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全ての終わりに微笑みを  作者: 橘樹儚椛
7/12

7、淡い絆

 教室を覗いて次にまたあの場を見かけてしまった時、俺は誰に何と言うことができるのだろう……

 常に不安と怖さを抱えながら、いつしか教室の前を避けて掃除をするようにもなっていた。

 でもそんなの駄目だと分かっている……

 何とか勇気を振り絞って教室を覗けた日、浦瀬が一人で藤波のことを待っているだけの様子に俺は何度も安堵していた。

 けど前のいじめの状況から事態は深刻だということ。

 このままあの俺が何もせずに終わるなんてことはない……

 もし今何もしなければ、また同じ未来が……

 そうなったら俺が過去に戻って来た意味はなくなってしまう。

 ただ浦瀬に同じ辛さを二度味合わせるだけのことになって、そんなの今の俺が許せることなのか……?


 <すみません。来週のシフトを代わっていただくことはできないでしょうか?>


 俺は来週に詰め込んでいたファミレスの方のバイトを一日減らし、浦瀬と少しでもゆっくり話せる時間を作りたいと思っていた。



 ある日の放課後、三者面談もあって授業はすべて午前中のうちに終わっていた。

 それに共なり俺の清掃業務も午後一から始めていいとのことだった。


 そして俺は午後になってすぐから生徒もまだらな学校内で掃除を始めていた時、一人で校内を歩いていた浦瀬の姿を見かけた。

「ねぇ……」

 何でもいい、切り出す言葉は……

 それをきっかけにちゃんと話ができればと、そう思っていた。

「何ですか……?」

 浦瀬が俺の言葉を無視するようなことはないものの、あの日から俺に対しての態度は一段と冷たくなっているように感じた。

「今日は、藤波さんはいないの?」

「万旺ならこの後14時から面談なので。

私の方も15時からですし、今日は別々に帰ることになると思います。」

「そっか……」

 俺はまたすぐそれに言葉を続けられず、少しの間黙り込んでしまっていた。すると……


「もう、いいですか……」

 浦瀬は隙を見たようにそう言ってきた。

「あ、ちょっと待って……」

「何ですか……?」

 俺が焦ってそんな浦瀬を引き留めると、あの優しさはまだ健在していたのか浦瀬はいつも通り止まってくれていた。


「その、あの日俺が見たこと……」

「忘れてください。

三靏さんを巻き込む気はないので……」

 言いかけた俺の言葉にすぐに浦瀬はそう返していた。

「いや、巻き込むとか……元はと言えば俺が……」

 俺がしてしまったことなのに……

 続きは言葉にできずにいた。

「俺が、何ですか?

もしかして、見てしまったから……とか思ってるんですか?

それなら本当に気にしないで下さい。

私が断言します。

あの日、三靏さんはあの場にいなかった。何も見てないんです……」

「そんなの違う!

俺は見た、この目であの状況をいろんな角度から何度も見て来たんだ!

それなのに、何で俺に頼ってくれねぇんだよ……

俺はお前を助けたくて……変わらずにいてくれるって約束してくれたじゃねぇかよ……」

「守れなくて、すみません……」

 浦瀬はただ申し訳なさそうにそう言った。

「何だよそれ……

そんな言葉……いらねぇよ。

何のプライドなんだよ……」

 俺は先生が言っていた言葉の意味をまだ探っていた。

「プライド……?」

「お前がそれを言えねぇっていうプライドだよ!

少しくらいは俺の気持ち考えたことあんのか?

いつもお前のためにってお前中心に行動して、この世界で俺がどれだけお前のために……

何で話してくれねぇんだよ、相談してくれねぇんだよ。

最悪俺じゃなくてもいいよ……周りの誰かに助けてって、お前がそう言ってくれれば……」

「言いました……

助けならもう、求めました……だからもういいんです……」

 どこか悲しそうにそんなことを言い出す浦瀬。

「え……?

それ、どういうことだよ……」

 俺はその意味が一瞬では理解できなかった。


「あの日、三靏さんにあの場を見られてしまった日。

私は一番見られたくない人に見られてしまったと、そう思いました。」

「俺が、一番見られたくない人……?」

「はい……分かってました。

三靏さんがあの場を見てしまった時、どう行動するのかって……

三靏さんは正義感が強くて、自分を犠牲にしてでも私のことを助けようとしてくれるんだろうって……

けど、その前に私が見た時の三靏さんの目は傷だらけでした。

三靏さんは、三靏さんが自分で思っているよりも弱いってこと。

私は三靏さんに、私のせいでこれ以上傷ついてほしくないと思いました。

だから、違う人に相談することにしたんです……」

「違う人……?」

「担任の、佐伯さえき先生です。」

「佐伯……」

「私は放課後、入月たちが帰ったのを見計らった日に先生に相談しようと決意しました……」

 浦瀬は悲しそうな中に重苦しい雰囲気も感じるような声で、その日あったことを静々と話し始めてくれた。



『佐伯先生、ちょっといいですか……?』

『ん?どうしましたか浦瀬さん』

 浦瀬の話に一見優しく耳を傾けたように見えた佐伯。その様子に浦瀬は、

『その、私……

いじめられてるんです……』

 勇気を出していじめのことを相談することが出来ていた。

『いじめ、ですか?

誰にいじめられてるって言うんですか?』

『同じクラスの、入月陸七さんです……』

 最初の方は佐伯も真剣になって聞いてくれているように見えたという。

 でも浦瀬が過去の俺、入月陸七の名を出した瞬間にその態度は一変した。


『それは浦瀬さん、あなたの勘違いなのでは?』

『え……勘違い……?

いえ、私は本当に入月たちから……』

『いいですか浦瀬さん。

あなたは転校して来たばかりでまだ何も知らないのかもしれませんが、入月陸七はうちの学校でも優秀な生徒の一人です。

私も胸を張って自慢の生徒だと言えます。

それなのにその子がいじめをしているなんて、入月陸七の名前だけでなく学校にも泥を塗るつもりですか?

入月がいじめ……勘違いも甚だしい。あなたのその勘違いでどれだけの損害が出るのか分かってますか?』

『私は……私は本当のことしか言ってません……

だってこれも……』

 そう言って浦瀬は佐伯に信じてもらおうと自分の腕の傷跡を見せた。

『これを入月がやったって?』

『はい。そうです……』

『へぇ〜入月がねぇー』

 これで少しは信じてもらえたかなと安堵する浦瀬。でも実際は、

『よっぽど浦瀬さんが罰当たりなことでもしたんだろうねぇ』

『え……

どういうことですか……』

『第一、本当に入月がいじめてたとしてそれが何?

いじめはいつだっていじめられてる方が悪い。

正直さ、少しは気付いてたよ。あぁいじめられてるなぁって。

けどそれはクラスの数人の間でもそんな感じでしょ?

まぁ一番仲良さそうな藤波はまだ気付いてないのかもしれないけど。

いじめてる入月じゃなくて、いじめられてる浦瀬さんの方がみんなから避けられてるって気付いてなかった?

目線とかさ、みんな浦瀬さんと合わせないように逸らしてたでしょ。』

『それ、は……』

『生き物なんてみんな弱肉強食の世界。

人間だけだよ、それからズレようとするのはさ。

けど実際問題本能には逆らえない。

いじめが始まれば、そこはすでに弱肉強食の世界に過ぎないんだから。

ごめんだけどさ、先生だってこんな話に付き合ってる時間はないんだよねぇ。

これ以上変な被害妄想で学校や先生、特に入月には迷惑かけないでくれるかな?

あと半年くらいの辛抱でしょ?隠蔽するのだって大変なんだから……』

 それが浦瀬の話したすべてだった。



「もし三靏さんに相談していれば、違っていたんですかね……」

 こんなことが……

 俺が知っていたはずの過去の世界でこんな事が起きていたなんて……

「ふざけるなよ……何で俺が……」

 何で間違った俺が贔屓されるんだよ……

「そうですよね。

三靏さんだって私なんかみたいな人間には関わりたくないですよね……」

 俺の言葉の意味を取り違えて勝手に納得してしまった浦瀬。

「いや、そうじゃなくて……」

「すみません。これ以上この話を続けてたら15時から始まる三者面談に遅れてしまいそうなので……

私はこれで、失礼します。」

「いや、ちょっと待ってよ」

「お話聞いていただき、ありがとうございました……」

 今度は俺が引き留めようと浦瀬は強引に俺との会話を終わらせていた。






 どうすればいいんだよ……

 俺は誤解したまま浦瀬に問いただすようなことをして、浦瀬はもうすでに助けを求めていたっていうのに……

 救ってあげるどころか、俺はまた浦瀬を傷つけてしまっているだけだった。

 担任には頼れない……身内にも頼れない……先生にだって、言えるはずもない……

 俺の私情もあって、大人は皆頼れないものなのだと思ってしまっていた。

 俺一人で、浦瀬にどう向き合えばいいのだろう……

 そんなことで俺の頭は日々いっぱいになっていった。




 そして俺がそうなってから1週間、2週間と過ぎた頃。

 いつも通り掃除をしている俺を、どこかから誰かが監視しているような……

 そんな不気味で悪意のある視線を感じた。

 この場所で掃除しているからなのだろうか……

 俺は場所を変え、さっきとはまた別の場所で掃除を再開することにした。


 よし、ここなら……

 でも場所を変えようと、まただ……誰かにずっと見られている……

 俺に向けられたその視線が変わることはなかった。

 どこを掃除しようと付いてくるその視線……

 次第に俺はそんな視線に苛立つようになり、振り返って視線の感じる方へと目を向けた。

 俺が振り返ると、目を向けた先で二人くらいの人影が壁に隠れていくところを目撃した。

 一瞬見えたその二人が誰なのか、楽しそうに笑いながら俺の様子を揶揄うように逃げていく姿……

 今こんなことをするのは過去の俺の仲間くらいしかいないこと。

 その二人が数人いる仲間のうちの誰なのかさえ、俺にはすぐに分かることだった。


 俺は苛立つままにその二人が隠れた先へと近づいて行った。

 近づくにつれ、俺の耳に入ってくる二人の笑い声が徐々に大きくなっていくのを感じた。

 それに対しての怖さというものが苛立つ今の俺にはなく……

 それが二人が過去に自分の仲間だったということが強く影響している気がして。

 そんな怖さを感じない自分が過去を捨てきれていないようでより腹立たしさを増していた。


 そして視線を感じた先に俺が着いた時。

 隠れていた二人は俺を馬鹿にし嘲笑うかのように俺の前から逃げていった。

「あいつら……」

 俺にとって一番近くにいた仲間という存在であったはずが、今では仲間だったことを恥じる敵としてしか認識できなくなっていた。




 次の日もまた同じように感じる視線……

 俺は今日こそ二人を問い詰めようと、掃除を片手に鼬ごっこのように二人を追いかけ回していた。

 あの二人が何をしたいのか。今となっては何も分からない……

 昔は当然のように一緒にいて理解ができたはずの行動。それも今では変わりたいという思いからなのか、俺は仲間だった二人のことが記憶を無くしたように分からなくなっていた。

 けどこの状況……

 もし何かあるとしたら……見張りか。

 俺は自分が見張られているということに気付き、すぐに浦瀬のことが頭をよぎった。

 また浦瀬がいる教室で何か……

 浦瀬が危ない状況下にあるのだと思い、俺は急いで教室の方へと向かった。

 当然俺のことを見張っていた二人も俺を追いかけてくるはず……そう思っていたが、仲間の二人が俺を追いかけて来る気配は一向になかった。

 ただ遠くの方で不適な笑みを浮かべながら、俺が浦瀬の方へ走り出すと同時に携帯で誰かとやりとりしているのが走っている俺の目に付いた。




 俺は教室の近くまで来ると、いつものように窓から教室の中を覗いていた。

 あれ、浦瀬は……

 けど俺が着いた時、教室には誰の姿もなく浦瀬の鞄だけが席に置かれている状態だった。

 いつもはいるはずの浦瀬が教室にいない……

 浦瀬はどこに……浦瀬に何かあったのか……

 俺はその場に浦瀬がいないといういつもとは違う状況に焦りを感じ、いじめ以上の嫌な予感だけが頭の中を駆け巡っていた。

 でも鞄がまだ教室にあるということは、浦瀬もどこかにはいるはず……

 もしかしたら教室ではない他の場所で何かが起きていて……

 俺は息を切らしながら学校中を探し回った。

 一つ一つの教室を見て周り、浦瀬を探し始めて数分が過ぎた頃には俺は一周してまた教室付近へと戻って来ていた。

 そんな時、トイレの前を通り過ぎようとしていた俺はちょうどそのトイレから出てきた誰かとぶつかりそうになってしまった。

「うわっ、浦瀬……」

 その誰かというのは俺が探していた浦瀬だった。

 ぶつかりそうになる直前で俺と同じく一度足を止めた浦瀬は、よく見ると自分の顔を手で隠すように覆っていた。

 それがどうしてなのかも分からず、とにかく俺は、

「何もなかった……?」

 そのことが気になっていた。

 俺が顔の見えない浦瀬に話しかけた時、手の隙間からわずかに見えた浦瀬の目はいつもよりも少し赤く腫れていたようにも見えた。

 浦瀬は顔を隠しているだけで俺の問いかけには何も答えず、俺を避けるように教室へ戻ろうと止まっていた足をまた進め出していた。

 俺はそのまま通り過ぎようとする浦瀬の背中に、

「何で無視するの……答えてよ……」

 浦瀬の肩を掴み、引き止めて聞いていた。

 すべては過去の俺のせいであること。それは確実なのにも関わらず、

 俺は浦瀬が何も言わないから動き出せないんだと、どこかで浦瀬のせいにしている自分もいた……

 ただ助けてと、一言そうやって言ってくれれば……

 でも浦瀬がそんな証言をしてくれることはなく、俺とは顔も合わせないまま、

「心配されるようなことは、何もないです……」

 下を向いてそう言われてしまった。

 その雰囲気は暗く重く、話しかけた俺に怒りも感じるような言い方にも聞こえた。

 この前までは、あんなに笑顔を見せてくれていたのに……

 そんな人は俺が首を突っ込んだ今、まともに会話すらできない関係になってしまったのだと俺の心にも深い傷が入りそうだった。


 浦瀬にこれ以上会話を求めても俺が虚しくなるだけだ……

「分かった、ありがとう……」

 俺は浦瀬の肩に置いていた手をそっと外し、浦瀬が教室へ戻っていく姿をその場から静かに見届けていた。

 そして浦瀬の姿が見えなくなると、俺はさっきの見張りをしていた仲間の二人の元へと向かっていた。




 未だ校舎の外から俺のことを監視している二人……

 きっとさっきの浦瀬との会話も聞かれていたんだろう……

 俺は二人の元まで近づいていき、

「何でずっと俺を監視してたのか言えよ。」

 二人に何がしたいのかを問いただした。

「えぇ〜それは面白いからですよ〜」「見たでしょ?浦瀬のあの顔、笑えるわー」

 怒り狂う俺とは逆に、馬鹿にした口調で話す二人……

「何をしたんだよ……」

「え?」

「浦瀬に何をしたかって聞いてんだよ……」

「何したって、この前清掃員さんも見てたでしょ?」

「まぁ今日はそれにちょこっとプラスしたくらいってとこかなぁー」

「お前ら、いい加減にしろよ……

絶対、絶対にお前らを……」

「殺す、ですか?きゃー怖い。

でも清掃員さん、勘違いされたままだったら困るので言っておきますけど。

俺らはもうあんたのこと怖くないんすよ。

確かにこの前は俺たちの名前を知ってて多少驚きはしましたよ?でもその程度の話です。

あのあと陸七に全部聞いたんで、納得しましたよ」

 不気味な笑みを浮かべる二人……

 確かにさっきまでは俺から逃げ回っていたけど、今は逃げることなく堂々と俺の問い詰めに応じている。

 それに教室で俺に名前を挙げられた時とは違って落ち着きも目立っている……

 全部……全部って何だよ……

 こいつらは、過去の俺から何を聞いたって言うんだよ……


「俺たちは普段、誰もが認める優等生。

教師も生徒も、あんた以外は皆俺たちを慕って生きている。

それなのに清掃員さん、そんな俺たちのことを敵に回して大丈夫なんですか?」

「証拠、まず証拠も何もないのに信じるって奴はいないんじゃないっすかね〜」

 証拠……確かに俺は今までの証拠を持っていない……

 仲間の二人が言ったことで初めて今の俺にはいじめを立証できるような証拠が何一つないということに気付いた。

 でも誰が何と言おうと正しいのは俺と浦瀬の方に違いない。

 そんな証拠なんてすぐに手に入れられる……はず……

 なのに、俺にはその証拠を手に入れられる自信がなかった。

 過去の自分も知っているからこそ、その考えが今の俺のあらゆる考えを邪魔しているようだった。


「まぁ、あんまり俺らには関わらない方がいいっすよ」

 二人のうちの一人が俺の肩を2回ほど叩き、耳元でそう言った。

 そのまま二人は不気味な笑みだけを残像として残し、俺の前から消えて行った。





 

『清掃員さん、そんな俺たちのことを敵に回して大丈夫なんですか?』

『証拠、まず証拠も何もないのに信じるって奴はいないんじゃないっすかね〜』


 家に着いてからも俺の頭の中ではさっきの二人の言葉が繰り返されていた。

 証拠を掴むことさえ難しいのかもしれない、それでも浦瀬が今も苦しんでいるっていうのに俺が関わらないでいれるわけがない。

 俺は証拠を掴むため家で必死になって思考を働かせたが、教室内で起きているいじめを撮影し映像として残す以外には何も思いつかなかった。

 でもそれだと浦瀬がまたいじめられる機会を待つということになる……

 もう浦瀬のメンタルだって限界で、その一回を止めたいと思っているのに……

 けどこれ以上の考えは出て来ず、最悪何かあれば俺がそばにいることですぐに行動もできる。

 とりあえず明日は浦瀬のいる教室の周りを重点的に掃除するかな……

 そう思って眠りについていた。






 次の日、俺は16時を過ぎるとすぐに清掃員の格好に着替え、掃除道具を持って真っ先に浦瀬のいる教室の方へと向かった。

 特に教室の周りがこれと言って汚れているわけでもないし、どちらかといえばもっと汚れが目立つところの方が多いくらい……

 でも最初に清掃の仕方は自由だと言われたし、掃除という面ではちゃんと約束も果たしているわけだから……

 そう自分に言い聞かせ、1時間ほど教室の周りばかりを掃除していた。

 その間何回かに渡って教室を覗いてみれば、特に教室内で何か荒れそうな気配もなく浦瀬はずっと一人で本を読んでいて俺の気配にさえ気付いていないようだった。


 けど俺が掃除をし始めて1時間ほど経った頃、

「あの……利根川さん、ちょっといいですか?」

「あ、はい。」

 普段なら話しかけられることもない、俺が中2だった時の担任から急に声をかけられた。


「実は、ある生徒から利根川さんがここら辺しか掃除をしていないという話を耳にしまして……

その、何かありましたか?」

「あ、いえ……」

 この作戦がどこまで通用するとも考えてはいなかったが、相対してくるのが過去の俺たちではなく職員まで利用してきたことは俺にとって想定外のことだった。


「すみません。すぐに他のところも掃除します……」

 もしこれをきっかけに誤解なんかされて、俺が真面目に清掃員としての仕事をこなせていないという噂が学校関係者を通し俺を雇ってくれている人の耳まで伝わってしまったら……と思い、俺はすぐに教室周辺から他のところへと道具を持って場所を移そうとした。

「あ、いや、別に利根川さんのことを責めているわけではないので気にしないでくださいね。

そのただ、利根川さんのことを気にかけている生徒もいたので……

利根川さんに何もないなら、私どもはそれでいいんですけど……」

 俺に話しかけてきた職員は、俺の受け取り方とは違い俺を心配して話しかけてくれているようだった。

「俺なら大丈夫です。

本当に何もないので……」

 俺は辞めさせられることに繋がるわけではないのだと知り、冷静に答えていた。

「そうですか……なら私はこれで。

いつも綺麗にしていただいてありがとうございます。

教職員ともども皆喜んでいますよ。

何かあったら、またいつでも相談してくださいね」

「ありがとうございます……」

 俺を心配してくれた職員の方は最後まで優しい笑顔を見せ、仕事の途中で抜け出してきていたのかまた職員室の方へと戻って行った。


 また一人になって、冷静な言葉でしか返せない自分を少しばかり悔やんでいた。

 本当は誰かに相談したい……

 一人で解決するなんて無謀さを、俺はこの世界に来てから痛いほどに痛感していた。

 けどすでに過去の俺に利用されている大人……

 信用はできないと、そう決めつけることしか出来なかった。

 でもこれがもし先生だったら……

 浦瀬の実の父親である先生だったら、俺は素直に言えていたのだろうか……

 きっといざ聞かれると、俺はそれが誰であろうと何も言えなくなってしまう。

 もしかしたら浦瀬もこんな気持ちだったのだろうか……

 優しさしかない誰かの言葉に、素直に甘えることができない自分がいた。






 たとえ一人だとしても、俺が諦めるわけにはいかない……

 浦瀬にも避けられ始めている今、本当に心のどこかでは一人になってしまったような。そんな気がしていた。

 過去の俺が優等生、か。そうだったかもな……

 あの当時、過去の俺のことを悪く言う奴なんて一人もいなかった。

 いなかったというより、言えなかったのかもしれない……

 唯一俺に言える立場であっただろう母は、俺の学校でのことを何一つ知りはしていなかった。


 あいつらに告げ口されたことは間違いないだろう……

 あいつらが告げ口をすれば、過去の俺が言うことはすべて正当化されてしまう。

 告げ口を受けて俺に声をかけてきた職員のように、過去の俺の言うことを疑う人なんていなかった。

 今だって、過去の自分のことで俺は誰に責められるわけでもない……

 ただ俺だけは知ってるんだ。ずっと……

 自分がどれだけ周りから責められるべき存在かということを……

 それを知っているのが俺だけだからこそ、そのことが今の俺を余計に苦しめる結果となっていた。




 何もかもうまくいかない……

 いっそのこと、浦瀬が教室に一人でいる時間をなくせれば……

 でも俺には清掃員という仕事があって、その仕事をこなさなければ校内に入ることさえ許されない。

 清掃員なんか捨てて、俺が浦瀬と藤波の部活が終わるまでの時間を一緒に待ってあげられることができれば……

 あれ、そうか。

 これだったら俺は清掃員としていながらも浦瀬を守ることができるんじゃ……

 俺は新たにもう一つ、これならと思える方法を思いついた。

 その一縷の望みに俺は賭けることにし、また明日の放課後が来るのを待った。






 俺は次の日、清掃道具を取りに行った後で浦瀬に会いに教室へと寄った。

 そこには過去の俺たちの姿はなく、いつも通り浦瀬は一人でゆったりとした時間を過ごしていた。

 俺は教室に入って浦瀬の席まで行くと、

「話したいことがあるんだ……」

 それだけ言って、浦瀬と一緒に教室から離れていた。

 俺が思いついたこと……

 それは俺が掃除をしている間、藤波の部活が終わるまで浦瀬を連れ回して作業するということだった。

 そうすれば浦瀬が一人でいる時間はなくなり、俺が掃除を怠ることもない。

 浦瀬は俺が訳を話さなくとも、何も聞かずにただ俺に付いて回って来てくれていた。

 そんな浦瀬と俺の関係は前よりもぎこちなくはなっていたが、全く会話ができないというほどではなかった。

 でもこれ以上その関係に亀裂が入らぬよう、俺は浦瀬に何かを聞き出すわけでもなく心配するわけでもない。

 ただ当たり障りのないような会話だけが続いていた。

 俺のそんな様子に心を閉ざしかけていた浦瀬も少しずつ口を開いてくれるようになり、最初は気を遣って話していた会話も徐々にスムーズにできるようになっていった。



 <騒がしい生徒たちの声>


 いつの間にか浦瀬とのゆっくり流れていた時間も部活終わりの生徒たちの声に掻き消され、浦瀬の今日を無事に守ることが俺に出来たのだと安堵していた。

 ずっと隣にいた浦瀬とはいろんな会話を長時間に渡ってしていたものの、やはり前よりは少し距離が遠くなってしまったのだなと実感し、俺は少し切ない気持ちにもなっていた。




 本当に何も起こらなかった……

 そのことが家に着いてからもまだ信じられなかった。

 俺はどうにか浦瀬を守りたいと一日中気を張っていたせいか、とても疲れを感じていた。

 今日はもう休もう……

 最後にルーティーンとなっているそれぞれのアカウントの確認だけし、横になろうとしていた時、

「何だよ、これ……」

 思わぬ形で俺の疲れは吹っ飛びそうになっていた。



 <スクープ>


 その文面とともに俺と浦瀬の写真……

 これって、今日のやつか……?

 それは過去の俺が自分のアカウントに上げていたものだった。

 すでにその投稿には数百いいねが付いていて、そのほとんどが学校の奴だろうと思った。

 この投稿が意味すること……

 それは人によっていろいろな捉え方があるだろう。

 でもただでさえこの投稿をした奴は学校中の奴らに慕われているんだ。きっと良い意味に捉えてくれる奴は少ないだろうな……

 俺が関わるせいで浦瀬がより辛い思いをすることになっている……

 浦瀬もこの投稿を目にしてしまったんだろうか……

 浦瀬を助けに来たはずが、今の俺自身がきっかけで浦瀬を何度傷つけてしまっているだろう……

 これは過去の俺から見れば大したいじめではないのかもしれない。

 けどそんな大したことないような投稿一つに俺は言葉を失っていた。

 それはもう、浦瀬と関わることが俺自身も怖くなってしまったような……

 その投稿を目にした日から、自然と俺の方からも浦瀬との間に距離を取るようになっていた。






 何か今日はいつもより生徒の数が少ない気がするな……

 掃除をしながらふと俺は思っていた。

 そんな時、帰り際の女子生徒たちの話し声が俺の耳にも聞こえてきた。


「あと一週間だよ?」

「どうしよ、何も頭に入ってない……」

「最初の教科って何だったっけ?」

「英語じゃない?」

「うわ、英語苦手……」「私も……」


 その生徒たちの話し声から、今日でテスト1週間前に入っていたのだと気付いた。

 テストかぁ……懐かしいな……

 過去に来てから数ヶ月。学生時代の記憶が遠のいていた俺にとって、あんなに嫌いだったテストでもどこか懐かしく感じていた。

 浦瀬も今頃勉強しているのかなぁ……

 どれだけ浦瀬と俺の間に距離が開いていたとしても、以前と同じように俺の頭は浦瀬のことを中心に動いている日々だった。




 学校に残って勉強している生徒以外は多くの生徒たちが帰宅をしていた。

 そんないつもの放課後とは少し違う静かな学校には、掃除をする俺の箒の音だけが鳴り響いていた。


 

 <近づいてくる足音>


 しばらくするとそこに誰かの足音も加わり、徐々にその音がはっきりしてきているのが分かった。

 気になった俺は自分の箒の手を止め足音の方に目を向けてみると、こっちに向かって来る一人の人影が見えた。

 またあいつらか……

 俺はまだ明確になっていない人物像に過去の自分の仲間を当てはめていた。

 俺の中では過去の俺たち以外、今の俺に用がある人なんていないと思っていた……

 次は何を言ってくるのか。それに対して何ということが正解なのか。

 もう俺には何も分からなかった。

 俺の行動によってまた浦瀬が傷ついてしまう……

 ただこの前までにあったことを思い出し、俺は罪悪感でいっぱいになっていた。


 でも近づくにつれて、その人影が仲間ではなく藤波だったことに気付いた。

 藤波?何の用だろう……

 俺にとってその人影が藤波であることは意外だった。

 藤波から何を言われるのか、今の俺には心当たりが全くない。

 そんな藤波にも、俺はまた仲間とは違った怖さを感じてしまっていた。

 どこか感情の読めない雰囲気で俺の目の前まで近づいて来ている藤波……

 ある意味それは仲間の誰かに話しかけられるよりも怖かった。


「あの、三靏さん。

結乃と何かあったんですか?」

 近づいてきた藤波が最初に俺に話しかけてきた言葉はそんな内容だった。

 結乃……あぁ浦瀬のことか……

 突如に藤波の口から出された下の名に、それが浦瀬のことを意味しているのだと認識するのに少し時間がかかっていた。

「あ、えっと……どうして?」

 俺は藤波が浦瀬から何か聞いてしまったのかと思い、不安になった。

「今ちょうど結乃と一緒にテスト勉強をしてたんですけど。

私が三靏さんの名前を出した時、少し結乃の顔が曇って見えたというか……

前までなら三靏さんの話を嬉しそうにしてたのに、喧嘩でもしたのかなぁって思って……」

「何で浦瀬に聞かずに俺に聞くの?」

「そんなこと、結乃に聞けるわけないじゃないですか。

もし結乃に聞けるならもうとっくに聞いてますよ。

聞けないからわざわざ三靏さんに聞きに来たんです」

 確かに浦瀬には踏み込んで聞き辛いという経験が俺にもいくつもある……

 藤波もそれと同じってわけか……


「なんていうか、俺から答えられることもないけど。

でもきっと俺が浦瀬の傍にいることが良くないのかなって思ってる……」

 それが今の俺が考えた結果だった。

「え?三靏さんが結乃の傍にいると駄目なんですか?」

「駄目っていうか、元々俺は浦瀬のお父さんと繋がりがあるだけで……

浦瀬がそんな俺のことをどう思ってるのかなんて俺には分からないよ。」

 俺と浦瀬の関係は、誰も望んでいないただの繋がりだけの関係。

 そして俺はそれを自分のためにと利用しているようなものかもしれないということ。

 つまり浦瀬のために作られた関係性ではなかった。でも藤波は、

「確かに、結乃って正直何を考えているのかよく分からないですよね〜」

「えっ……」

 またそのことで何か聞き込まれるのかと思っていた俺は、藤波からの意外な共感に驚きを隠せなかった。

「だって結乃って一人で考え込んでいるっていうか、時々悲しそうな顔をするんです。

でも顔だけで何も言ってはくれないっていうか……

本当は親友として相談してほしいって思ってるんです。

けどもしかしたら私は結乃にそこまで頼りにされていないのかもって、悩んでいたんです」

 藤波も俺と似たような悩みで浦瀬のことを見ていたのか……

 いじめのことさえまだ何も知らず、気付いてもいない藤波の前では俺に対する態度とは違って常に笑顔で明るい面しか見せていないのだと思っていた。

 さっきまでの様子から浦瀬の親友として思うことを話し、少し悲しそうな様子へと変わった藤波に、

「俺もそうだよ。

俺なんか、浦瀬が抱え込むことを増やす一方だし……

でも浦瀬は深くまで話さなくても、君のことを頼りにしているんだと思うよ。

俺の前で君の話をしている時の浦瀬は楽しそうだし。」

 俺も落ち着いてそう話せていた。

 それは俺と同じ悩みを持っていたと知れた藤波を、どこか勝手に仲間のように思い励ましたくなってしまっていたのかもしれない。


「そうなんですか?

でも、私だけじゃないってことに安心しました。

結乃の悩みはみんな共通ですよね。

けどやっぱりいつかは、何でも相談してもらえるような関係になりたいなぁ。

まぁ今でも本当に頼りにされているっていうなら幸せなんですけどね」

 藤波は俺の言ったことをまだ信じられていない様子だった。

 けど藤波の浦瀬を思う気持ちは俺の気持ちとは違い親友という絆からくる思いで、俺のとはまた別であるような気もした。

「良い友達なんだね。

浦瀬と仲良くなってくれてありがとう。」

 浦瀬には藤波という存在が必要だった……

 その確信から来る言葉だった。

「何で三靏さんがお礼を言うんですか?」

 藤波は少し笑いながら言った。

「あ、いやそれは……」

 確かに俺は何でそんなことを口に出してしまったのだろうと我に返っていた。

「結乃は私にとって大切な友達の一人です。

それから結乃の友達も、私にとっての友達です」

 俺が答える間も無く藤波はそう言っていた。


 藤波は浦瀬の親友にふさわしい、そんな心を持った人だった。

 先生も忙しくなり、浦瀬とも距離ができて……

 藤波は、そんな一人になっていた俺に久しぶりにできた友達のように思えた。

「ありがとう。頼りにしてるよ」

 でも藤波と俺が繋がったからといって、何か根本的なことが解決するわけでもない。

 浦瀬がどこまで藤波に打ち明けているのか、この会話だけでは詳しく分からなかった。

 ただ俺から見えた藤波は、いじめについて少しも疑う様子がないように思えた。






 テストまであと三日と迫っていた頃、

 今日も二人で勉強か……

 教室内で浦瀬と藤波の楽しそうに話す光景が目に沁みた。

 本当に二人は仲が良いんだなぁ……

 あの日以来、浦瀬から少しずつ笑顔が消えていっているように思えていた俺にとっては二人の関係が羨ましく見えた。

 いつもは一人で過ごしている浦瀬も、今日は藤波と一緒。

 今日は大丈夫そうだな……

 過去の俺だって一人きりではない浦瀬には容易に近づき辛いだろうと俺は安心することができた。


 俺は藤波のおかげで目を話せる時間ができた今日を使い、教室とは真反対側の方に当たる場所を重点的に。

 さらには普段は簡易的にしかできていない掃除も今日は念入りにこなすことができていた。


 しばらく集中して作業を続けていると……

「三靏さーん」

 後ろの方から藤波らしき人の声がした。

 俺を探してここまで来たのか……

 わざわざ俺を探してまで来るということは何か大事な話でもあるのかと思い、俺は手元の作業を中断して藤波の方を向いた。


「勉強していたんじゃないの?」

 俺が近づいて来た藤波に聞くと、

「していましたよ。

でも少しくらいは休憩もしないと」

 藤波は特に大事な話というより、休憩がてらにここまで来ていたようだった。

「あれから浦瀬の様子はどう?」

「結乃ですか?

んー特に変わった様子はなさそうですけど、まだ結乃とは気まずいままなんですか?」

「気まずいっていうか、話せてはいないかな……」

「うーん……

三靏さんと結乃がそういう状況だと、私も困りますねぇ……

どうにか仲直りできないんですか?」

「仲直りって言われても、別に喧嘩してるわけではないから……」

 藤波に浦瀬との間で何があったのかを言えるわけもない俺は、ただ単純な喧嘩ではないことだけを遠回しに言っていた。

 けどあまりよくその言葉の意味を理解できていないのか、それを聞いた藤波はきょとんとしたような顔を見せていた。

 藤波のその顔からはもっと詳しく教えてほしいというような雰囲気も感じはしたが、俺自身はこれ以上この暗くなるような話を広げてほしくはない。

 かと言って藤波が教室へ戻ろうとする気配もないし……


「あ、そういえばお姉さんがいるの?」

 俺はどうにか話を逸らすため、ふと思い出したことを口にしていた。

「お姉ちゃんなら、一人いますけど……」

 藤波は急に俺が話題を変えたことに多少不審な顔をしていたが、それでも俺の問いかけには答えてくれていた。

 それに対し俺もそんな藤波の不審な様子には気付かないふりをして、無理矢理その話を続けることにした。

「仲は良いの?」

「はい、良い方だと思いますよ。

私にとってはたった一人の姉妹であり、友人のような存在なので」

「そうなんだ……

俺には兄弟とかいないから、なんかそういう関係っていいよね。」

 一人っ子の俺にとって、藤波のような歳が近い家族がいることは羨ましく感じた。

 俺にもそんな兄弟がいれば、こんな人生にはならなかったのかな……

 叶うことのない別の人生を俺は心の奥底で膨らませていた。


「でもお姉ちゃん、昔から体がすごく弱くて。

発作とかも頻繁に起こすから、そんなお姉ちゃんが心配で……」

 発作……そうだったんだ……

 楽しそうに映っていた藤波との写真から、お姉さんの体が弱いなんて想像もしなかった。

「それは、確かに心配だね……」

「でもだから私、そんなお姉ちゃんのためにも看護師目指そうかなぁと最近は勉強に力を入れているところです!」

 未来を見据え、目を輝かせて言う藤波。

「ならこんなにここで休憩してていいの?」

 俺の言葉で藤波は思い出したように慌てて教室へと戻って行った。

 慌てて走って行く藤波の後ろ姿、その藤波の誰かのために堂々と頑張れる姿が俺の中ではカッコよく見えていた。






 それからあっという間に時は経ち、また放課後の学校には生徒たちの騒がしい声が響き渡っていた。

 みんなが苦しんだであろうテスト期間も終わり、無事にテストを乗り越えることができたのか藤波の新たな投稿には姉妹二人と浦瀬の3人が楽しそうに映っている写真が上がっていた。


 <夢に向かって頑張る!!>


 そんな藤波の投稿に、

「頑張れ」

 その思いを乗せて俺はいいねを押していた。

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