3泊4日
「自分たちで班を決めろよ〜!」
担任はそう言うと、教壇から降りて端にある椅子に座った。
「おい俺と一緒になろうぜ!!」
「ちょっとアンタたち集まって〜」
クラスメイトたちが席を立ち自分たちの班を作っていく。
12月に入り、待ちに待ったイベントを2週間後に控えていた。
そう——3泊4日の修学旅行だ。
「涼夜ぁ〜、誰となる? 俺とだなよな!!」
「拒否権は?」
「え、俺以外の子と組む気なの!?」
などとちょっとしたボケは置いといて。
「冗談冗談。修学旅行もよろしくな翔吾」
「涼夜ぁぁ! おうよ! この親友1号の翔吾さんが修学旅行も楽しませてやるよ!」
全く、どこまでも陽気な親友だ。
ふと視線を横に向けると、女子の誘いを断りながらこちらにくる柚子の姿があった。
「ごめんね。わたし、涼夜と同じ班になるから」
僕がどうやら理由らしい。すごく気まずいんだけど。
「俺は!?」
「あー、はいはい。涼夜がいる班に入るから」
「だから俺は!?」
名前を出されず、何やらご立腹の翔吾はさておき、クラスの女子が困惑した表情でで僕と柚子を交互に見る。
柚子は見た目も仕草もまさかにイケメン女子といったところ。そんな彼女と修学旅行を回りたい子はたくさんいるだろう。
「柚子は他の班の方が——」
「好きな人といて何が悪いのかな?」
僕がいい終わる前に、視線を向けていた女子たちに言った。
クラス中が静まり返る。
瞬間。
「えええ!? 柚子さんって千世のことが好きなのぉぉぉ!?」
「嘘ぉ!? 柚子さんが!?」
「私の王子様ががぁぁぁぁ!!!」
クラス中が歓喜と悲鳴で沸いた。
なんか担任まで立ち上がってあんぐりとした顔で見てるし。
班が決まった後は、柚子との話を根掘り葉掘り聞かれた。いや、ほぼ尋問だった。
「はぁ……」
盛り上がるクラスから離れた休み時間。自動販売機でコーヒーを買う。
女子ってほんと恋バナ好きだよな……。
「スーくん」
「ん? ああ希華。どうした?」
振り返ると希華がいた。珍しく1人だ。




