覚醒は遠く
人の覚醒を待てというのか
誰もが歩かされている
砂塵舞い散る
疲れきった道
叩かれ続ける開かずの扉
どんなに埋め固めたとて
闇は口を開いて
混濁の街
息を殺しても
すぐに見つかって転がされる
穴に身を潜めたとて
寂しくなって
また入り口を覗き見る
昼の喧騒を逃れて
夜を待っても
物悲しい
雷雲に取り込まれようとも
陽が照れば
始まるだけ
同じように何もなかったのだ
忘れられないから
埋没して
その限界が人を殺す
耐え難い
狂ってしまう前に
人は死ぬの
生きながらえたとて
やることはただの暇つぶし
無常は贅沢で
苦しくて逃れても
それは一瞬だけ
また産まれて蟻を踏み潰す
ようよう
声をかけられて
立ち止まりたくもないのに
ため息をついた
不機嫌に振り向いて
責められるのを待つ
煩くて孤独だ
こわくて寒くて
待っているのに
ずっとこない
あきらめたはずなのに
縛られて
人の覚醒を待てというのか
雨が降ったら
少しほっとして
休んでいる事の罪の意識を
取り除けるのに
人はまた急いて
日々を取り戻そうとする
安息を望むのに
生にとり憑かれている