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とあるズル休みのお話

 その後どうなかったというと、庄司先輩と男2人、僕は翌日、職員室に呼ばれた。

 どうやら僕の怒鳴り声で、図書室にいた生徒が異変に気づいたらしく、カーテンの隙間からその一部始終を見ていたとか。


 僕もいくら正当防衛とはいえ、被害はあっちの方が大きい。ということで、今後は気をつけろー、という意味も含めて、4人とも1日の謹慎処分になった。


 担任や友達からは「頑張ったご褒美に平日に休めるな」などという、励ましなのか、そんな言葉をもらった。


 1日休み、翌日には何事もなかったように登校。今後の学生生活にはなんの支障もなく、またいつか庄司先輩たちに絡まられると思っていたが……。


『おい、あれ……』

『ああ。アイツら……』

『動画、酷いよなー。つか、千世って以外とやるやつだったんだな』


 庄司先輩と男2人は、人目に触れるたびに陰口を叩かれていた。


 そもそも女癖が悪く、被害は僕だけではなく、他校の生徒にも恐喝などということをしていた。暴力や弱みで脅されていたため、悪事が表に出なかったとか。


 しかし、証言だけではいくらでも偽造は可能で、現に庄司先輩たちは最初、僕が一方的に殴りかかってきたとデマを広げていた。


 しかし、図書館の生徒が見ていたのは、スマホ越し。カーテンの隙間から動画を撮っていたらしく、裏掲示板に動画が貼られていた。若干のモザイクはかかっていたが、声と会話中、名前を言っていたので、すぐに生徒がわかった。


 批難の的にいる3人。あちらの方が悪いと僕でさえ思う。


 けど、ふと……


『なんでアイツが……』

『え、幼馴染なの!? 幼馴染って関係でアイツといないといけないとか可哀想〜』

『2人とも優しすぎるよね』


 理由は違えど昔、乃寧と希華といて陰口を叩かれていた自分に重なって見えてしまった。


「涼夜、アイツらの事は気にすんな。元々悪だったし、お前のおかげで悪事が明るみになったんだぜ?」


 翔吾がポンと肩に手を置き、そう言ってくれる。


「うん、そうだね……。というか、さっき庄司先輩たちと目があった時、怯えたように逸らされたんだけど……なんでだろう?」

 

 小さく悲鳴あげていたし。

 

「さぁ? 誰かがキツく叱ったんじゃね? な、柚子」

「そうだね。きっとどこか知らない誰かだよ」

「そうかな?」


 何やら顔を見合わせる2人に、僕は首をかじけた。


 一週間後。

 さすがの3人も向けられる痛い視線に肩身が狭くなり、自主退学したとか。これを機にまともな人間になってほしい。


「ざまぁねぇなアイツら。謹慎中も鬱憤が溜まったのか、色々してたみたいだぜ。つか涼夜は謹慎中何してたんだ? まぁ家でゴロゴロだと思うが」

「あー……」


 翔吾にそう聞かれ僕は、何と言おうか迷い、とりあえず苦笑を浮かべた。



 ———謹慎中


 父親は単身赴任中で、それに母親が同伴しているので、現在僕は二階建ての家に一人暮らし。仕送りで生活が成り立っているが、長期休暇の期間はバイトをしている。


 自炊は……面倒なので簡単に作れるものだけ食事を済ませている。カップルラーメンとか、フライパンで炒めるだけとか。


「ふぁ……」


 読みかけの漫画を置き、ベッドの端に乱雑に放っていたタオルケットに身を包む。


 暇、暇だ……。

 

 謹慎中……と言っても実質、お休み。やることが思いつかない。


 などと、ボーと考えていると睡魔が。


 一眠りした後、やる事決めるとするか。


 ピンポ―――ン。


「……?」


今まさに意識がなくなりそうになった時。チャイムが鳴った。


 ピンポーンピンポーン


 チャイムの間隔が徐々に短くなっていく。


 どこかの宗教勧誘だろうか? それなら無視するのが一番だ。


 そう決め、再び眠りにつこうとするも……


ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン


 チャイム連打は止まらない。


 あまりにもうるさいので、ベッドから起き、直接玄関へ向かう。


 ドアを開け、そこに立っていたのは――


「はいはいどちら様——のああああっ!?」

「あら、私たちを見て驚くなんて。酷いわ涼夜」

「スーくん、私たちは怖くないよ?」


 扉を開けるとすぐに乃寧と希華がいてビックリしてしまった。あと、予想外の人物すぎた。

 

「な、なんで2人とも……今日は平日だから学校に行ったはずじゃ……」


 驚く僕をよそに、2人は顔を合わせ、何やら企らんでいるかのように笑い合う。


 そして希華が言う。


「もちろん……サボりだよ♪」

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