春風
春風が私の横を通り抜ける
薄汚れたカバン
よれている学制服
役目を終えたようだ
赤く染まる放課後
君と歩いた見慣れた道
恥ずかしかった体育館裏
懐かしさのあるあの頃の匂い
桜のせいだよ
見慣れた校舎が鮮やかに染まる
儚く彩られる家までの帰路
カーブミラーに映る私の頬
去っていく電車
段々と離れていく
工場の煙
変わらずに舞い上がる
君の落とした紙飛行機に乗って
君の住む街にたどり着いて
どんな経験を話せば笑ってくれるかな
そんな空想を描き続けている
君がどんなに歳をとっても
あの頃の君にもう会えなくても
出会えたという事実が
なによりも綺麗に輝いているよ