1章 時を超えて あらすじとその世界
私、一ノ瀬茜17歳。私は異世界アーリーでは3主のひとり「時の加護者」だ。世界の不幸を飴のようにしゃぶり、自分の退屈しのぎで、人の大切な命と心を踏みにじるリュウセイを倒しひと月が経った。
現世で修学旅行を楽しんでいた私は、突然世界の終わりが訪れたかのような幻覚を見る。異世界で何かが起こっていると感じた私は、自分の力で異世界へ渡ろうとするが、何故か力が発動しない。
私は異世界へ渡る方法を探して、異世界に強いつながりを持つ依美ちゃんに会う。依美ちゃんは「時の加護者」の側近であり、ヨミという女性の生まれ変わりだ。私はヨミの魂の声に導かれて、異世界へ渡ることに成功する。
しかし、私が辿り着いた異世界は、私が知っているものとは違っていた。ここは6年後の未来だったのだ。異世界は4人の転移人によって大きく変わってしまっていた。その中心人物ハクアは白亜部隊を各国に配置し、世界平和を演出していた。だが、その裏で白亜部隊は暗欄眼を持つ子供の眼を塞ぎ、「3主の力」の関係者を迫害していた。
その白亜に対抗する3主の使徒たちは恩恵の力が弱まった為に劣勢を極めていた。私はラオス船長とノラさんの力を借りてレータ国ベルの港へ渡る。そこに私を待つ男がいるというのだ。それはチンピラの用心棒をしていた「気功岩礁拳」の使い手ジェラだった。
ジェラは私に闘いを仕掛けてきたが、「弱すぎる」と言い放つ。それは私の「時の加護者」の力が解放されていないためだという。私は懐中時計をシエラに預けたままだったからだ。だからこそ早くシエラに会わなくてはならなかった。
ジェラはシエラを探さなくても懐中時計がこの地にあると告げる。それはヨミが作った模倣品の懐中時計だった。その懐中時計の持ち主は、このレータ国を支配しているミゼだった。
敵であったミゼが大人しく懐中時計を貸してくれるわけもなかった。ミゼにとって懐中時計は母同様であるヨミの形見だからだ。しかし、ツグミが抱擁するとミゼは凍てついた心にヨミと同じ温もりを感じるのだった。ミゼはツグミに貸すという条件で懐中時計を預けてくれた。
模倣品とはいえ懐中時計は私の中の凄まじい力を解放してくれた。異世界アーリーに「3主の力」の恩恵が充実していく。だが、それは思わぬ事態を引き起こすことになる。
【3主】 3主とは「時」・「運命」・「秩序」の加護者のことである。それぞれ異なる能力と使命を持ち、不老不死である。3主はトパーズと呼ばれる守護者を持ち、武器や恩恵を与えられる。
〇「時の加護者」アカネ…本作の主人公、17歳の女子高生。異世界アーリーでは「時」を司る3主の一人である。未来を切り開く使命を持つ。不老不死。
〇「運命の加護者」シャーレ…運命を見ることができる3主の一人で、幼い獣人の姿をしている。道しるべを与える使命を持つ。依り代に魂を転移する能力がある。
〇「秩序の加護者」トバリ→???…「審判の瞳」で秩序を乱すものを排除する3主の一人である。秩序の管理をする使命を持つ。子孫へ魂を繋ぐ。
【トパーズ】 トパーズとは3主の守護者のことである。3主から武器や恩恵を与えられ、3主の力を一部使うことができる。トパーズは3主に忠誠を誓い、3主を守護する。
〇シエラ…時のトパーズ。「闘神」という二つ名を持つ。「無限の守り」で主を守護する。
〇クローズ…運命のトパーズ。とてもクールで綺麗。褐色の肌を持つ。武器は運命の輪で亜空間を開くことができる。
〇ティム…秩序のトパーズ。エネルギー体である。審判を一部執行できる。天邪鬼で加護者に対してもかなり不遜な態度をとる。
【光鳥】 光鳥とは始まりの光鳥ハシルを祖とする存在である。「3主の力」よりもはるか昔から存在する。始まりの光鳥ハシルは森を守る精霊ドライアドへと変化した。
〇光鳥ハシル…始まりの光鳥。タイサントのサイフォージュの森の精霊ドライアドに変化した。
〇光鳥レイ…光鳥ハシルに代わってタイサントの中央で世界を見守る。ハクアによって消滅する。
〇光鳥クリル…フェルナン北の山脈に鎮座する。冷鳥フロアの呪いを調和する。
〇光鳥シド…シュの山に鎮座する。獄鳥パルコの呪いを調和する。
【白亜】 白亜とは「秩序の加護者」トバリの血を受け継ぐ者によって作られた組織である。首領のハクアは謎が多い。白亜は「3主の力」を殲滅することを目的としており、各国に暗躍する。
〇ハクア…白亜の首領。マサシ・コガという現世人だが、魂は別の誰かが支配している。「時の加護者」へ復讐心を持つ。
〇ダル・ボシュン…白亜の幹部。異常に痩せた背の高い男。マッシュルームのような髪形をしている。光る腕により「審判の瞳」の力を小規模で使う。
〇バンク…白亜の幹部。格闘家で誇り高き男。「闘神」シエラのとどめを刺した男。光る脚により相手の能力を制限する「禁言」を使う。
〇結月…白亜の幹部。全盲の少女。14歳。人の能力を倍化する能力や幻聴、幻覚を見せる能力がある。白亜の中で一番の謎がある。
【元の民】 元の民とは「時の加護者」アカネによって滅ぼされた組織である。彼らは暗殺を生業として世界を支配しようと考えていた。
〇首領ヨミ…「時の加護者」アカネへ恨みを持つ。手で触れることで「時を進める」能力がある。元は「時の加護者」の腹心で正義と情が深い心をもつ少女だった。
〇ガゼ…元「刻の社」(シエラの石像が収められていた)の警備隊長。「闘神」シエラを崇拝している。格闘技の使い手。
〇ロウゼ…ガゼの実弟。グレイブ使い。強さはガゼ以上。村人の魂を救ってくれたことからシャーレを崇拝している。獣人オレブランのヴィタニマ村の長。
〇ミゼ…元「秩序の社」の警備兵。凶悪な性格。「策略こそが強さ」としている。ヨミを崇拝している。本名はミゼル。虐待の上、親に瀕死の状態で砂漠に捨てられる。ヨミに育てられる。レータ国の支配者。
〇リュウセイ…「時の加護者のアカネの気苦労」のラスボス。人の不幸を飴のようにしゃぶるクズ。魔法を使う。
【六大王国】世界は自然信仰の小国と王政をひく六大王国にわかれている。
●フェルナン国…西の大陸、肥沃な大地が広がる。
・ジイン…国王。正義感と勇気がある。だが真面目過ぎて融通が利かない。過去にシャーレやクローズと旅に同行し武器と恩恵をもらった。昔、カイト国のクリスティアナと恋仲だった。
・ラヴィエ…王女。正義感があり明るく前向きな性格。アカネの親友になる。現世の杏美ちゃんと魂で繋がっている。
・執事長カルケン…ラヴィエの身の回りを世話している。ラヴィエを孫の様に可愛く思っている。涙もろい。
・ゾルネブル部隊…王族直属護衛部隊、裏の仕事をこなす
●ギプス国…西の大陸、技術力の高い職人の国
・スタン…国王。正義感がある。海沿いの貿易国であるため外交が得意。ジインとは親友で助言者。
・カレン…王女。年齢26歳。タカラジェンヌの様に凛々しい。かなりの露出狂。ラヴィエの親友。カレン調査団の長。太陽の国レオのラジス峡谷にレジスタンスとして潜伏。
・ロッシ…カレン調査団の副団長。カレン王女専属の護衛兵。ラジス峡谷にレジスタンスとして潜伏
・ラオス船長…カレン調査船の雇われ船長。髭を生やしたヒュー・ジャックマンに似ていてアカネが惚れている。
●カイト国…西の大陸、閉鎖的な国、果物が豊富
・クリスティアナ…女王。「疑心の女王」の二つ名があるほど疑り深い。人間不信。
・ラワン部隊…女王直属の特殊部隊。かなりの手練れ。情報収集、国境の警備など多岐にわたる。
●太陽の国レオ…東の大陸、永久中立国
・レイフュ…女王。クリスティアナの親友
・ファシオ…第一王子。王家というものをきらい、ほうろうの旅に出ていた。甘ったれ。ガゼに救われ、今はラジス峡谷でレジスタンスのひとりとなっている。
●シェクタ国…東の大陸、周りに神秘的な地が広がる
・アルデン…国王。人に尊敬されようと慈善活動をする。
・ブレス…第一王子。誠実で優しい青年。ラヴィエの身をいつも心配している。
・ソルケ…元運命のトパーズ。『不縛の剣』により空間を凍結できる。シェクタ国ブレス王子からラヴィエの守護を頼まれる。二重スパイとしてフェルナン国へ潜入
●ポルミス国…移動する島国、神出鬼没の国、謎に包まれている、陸海空において鉄壁な防御力を誇っている。ポルミスを目指すものは帰らない。
【南極タイサント】
〇ラチャグ…カレン調査団が契約している南極タイサントの案内人。享年76歳
〇ノラ…ラチャグの一人娘。ラチャグとそりが合わなかったが、ラチャグが言ってきたことが事実と知った今は父親を尊敬している。熱い心を持っている。水属性の魔法を少し使える。
【ヴィタニマ村】はオレブラン(獣人)の村。シャーレにより魂を救われた者の村。グレイブ使いのロウゼが長を務めている。
〇ヤンバ…10歳 フェレット系のオレブラン(獣人)
〇リベン…14歳 イヌ系のオレブラン
〇ライラ…10歳 ロウゼの一人娘。フェレット系のオレブラン。身体能力が高く、戦士としても有能。




