意味がないのだが。一体なぜ。


 

 馬鹿馬鹿しいことに、考えられる結論はただ一つしかなかった。

 

「フェーデを攫ったことで、アベルの逆鱗に触れた……?」


 ちまたではそう噂されている。

 数々のガヌロンの暴挙がアベルの怒りを爆発させ、その報いが降りかかっているのだと。


 感情としてはそうだろうが、あまりにもメリットがなさすぎる。

 地位も名誉もかなぐり捨てて、一人の女を選ぶなど。


 まるでお伽噺ではないか。


「フェーデ、フェーデはどこだ!!」


 すぐに呼びつけ、状況を説明すると。

 フェーデはしばらく笑ってから「愛され過ぎてごめんなさい」と言った。


「そう、アベルが。そんなことを……ああ、おかしい。なんでそこまでするのよ……! まったく」


 こんなに大変な状況になっているというのに浮かれて赤くなっている。

 遠く離れてなお、二人は通じ合っているようにも見えた。


「……この、お前のせいで!!」

「いいんですか? ここでわたしを傷つけて」


 殴りかかりそうになったガヌロンがフェーデに制止される。


「アベルを止める駒として、丁重に扱ってくださらないと困るわ。お父様」

「傷ひとつついていたら、アベルが何を誤解するかわからないでしょう?」


 怒りに震える拳をおろすと、フェーデの髪飾りが目に付く。

 弟切草、その花言葉は裏切りである。


 素直に協力したかと思えば、最悪のタイミングで裏切りをチラつかせてくる。

 そういう意味では確かに、フェーデはガヌロンの子なのかもしれなかった。


「ところで、兵の手配はどうなっているのです?」

「そんなことを聞いてどうする」


 アベルを迎え撃つ為に兵を配置していることを見透かされ、ガヌロンは動揺した。


「何度も言っているでしょう? 協力してあげます」

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