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全ての終わりに微笑みを  作者: 橘樹儚椛
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2、失われた日々

 三日後、先生と待ち合わせをした俺はある場所へと連れて来られた。

 そこはよくあるマンションの一室で、部屋の中は先生が度々片付けに来ているという話から物はすべて整理されているような状態だった。


 部屋は一人で住むには丁度良い広さのワンルームで。

 廊下から続く部屋の奥まで進むと、そこには壁に沿うように備え付けられていた俺の背丈をも超える高さの本棚があった。

「ごめん入月、そっちから押してくれないか?」

 先生はその本棚を横にずらしたいのか、俺にそう声を掛けてきた。

「はい……」

 訳も分からず、俺は言われるがまま先生と一緒に本棚を横へと動かした。


「あ……」

 これは……

 本棚を動かすと、その後ろには壁の中に扉の取っ手のようなものだけが不気味に一つ付いていた。

「これだ。

これが、過去と今をつなぐ扉。」

 見たところ扉の形などなく、見えるものは取っ手だけ。

 でもきっと、この取っ手の先に何かが……

「ここから、過去へ……」

「そうだ。過去へ行くには、この取っ手を引けばいい。

そうすればこの取っ手を取り囲む周りの一部の壁が一時的に扉と化してくれる。」 

 先生は当たり前のようにそう言った。

 けどそう聞いても、扉を開くまでは未だどうなるのか想像は出来ない。

 それでも先生の言っていたことは本当だったのかもしれないと、今更ながらに俺はまた実感していた。


「この扉はこの世で一つ、唯一時空を越えることのできる扉だ。

この扉はこの世の時空バランスを司っている。

だからこそお前が扉を開けて少しでも躊躇していたら、その扉を開けている時間だけこの世の時空のバランスも崩れることに繋がってしまう。

向こうの過去の世界へ着いたとしても、お前がこっちの世界を振り返ってる余裕なんてない。

ただ扉の先へ着いたことを確認したら、お前に出来ることは振り向かず扉を閉めることだけだ。

もし躊躇するような思いが今のお前にまだあるなら、それは今のうちに解消しておけよ。」

「わかりました。でも大丈夫です。

躊躇するような思いは昨日のうちに消えてなくなってますから。」

「そうか、それなら安心だな。

じゃあ最後、扉を開ける前にお前が行きたい、戻りたいと思っている日を口に出すんだ。それから今言った手順で扉を開ける。

そうすれば、扉を開けた先にはお前が望んでいた世界が待っているはずだ」

 先生に言ったように、すでに俺の中で怖さはなかった。

 ただ目を瞑って口に出していた。

「一年前の今日。」

「そのまま開けろ」






 先生の言葉のままに俺は扉を開け、開けたと同時に目を瞑って一歩踏み出し扉の先へと渡っていた。

 ひょっとしたらそれは、全く怖さなどないと思っていた俺の中でちょっとした不安がまだ残っていたからなのかもしれない……

 扉を越えたと分かった瞬間、そのまま振り返ることなく扉を閉めゆっくりと目を開けてみると、

「え……」

 扉を越えた先は、目を疑うほどに扉を開ける前と全く同じ部屋のままだった。

 慌てて後ろを振り返ると、さっきまで先生と一緒にいた部屋と同じように不自然な取っ手が壁の中に一つ、すでに閉まってしまっていた扉と共にそこに先生の姿はもうなかった。

 そういえば、扉の先のことは聞き忘れていたな……

 俺が扉を抜けて一番に不安になったこと。

 それは本当に俺は過去に戻れたのか……ということだった。

 部屋には片付けに来た際に先生が置いていったのか、カレンダーが掛けてあった。

 不安になりながらそのカレンダーに目を通してみると、カレンダーは一年前の月を示していた。

 あ、そういえば俺……

 そう思ってズボンのポケットに手を当ててみると、

 あった……

 扉を抜ける前に入れっぱなしにしていた携帯があったことを思い出し、俺はそれをポケットから取り出した。


「え、どういうことだよ……」

 携帯の電源を入れてみると、そこに表示されていたのは過去に戻る前と同じままの日付だった。

 過去に戻れたと信じたいものの、変わることのない携帯の日付…… 

「でも、これって……」

 何気なくいつもの癖でそのまま携帯を開きSNSを見てみると、ここ最近まで誰も見もしないようなツイートを残していたはずの俺のアカウントはちょうど一年前までの投稿で止まっていた。

 他にも写真フォルダー、メール、携帯の中にあるものすべてが一年前の日付で……

 確かにあったはずのものが、一年前の今日以降全て無くなっている……

 ってことは本当に俺は……

 何度見返そうと携帯の日付だけは変わらないものの、他の条件から過去に戻れたと考える方が妥当だと思えた。

 俺は最後まで先生のことを信じ切れていなかったのか、過去に戻れたことを改めて不思議に思ってしまっていた。



「一応、隠しておいた方がいいよな……」

 さっき先生と扉の前から動かした大きな本棚、今度はそれを一人で俺は動かしていた。

 重っ……

 二人で動かした時にはそこまで感じなかったものの、一人で動かすには時間がかかってしまうような重さだった。

 何とか最後まで動かし扉を隠すことができた俺は、事前に先生から渡されていた過去の先生が住んでいるという自宅住所をもとに過去の先生へ会いに行こうと思った。


「えっと……」

 この部屋の鍵はどこだろう……

 このまま鍵を掛けずにここを出るという選択肢もあったが、人の家であることには間違いないし……

 俺はもしものことを考えてこの部屋の鍵を探し始めた。


 無いな……

 だがしばらく探しても鍵は見つからず……

 先生が隠しそうな場所……とは言っても、先生が考えることなんてまだ出会って数ヶ月の俺なんかに容易に分かることではなかった。

 ただ当てもなく、何となく部屋中を歩き回り俺は玄関の方へと着いていた。「あっ……」

 そこには靴棚の上に小さな箱が置いてあり、その箱をそっと開けてみるとこの部屋のスペアキーらしき鍵が一つ入っていた。

 あ、そういえばそうだった……

 数ヶ月の間の先生の記憶の中で思い出したこと、それは先生が忘れっぽい人であったことだった。

 自分の担当授業の時にもよく忘れ物をして、職員室まで何度も取りに帰ってた日もあったっけ……


 とりあえず鍵も見つかり、それ以上部屋の物にも触れないまま俺は玄関に掛かっていた帽子を深く被って外へと出た。

 行き先は、過去の先生のいる場所……






 先生の分かりやすく書いてくれていたメモから、俺はほとんど迷うこともなく過去の先生宅まで着けたは良いものの、インターホンを押すのに躊躇してしまっていた。

 どんな人が出てくるのだろう……

 俺を知らない先生、それは俺にとっても同じ意味だ。

 もし一年の間に先生が大きく変化していたとしたら、俺の知っている今の先生とは全く別人のような人が出てくるかもしれない……

 嫌な想像ばかりが頭を巡り、そんな自分を落ち着かせようとしていた時、

「行ってきまーす」

 玄関から出てきたその人の声は、俺にも聞き覚えのある声だった。

 その人は買い物に行こうとしていたのか、エコバックと見られるものを片手に家にいる誰かにそう声を掛けていた。

「えっと……」

 振り返ったその人と目があった時、玄関先で立ち止まっていた俺を見て不審者っぽく思われてしまったのか、俺のことを見たその人は少し困惑しているようだった。

「あーあの……

先生っていますか?」

 俺は変に誤解されないうちにと思い、咄嗟に出てきた言葉をそのまま言っていた。

 けど言ってから気付いたが、俺が先生と言った人はまだ俺の先生にすらなっていない人……

 この言葉をきっかけに、また余計に誤解されないことだけを俺は祈った。


「お父さん、ですか?

ちょっと待ってて下さいね、今呼びます」

 誤解されるどころかその人は俺が先生に用があると知った途端、玄関先から家の中に向かって、

「お父さーん、お客さん来てるよー」

 俺の代わりに先生のことを呼んでくれていた。

 高校生になった俺とは違い、まだ中学生らしい幼さも残っているその感じ……

 そう。今俺の目の前にいるその人こそ、これから俺が救わなければならない浦瀬うらせ結乃ゆのという存在だった。

 でもそれは理由付けの話であって、元々は浦瀬よりも俺自身を救うためにここへ来たというのが一番の理由でしかなかった。

 きっとこの時の俺の浦瀬に対して救ってあげなくてはという思いなんてほとんどないに等しかっただろう……


「お客さん?」

 浦瀬の声掛けで家の奥から出て来た人は、今とほとんど変わることのない先生の姿だった。

「先生……」

 その姿を見た瞬間、俺は小声でそう言ってしまっていた。


「じゃあ私はこれで、行ってくるね」

 浦瀬は俺の目を見て言った後、先生の方を見て手を振って言った。

「おう」

 先生もそれに対し手を振ると、そのまま浦瀬は買い物へと出かけて行ってしまった。






「君は……」

 浦瀬が出かけて先生と二人きりになると、先生は俺を見て不思議そうにそう聞いてきた。

「あ、あのこれを……」

 目の前の先生にとって俺はまだ見ず知らずの存在。

 そんな俺をどこの誰なのか知りたがってるようにも見える先生。

 けど人見知りもあってうまく説明できそうにない俺は、過去に戻る前に先生から過去の先生へ渡してほしいと預かっていた一通の手紙を渡した。


 その手紙に何が書いてあるかなんて分からない。

 でも先生のことだし、人見知りの俺がこれからここで上手くやっていけるようにアシストしてくれるようなことを書いていてくれているはず……



 目の前の先生は渡された手紙をゆっくり読んでは、時折険しい顔も見せる場面があった。

 何だろう……

 やっぱり一度くらいは自分も読んでから渡した方が良かったのだろうか……

 そんなふうに手紙を読む先生の姿を見て思っていた。

 でもあの時は浦瀬がいなくなってから急に変化した空気感に耐えられず、咄嗟の勢いで渡してしまった。

 そこに何が書いてあったのか。

 手紙を読んだ先生は何かを納得してくれたように俺を家へと入れてくれた。






「それで?これからどうするつもりなんだ?」

 家の中へ入るとすぐ、まだ何も俺からは説明していないものの手紙にある程度のことが書いてあったのか、過去の先生はこれまでの経緯を理解しているように俺にそう聞いてきた。

「あ、えっと……まだ、何も決まってないです……

でも、目的はあります。」

 まだこの世界では何も起こっていない。

 何も知らない今の先生にならすべてを打ち明けても大丈夫なのでは、そして打ち明けることで俺自身が解放されたいという気持ちがあるからなのか。

 それとも過去に戻ってまで浦瀬を助けようとしている。

 その行動からこれから先に起こるであろう本当のことを打ち明けても許してもらえるのではないかと一瞬でも思ってしまったのか。

 多分、前者の方だろう……


「目的?」

 けど俺のその言葉に聞き返してきた先生の表情を見た瞬間、

「あ、その……」

 その表情は俺の想像から少し外れるものがあったのか、すぐに冷静さを取り戻した俺は安易に続けそうになってしまった言葉を留めていた。


 過去の世界で頼れるのは、今俺の目の前にいる先生しかいない……

 そう分かってはいても、それでもやっぱり俺はすべてを正直に先生に話すことは出来なかった。

 もし俺が今すべてを正直に打ち明けたとして、それを聞いた先生は俺に何て言うだろう……どう思われてしまうのだろう……

 そんな自分勝手な考えだけが脳裏に浮かび、唯一頼れると言われた目の前の先生から遠ざけられるような視線を向けられるのが怖かった。


「いじめに気付いていたのに、助けてあげられなかったんです……」

「いじめ?」

「浦瀬さんです。

俺は一年後の未来から来ました。

その理由は、一年前に見て見ぬふりをして助けてあげられなかったいじめから浦瀬さんを助けたいと思ったからで……」

 自分でも怖かった。

 怖いくらいスラスラと自分の口から嘘が出ていた。

「そうか……

戻って来てくれてありがとう。娘を頼むよ」

 そんな嘘を先生は素直に信じてくれていた。

 ただ優しく温かい先生のその声は、俺の片隅にあった罪悪感をより強いものにしていた。





「ただいまー」

 しばらくすると、玄関のドアが開く音と共に浦瀬の声が聞こえた。

「お、帰ってきた」

 帰ってきた浦瀬は家に着くなり俺を見て、

「これ、よかったら食べませんか?」

 そう言って嬉しそうに箱に入ったケーキを見せてくれた。

「おー、美味しそうじゃん」

 俺の横から箱の中を覗いて先生が言った。

「でしょ?すぐ近くのケーキ屋さん。

いつもは高くて買えないんだけど、今日は何とかデーっていうバーゲンしてたからいつもより安くなってたの。

残り三つだったし、まだみんないるかなぁって思って買ってみたの」

「ならせっかくだし食べるか、君も食べるだろ?」

「あ、はい……いただきます……」

 ケーキかぁ……誰かと食べるなんていつ振りだろう……

 何気ない二人からの優しさ。

 この人たちにしてみれば、これは当然の優しさなのかもしれない。

 でも俺の人生では一度も触れることのなかった。そんな優しさだった……






 二人はケーキを食べながら俺の目の前で楽しそうに会話を弾ませていた。

 その光景は、誰が見ても理想の親子そのもので……

 幸せそうに笑う浦瀬の姿は、俺がイメージしていた人とは少し違っていた。

 浦瀬と同じように僕の前で幸せそうな笑顔を見せる先生……

 そんな先生も、僕が知ってる先生とはまた少し違った笑顔で……

 心から今の時間を幸せに感じているんだろうなと思わせるような笑顔だった。

 僕の知ってる先生も、本当だったら今もこんなふうに……

 そう思うと、何も知らずに笑顔を浮かべている目の前の先生に申し訳なさでいっぱいになってしまった。

 絶対に変えなければいけない。今とは違う未来に……

 俺はそう強く心に訴えかけられていた。






「「ご馳走様でした」」

 ケーキを食べ終えると、二人は手を合わせて嬉しそうに言った。

「美味しかったな」

 先生は浦瀬の方を見ると、続けてそう話していた。

「うん、また誕生日の時にでも買ってみる?」

「それもいいな」

 未だ繰り広げられる先生と浦瀬の明るい会話……

「なら食べ終わったお皿、私洗っとくね」

 浦瀬はそう言うと台所の方へと移動した。


 「ご馳走様です……」

 少し遅れて食べ終わった俺も手を合わせて静かに言った。

 俺なんかがここにいて良かったのだろうか……

 俺は何をしにここへ来たのだろう……

 本当のことを言うこともできず、呑気に甘いものだけご馳走になっては会話にも入らず居座って……

 多分俺がいることで、本来ならもっと良いはずの二人の雰囲気も乱してしまっていただろう。

 きっと俺がこれ以上ここにいても、邪魔になるだけだろうな……


「俺はこれで、失礼します……」

 考えた末にそう言っていた。

「失礼するって、どこか当てでもあるのか?」

 急に失礼すると言い出した俺に驚き気味に聞いてきた先生。

「……」


 その先生の質問に、今日どこで過ごすかも決まっていない俺はすぐに言葉を返すことが出来ないでいた。


「決まってないんだろ?

ならあそこの部屋、使っていいから」

 俺が答えられずにいると、先生からしょうがないといったようにそう言ってくれた。

「あそこの部屋って……」

「ワンルームのパッとしないあの部屋だよ。

あそこからここへ来たんじゃないのか?」

 俺が未来から来たと言った時点で、あの部屋を経由してここへ来たということは先生の中ですでに把握済みのようだった。

「あ、はい。そうです。」

 理解が追いついた俺はすぐに返事をした。

「特に大した部屋じゃないけど、あそこならお前一人が暮らすには十分だろ?」

「はい……

あの、ありがとうございます……」

 俺は未来に戻るまでの間だけという条件のもと、過去へ来る時に経由した部屋を先生から貸してもらえることになった。




「まぁ今日は結乃もいることだし、話しづらいことだってあるだろ。

明日なら結乃はいないからさ」

 先生は洗い物をしている浦瀬には聞こえないくらいの声で俺に言った。

「はい。

なら明日また、ここへ来ます。」

 本格的に動くのは明日からということにし、今日は一旦借りられることになった部屋へと戻って俺は休むことにした。


「結乃、お客さん帰るって」

 俺が帰ろうと席から立ち上がると、先生が少し離れた場所にいた浦瀬に伝えていた。

「え、そうなんですか?

またいつでも来て下さいね、家ならいつでも大歓迎です!」

 気付いた浦瀬は知り合って間もない俺なんかに満面の笑みでそう言った。

「はい。ありがとうございます」

 そんな笑顔に釣られ、浦瀬にお礼を言った時の俺の顔は久しぶりに少し明るい表情になれていた気がした。


「じゃあまた明日な」

 玄関まで俺を送ってくれた先生はそう言って手を振ってくれた。

「はい」

 一言返事をした俺は、そのまま先生宅を後にした。






 俺は部屋へ戻るとすぐ横になりながら自分の携帯を開いていた。

 携帯が今も俺の手元にあるってことは、多分これも……

 俺はそう思って携帯のメモアプリを開いてみた。


 それは過去へ戻る前日の夜のこと、過去へ戻れるかもしれないというのにあまりにも何の準備もしていない自分をさすがに少し不安に思ってしまっていた。

 かと言って、過去へ戻るための準備って何を……

 そんな時、ちょうど開いていた自分のSNSのアカウントを見てあることを思い出した。

 過去の俺、戻りたいと思っている一年前の頃の俺は何かあるごとにSNSを更新していたこと……

 そのことに気付いた俺は、その当時の過去の投稿を洗いざらい見直してみることにした。

 すると、俺の記憶にうっすら残っていたいじめの出来事に合うような内容が同日のうちに必ず更新されていたことが分かった。

 過去に戻ったこの世界でこれが何かの役に立てばいいかなと、そんな軽い気持ちで過去の投稿の日付と内容のメモを残して来ていた。


 はぁ、疲れた……

 でも今日は過去の世界に来た初日ということもあり、その内容に少し目を通しただけで携帯を閉じてしまっていた。






 次の日、これからの事を先生と二人で話し合うため俺は先生宅へと向かった。

「よし、じゃあ始めるか」

 俺が家に着くなり先生は本題へと入った。

「はい。」

「とりあえずはだな、この世界で暮らすにせよどの世界でも絶対に必要になってくるものは金だ」

「金……」

 金といえば働いて稼ぐのが基本だろうが、俺はまだ人生で一度も働いた経験がなかった。



「そうか、まだ働いたことがないのか……

ならまずはバイト探しからだな」

「バイト探し、ですか?」

「そうだ。

例えば何か得意な事とかはないのか?」

「得意な事……」

 俺はすぐには答えられなかった。

「んーじゃあ好きな事とか、やってみたい仕事くらいなら一つはあるだろ?」

「……ないです。」

 元々もう終わったと思い投げ出していた人生……

 そんな人生の中で前向きに働くことなど、俺は考えたこともなかった。

 好きな事やしたい事も何一つなく、ただ人生を終わらせる方法ばかりを考えていた日々……

 俺のこれからのためにと親身になってくれている先生からの質問に何も答えることが出来ず申し訳ないという気持ちと、こんな自分がこの先この世界で本当に働ける場所があるのか、生きていく術があるのか、いろんな不安だけが募っていた。


「なら交通と給料の面から探してみるか」

「え、あるんですか……?

その、俺にも働ける場所……」

 絶望の中にいた俺は先生の言葉に驚いてしまった。

「お前なぁ、この世にいくつ仕事があると思ってるんだよ。

職さえ選ばなければ人手が足りないとこなんて山ほどあるんだから安心しろ」

 呆れたように言う先生のその様子に俺は安心することができた。



「おっ、ここなんかどうだ?」

 先生は自分の携帯から俺にあったバイトを探していてくれていた。

「ファミレス……ですか?」

 そのうち一つ先生が俺に見せてくれたのは大手チェーンメーカーのファミリーレストランだった。

「ここならお前に貸した部屋からでもそこまで遠くはないし、交通費も支給してくれて短期バイトもOK。今のお前には好都合じゃないか?」

「短期バイト?」

「どうせそんなに長く働く気もないんだろ?

過去でのことが解決したらすぐに未来に戻るつもりなんだろうし、いつでも辞められるようなバイトの方が都合がいいだろ」

「それは、そうだと思います……」

「ならここで決定だな。

個人情報だけ登録しておけば面接はいらないみたいだし、住所や電話番号はあそこの部屋のを登録して……

あとは名前と年齢か……」

「名前……」

 そういえば過去に戻る前、この世界には今の俺とは別にもう一人の俺がいると聞かされていた。

 まだ過去に戻ってから会ってはいないけど、何だか実感できない話だな……


「なら入月陸七。

お前は今日からこの世界では入月陸七卒業だ」

「卒業……?」

 俺が聞き返すと、先生は当たり前のように頷いていた。

「あ、はい。」

 その様子を見て、何となく言葉の意味を理解できた俺は促されるままにそう言っていた。


「過去、つまりこの世界にお前とそっくりそのまま同一人物がいる限り未来から来たお前の個人情報は作り替える必要があるだろ?

まぁある程度までなら証明書なしでも信じてもらえるだろうし、もし必要になった場合はまたその時考えることにしよう。」

「分かりました……」

「じゃあまずは偽名作りからだな」

 偽名か……

 俺自身、自分の汚れた名前に愛着や未練などはなく、目の前で新しい名前が作られようとする現状に抵抗感は一切なかった。


「こんなのはどうだ?

お前に幸運が来るよう願いを込めて作ってみたぞ」

 先生は書いた紙を俺の方に向け、俺のために考えてくれたという名前を見せてくれた。

 幸運か……

 そういえば、入月陸七ってどういう意味だったんだろう……

 思い返してみれば、自分の名前の由来を親に聞いたことなんて一度もなかった。

利根川とねがわ三靏みつる……」

 でも元の名前がどうであれ、俺は先生からもらったこの名前でこれから生きていく。

 未来に戻るまでは、ただこの名前だけを大切にしたいと。そう思った。






 その後も話し合いは続き、新しく個人情報を作り替えることが出来た。

 この世界で俺は入月陸七という名から利根川三靏となり、年齢は実際よりも一つ上の17、高校は既に中退しているという設定だった。

 その中退したという高校で先生と出会い、行き場をなくした俺は先生を頼りにここへ来たということでこれから先は話を通していくことになった。

「その他の細かい部分はお前に任せるよ。

適当に誤魔化しておけば人生なんとかなるだろうしさ」

「はい……」

 先生はある程度のところまで決めると急に雑になっているようにも見えてしまった。

 先生の任せるという言葉に俺は不安しかなかったが、タイムスリップしたという事実よりはまだ信じてもらえる話だろうと、俺はこの設定を忠実にするために先生に言われた内容を深く自分の頭に叩き込んでいた。


 それから俺は先生に言った。

「俺が学校に潜入できれば、浦瀬がいじめられるという事態を防ぐことができるかもしれないんです。

だから何か、今の俺でもあの中学校に出入りできるような方法はないですか?」

 あまりにも先生頼りな質問。

 だとしても俺には少しでも学校に、過去の自分に近づける方法が俺には必要だった……

「学校に出入りする方法か……それは難しいなぁ。

もはやお前は中学生でもないし、個人情報を提示しない限り教師として出入りするなんて方法も怪しまれるだろうしな。」

「何でもいいんです。

とにかく学校に入ることさえできれば俺は……」

「分かった分かった。

まぁちょっと当たってみるよ」

 先生は俺にそう言い残し、その日の話し合いは終わることとなった。






 先生との話し合いを終えてから数日が経ち、俺の携帯には先生から一件の通知が入っていた。


 <あれから学校に掛け合ってみたけど、清掃員ってとこまでが限界でな。

  時間も放課後、生徒が帰宅してからの16時以降じゃなきゃ許可は出なかった。

  俺の力ではここまでが限度ってとこなんだが、この条件でも呑んでくれるか?>


 清掃員か……

 確かに時間的には不利な条件だけど、清掃員なら掃除をしながら学校内を自由に動き回ることができるかもしれない。

 これ以上あるかも分からない条件に時間をかけるより、少しでも希望があるこの条件に賭けた方がいい。


 <はい、ありがとうございます。

  この条件で十分です。掛け合っていただきありがとうございました。>


 条件は最高なわけではない。

 それでもすべてのことが現実味を帯びてきた、そんな気がしていた。






 これからのことも決まり、学校に出入りできる方法も得ることができた。

 少し安心した気持ちになれていた俺は過去に来てから初めて、先生から貸してもらっているこの部屋の片付けをしていた。

 そんな時、


 <インターホンの音>


 誰かがこの部屋の玄関先にあるインターホンを鳴らした。

 誰だろう……

 この部屋に用があるのは先生くらいしか思い付かなかったが、色々決まったこのタイミングでわざわざ先生がここへ足を運んでくるとは思えないし……


 俺はドアスコープから外を覗くことなく、恐る恐る玄関のドアを開けると……

「こんにちは。

あ、あの突然すみません……

これ、作り過ぎてしまって……」

 そこにいたのは浦瀬だった。

 浦瀬は保温バックのようなものを片手に俺に言った。

「これは……」

「浦瀬家特製のシチューです。

久しぶりに作ったので分量を間違えてしまって……

でもせっかく作ったので、三靏さんもよかったらどうですか?」

「あ、ありがとうございます……」

 俺は急なことに何て返せばいいのかも分からず、少し素っ気なくも感じるような動揺した返しをしてしまった。

 でも俺の断ろうとしない様子を見てか、浦瀬は嬉しそうに微笑んでいた。


「片付け、手伝いましょうか?」

 浦瀬は玄関から部屋の中を覗いて言った。

 先生から借りられることになったこの部屋……

 借りている立場で文句なんて言えるはずもないのだが、玄関から一直線に続いているこの部屋で片付けをしていれば浦瀬の視線からでも俺が部屋の片付けをしているということなんて丸分かりだった。

 本当は一人でゆっくりと片付けをしていたかったのにも拘わらず、ましてや手伝うと言ってくれたのは過去に俺がいじめていた相手……

 まだそのイメージが抜けていない浦瀬と変に会話を長続きさせたくはなかった。

 だが目の前で優しさを振り撒く浦瀬をここで断ってしまうのは失礼にあたるような気もして、意志に反して思わず部屋へと流れのままに入れてしまっていた。




 浦瀬も交えて片付けを再開し、しばらく沈黙が続いた中で浦瀬が口を開いた。

「あの、三靏さんはお父さんの生徒さんですか……?」

 浦瀬は聞いていいことなのか、俺の様子を多少窺いながら聞いてきているようにも見えた。

 先生、俺のことまだ浦瀬に説明してないのかな……


「生徒っていうよりは、元って感じかな。

中退してからも先生には助けてもらってばっかりで、多分これからも沢山お世話になるっていうか……」

 俺は先生に言われた設定のもと浦瀬に説明していた。

「そう、だったんですね……」

「先生に頼ることになるってことは、君にも迷惑をかけることになるかもしれないってことなのに……

何て言うかその……すみません……」

「何で謝るんですか?

お父さんが三靏さんのために何かをしてあげようとするってことは、それはお父さんにとって三靏さんが大切な人だからなんだと思います。

お父さんは自分の生徒さんをすごく大切にしている人だし、そんなお父さんが大切にしている人のためになら私も出来る限り協力してあげたいって思いますよ。

だから謝らないでください、三靏さん」

 そっか……三靏……

 そういえばさっきも浦瀬は俺のことをそう呼んでいた。

 それが先生に唯一教えてもらえた俺の情報だったってことか……

 まだ呼ばれなれていないその名前に俺の中では違和感しかなかったが、俺のことを三靏と呼んでくれたのは浦瀬が初めてだった。


「別に疑ってたわけじゃないんです。

でも三靏さん、良い人そうで安心しました」

 浦瀬は俺が深くまで話さずともすぐに三靏という偽の存在を信じてくれていた。

 三靏か……

 良い名前だな……


 浦瀬の中で俺と先生の関係が不思議だったのか、俺のことについて少し知れた浦瀬は安心したようにその後も俺と会話を続け、その会話は片付けが終わるまでの間ずっと絶え間無く続いていた。

 本当はそんなつもりはなかった……

 でもこの短い時間で俺と浦瀬の距離は縮まっていた気がした。

 そのことを俺は良かったと、素直にそう思ってしまっていた。






 それから1週間と過ぎ、俺が清掃員として働き始める初日の日を迎えた。

 初っ端から遅刻はしたくないと余裕を持って家を出ていた俺は、約束の16時までにはちゃんと正門前に着いていた。

 俺が中学を卒業してから半年、時とは比例せず正門から見た学校はどこか懐かしさでいっぱいになって見えていた。


「利根川さんですね、こちらへどうぞ」

 16時になると、ここの教員の一人と思われる人が俺を用具室へと案内してくれた。


「大体の掃除道具はここに置いてありますし、それぞれ用途によって自由に使っていただいて結構です。

うちは清掃員として誰かを雇ったことはないため今回は異例のケースではありますが、最近は生徒たちも掃除をサボりがちですし。

その分も利根川さんが清掃員としてこの学校を綺麗にしてくださるというなら私たちも大歓迎ですので」

 異例のケース、か……

 同じ教師繋がりとして先生から特別に頼み込んでくれていたのかもしれないな……

「あの、自由にってことは掃除の場所とかも……」

「はい。

汚れているところから中心に掃除をしていただければとは思いますが、掃除の仕方や手順等はすべて利根川さんの自己判断でしてもらって構いませんよ」

「分かりました。

ありがとうございます。」


 教員の方は俺に案内を終えるとすぐに職員室の方へと戻っていってしまった。

 俺は用具室に用意されていた清掃服に着替え、バケツとモップ、箒を持って掃除場所へと歩き出していた。


 掃除はそこまで好きな訳ではなかった。

 それでも始めてみれば、黙々と集中して作業を進めている自分がいた。



 ここは……

 汚れていた場所から掃除を始め、ふと顔を上げたその場所は俺が中三の時に使っていた教室の前だった。

 懐かしい教室を何気なく覗いてみると、その教室の中には一人の姿があった。

 浦瀬か。何してんだろう……

 一人残っていた浦瀬は席に座って何かを書いているように見えた。

 勉強かな……?

 放課後になってもまだ机と向き合っているなんて真面目だな……

 そんなことを考えながら見ていた時、ずっと席に座っていたはずの浦瀬は何かの拍子に気配を感じたのか俺の方に振り返ってきた。

 咄嗟のことに俺は目を逸らすタイミングを失い……

「三靏さん……?」

 浦瀬からの呼び掛けにただ苦笑いすることしか出来ずにいた。


「掃除、ですか?」

 浦瀬は座っていた席から窓の外にいる俺の方へと近づき話しかけてきた。

「実は、今日から清掃員としてここで働くことになってて……」

「そうだったんですね。頑張ってください」

 俺が清掃員として傍で働くということを浦瀬は思ったよりもあっさりと受け入れていた。

「ありがとう。

ところでみんなもう帰ってる頃だけど、こんな時間まで何をしていたの?」

 俺はついでに気になっていたことを浦瀬に聞いてみた。

「日記です」

「日記?」

「はい、実は私まだここに転校してきたばかりで……

だから学校に慣れるまでの間、一日の出来事を日記に書き留めておこうかなって思って」

 転校生……

 そういえばそうだった。

 浦瀬に言われるまで俺はそのことをすっかり忘れてしまっていた。

 確か浦瀬は、二学期が始まると同時にこの学校へ転校してきたんだっけ……

 今思えば、この前お邪魔した時の先生宅も綺麗だったな……


「あ!そういえばさっきの掃除時間、サボっている人たちがいたんです。

その場所はその人たちの担当場所だから、きっとすごく汚れていると……」

 何となくその浦瀬が言うサボっている人たちというのが昔の俺たちのことを指しているような気がした。

 俺には思い当たる節がある……

 中学時代の俺は掃除時間を休憩時間だと捉えていたし、多分一度もないからこそ当時の俺が真面目に掃除をしていた記憶を探す方が大変だった。


「なら今からその場所掃除して来るよ。」

 過去の自分の分も……

「え?分かるんですか??」

 浦瀬は何も言わずともその場所が分かるといったような素振りを見せる俺に驚いていた。

「あ、いや……何となく?」

 危うく浦瀬にバレてしまいそうになった俺は咄嗟の判断で適当に誤魔化していた。

「良かったら私、時間あるのでその場所まで案内しましょうか?」

「あ、そうだね。ならお願いしようかな……」

「はい!

分かりました、任せてください!」

 浦瀬は自分が頼られたことが嬉しかったのか敬礼ポーズを取りながらそう言っていた。



 どこか嬉しそうに目的地までと歩き出す浦瀬をよそに、俺はその場所に近づいていくにつれ暗くなっていくような気持ちがあった。

 一年前の自分の行いを振り返りに向かっているような、そんな心情……

 でも今の俺がそんな過去の自分の代わりにと気持ちを切り替えようとしていた時、

 やっぱり俺のことか…… 浦瀬の案内していく場所は、あからさまに俺が中学時代担当していた掃除場所に近づいて行ってるに過ぎなかった。

 転校してきてまだ間もない浦瀬は、そんな過去の俺のことをすでに知っていたりするのかな……


「さっきサボってたって言ってたその人たちのこと、知ってたりはするの……?」

 これから何も起きないでほしいことを願ってなのか、ただの興味本位なのか。

 俺は案内されている途中でそんなことを浦瀬に聞いてしまっていた。

「はい、知ってますよ。

同じクラスの入月って人です」

 聞いておきながら、せめて転校してきて間もない浦瀬が俺のことを知らなければと思っていた。

 浦瀬にわざわざ多少のリスクを冒してまで俺が確かめてしまった理由……

 浦瀬の答えを聞いて感じたのは、きっと浦瀬のことを少しでも知ってしまった今の俺は過去の自分でさえ浦瀬の中で良い評価を保っていたいという気持ちがあったのかもしれない……

 正直今までの俺は人からどう思われるとか、表面だけを気にするばかりで深くまで気にしたことはなかった。

 今の俺は過去の俺とは違う立ち位置で存在しているはず……

 それでも今も心の中ではまだ名乗って間もない利根川三靏より、長年過ごしてきた入月陸七の存在が強く、今の俺は三靏になんて全くなりきれていなかった。

 浦瀬は俺と入月陸七が同一人物なんて疑いもしていない。

 それなのにどこか過去の自分の影響でせっかく話せるようになった浦瀬との関係が崩れてしまうんじゃないかと恐れてしまっている自分がいた。


「大丈夫ですか?三靏さん」

「え?あ、うん。」

「何か私、余計なこと言ってましたか?」

「全然だよ、大丈夫。

ほんとに全然大丈夫だから……」

 俺の余計な考えと詮索が変な動揺を生み、浦瀬に一番隠さなきゃいけない秘密までをバラしてしまいそうになっていた。

 俺は一瞬戸惑いはしたが、それからまた何事もなく歩き出す浦瀬に俺も落ち着きを取り戻せていた。



「着きましたよ」

 目的地まで着くと浦瀬はそう言った。

「え……ここ……」

 その場所は俺が思っていたよりもずっと酷く、一年前の俺はこれを見て何も思わなかったのかというほどに一面埃と汚れで染まっていた。

 それなりに範囲が広かったことも重なり、俺はただ呆気に取られてしまっていた。

「これを、今から……」

 口に出すつもりはなかったが、あまりの酷さに口に出てしまっていた。

「やっぱり誰が見ても酷い状態ですよね……

大丈夫ですか?私も手伝うので、一緒に頑張りましょう」

 そう言って俺の様子とは裏腹に浦瀬は楽しそうに掃除を始めていた。




「うわっ……」


 <バケツの転がっていく音>


 掃除を始めてから少しして、俺は足元に置いてあったバケツに躓いてしまった。

 最悪だ……

 躓いたことで中に入っていた水を全て撒き散らし、それを思いっきり被った俺は全身びしょ濡れになってしまっていた。

 でも浦瀬は、

「三靏さん……大丈夫……」

 そんな俺を見て笑っていた。

 心配してるんだか、笑い物にされているんだか……

 そういえば過去に戻ってから今日まで、俺は浦瀬が笑っている姿をよく目にしていた気がする……

 些細なことでも楽しそうに、いつも笑顔で……

 俺は過去に戻るまで知らなかった。

 浦瀬って、こんなによく笑う人だったんだ……


 俺は未来に、この笑顔を守りたい。

 目の前の笑顔を見ながらそう思っていた。

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