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隣の女は、毒を中和する

「放課後を柚子に? それって……2人で遊びに行くってこと?」

「うーん……まぁそうだね。そっちよりかな。正確には、2人っきりで話をしたいことがある」


 柚子が僕と2人っきりで話したいとか珍しいな。


「僕はいいけど……」

 

 乃寧と希華には一言断らないとな。


「やっぱりあの2人の許可がいる感じ?」

「許可というか、いつも一緒に帰っているから、一言断りを入れないといけないかな。勝手に他の人と帰るのも悪いし」

「それもそうだね。今日は確か2人と食べる日だったよね。今日もお弁当?」

「いや、今日は食堂かな。なんでも期間限定メニューがあるとか」

「あー、あれね。なるほど。じゃあ今日はわたしも食堂にするとしよう。一緒に食べてくれるかい?」

「あ、うん。柚子ならいいと思うよ」


 僕経由で2人ともたまにだけど関わっているし、それに姉妹だって柚子のことは悪い人だとは思ってないだろう。……希華は何故かちょっと警戒している感じだったけど。




「今日の食堂は随分賑わっているわね」

「みんな限定のスイートポテト狙ってるのかなっ」

「そんなに慌てなくても大丈夫だよ、希華。きっとスイートポテト残ってるよ」


 券売機にずらりと並ぶ学生の列に僕らも並ぶ。


 限定メニューとはスイートポテトのことらしい。秋の味覚さつまいもをふんだんに使った、絶品スイートポテト。一年の頃は、知らなくて売り切れてしまったが今年こそは、と希華が意気込んでいるのだ。


 無事券売機で売り切れる前にスイートポテトポテトを買えた。ちなみに僕も買った。


「美味しい」


 希華は頬に手を添え、さぞかし気に入ったとばかりにパクパク食べ進める。


 すると、一つ席が空いた僕の隣に柚子がきた。


「やぁ、涼夜。それと乃寧さんと希華さん」

「あ、柚子。遅かったね」

「君たちも並んだだろ。あの行列に。少し教室を出るのが遅くてこうだよ。限定ものの効果って相変わらず凄いよね」

「まぁこんなに美味しいからね」


 僕も生姜焼きを食べる前に、ちょこっとだけ食べたが、並ぶ価値はあると思う。


「どうも柚子さん。貴方から私たちと食べたいと言ってくれるなんて嬉しいわ」

「……」

「のののの姉妹とご飯食べたいって思うのは、わたし以外の生徒、ましてや全校生徒の願望だと思うけどなー。それをほぼ毎日叶えてる涼夜ってほーんと、羨ましいよね〜」

「お、おい柚子……」


 周囲の生徒がうんうん、頷いてる。

 盗み聞きするんじゃないよ!!


「でも、その純粋に私たちと食べたーいってわけじゃないでしょ。何か裏がある。そうでしょ?」

「やっぱりバレちゃうよね。じゃあ単刀直入に言うよ。今日の放課後は2人が涼夜と帰る日だったけど……わたしに譲ってくれないかな?」

 

 ここで一旦会話が終わる。

 乃寧と希華が顔を見合わせて、何やら小声でコソコソ。対面に座っている僕たちには聞き取れない。


「嫌って言いたいけど……いいわよ」

「あ、いいんだ」

「お、お姉ちゃん!?」


 柚子は意外だ、という反応で、希華は何やら会話していた時と意見が違ったらしい。


「お姉ちゃん話が違うよ〜。私一言も良いって……」

「あれ、希華さんは不満なのかい? わたしが涼夜と2人っきりでいるの」


 乃寧にひっつき、希華は警戒するような瞳で柚子を見つめる。


「……私、まだ貴方のこと、その……」

「はは、そうかい。まぁこれからゆっくりと時間をかけてわたしとも仲良くしてくれると嬉しいよ。じゃあ乃寧さんがまとめ役って感じでOKしてくれたし、今日の放課後はわたしと帰るよ、涼夜」


 分かったと僕は相槌を打つ。


 その後4人で軽く雑談しながら食事をしたが、希華だけが最後まで納得いかないとばかりに不満気な顔をしていた。


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