冒険の書 1
冒険の書 1
お気の毒ですがあなたの冒険の書はバッドエンドでした。
あなたの冒険の書の内容についてお伝え致します。
あなたが生まれる前、あなたの故郷の村は魔族の侵攻を受けました。
その軍勢を率いて居た魔族の長は部下達に向け、
「この村は我ら魔族を滅ぼす憎き勇者を産み出す村ぞ! その悪しき未来を変える為、我らは先んじてこの村を滅ぼす! 村の女共を根絶やしにし子供を産めなくするのだ!」
と言い放ちました。
部下達はその言葉に従い、村の家々を焼き払い、目に付いた全ての村の女を徹底的に殺し尽くしました。
村の男達は怒り狂い魔族に攻め掛かりますが並の男の力では到底魔族に敵いません。
強大な魔族の力に屈した男達は魔族の横暴をただ見ている事しか出来ませんでした。
魔族が悠々と去って行った後、男達は焼き払われた村の様子を見て回りました。木造の家はすっかり焼け落ち、あちこちに村の女の死体が転がって居ました。
その様子を見て男達は呆然と立ち尽くしました。
そんな中、ふと何処かから声が聞こえました。
男達は声のする方へ歩み寄りました。その声は焼け落ちた家の地下から聞こえて来ました。
焦げて煤だらけの床の板を剥ぎ取り、中を覗くと、そこには一人の若い女が居ました。
男達は喜びました。この村には希望が残されて居た!
そして男達は女を地下室から救い出し、村の中央にある広場へと連れて行きました。
村の男達がこぞって集まって来ました。
当初は助け出された事に喜んで居た女は、男達から舐め回す様に見詰められて恐怖を感じました。
ある男が背後から女に近付き、女を後ろから羽交い締めにしました。
女は驚き、短い悲鳴を上げました。
前から悠々と別の男が近付いて来、女の服を乱暴に剥ぎ取りました。
「止めてください!」
女は叫びました。
しかし男達は魔族に陵辱された深いストレスが影響して居るのか血走った目で女を見詰め、誰一人として女を助ける者は居ませんでした。
そして男達は女に乱暴陵辱の限りを尽くしました。
その行為は何日も続き、やがて女は子を孕みました。
子を孕んだ事が分かってからは男達による陵辱の日々は無くなり、再建された家で女は子を産み落としました。
それがあなたです。
あなたの父親が誰なのかは分かりません。
女はあなたを大切に育てようと思いました。
しかし、子を産んだ後、再び女に対する乱暴陵辱の日々が始まりました。
女は自分の人生に絶望し、崖から飛び降りて自殺しました。
あなたは村の男達に育てられて成長し、やがて勇者としての力を自覚する様になりました。
あなたは魔族を退治する為、村の数人を連れて村を旅立ちました。
ある日の夜、いつもの様に野営で夜を明かして居ると、愉しげに話す男達の声が聞こえて来ました。
あなたはその会話の内容が気になり、こっそり聞き耳を立てました。
すると男達は、かつてあなたの母を陵辱して居た日々の事をさも愉しげに話して居たのでした。
怒り狂ったあなたは背後から男達に斬り掛かり、仲間の男達を皆殺しにして仕舞いました。
その後あなたは単身魔族の城に乗り込みましたが、幾ら勇者と言えども一人では魔族相手に何も出来ず、あっさり倒されて殺されて仕舞いました。
これがあなたの冒険の書の内容です。
あなたは自分の人生の何処が失敗だったか分かりましたか?
是非その知見を次の人生に活かしてください。
次の人生では幸せな人生が訪れると良いですね。細やかながらお祈り致します。