第35話 アンカージャッキ
「同じ手が通じるかよ〜! やってやれ遊びの暗示〜!」
「了解した。〈リフレクトバリア〉をプレイ。私達は1回だけ攻撃を免れ、逆に跳ね返す」
相手はテレポートの使い手、どこから来てもおかしくない。
だが確実なのは不意をつけるところから出てくると言うこと。
ならばそれをカウンターすればいい。
そのためには攻撃を防げるほどの力が必要だ。
(デッキにはまだ2枚の〈リフレクトバリア〉がある。たとえ引けなかろうがカードを引き切る前提に組んだのだから5人共始末するのは容易いことだ)
カードを確認し、首を縦に振る。
「私は〈犠牲で成り立つ発掘〉をプレイ。フォロワーを2枚捨て、カード3枚引く」
捨てるカードを選択し、3枚補充する。
「さらに私は〈バーサークガーディアン〉をプレイ、このフォロワーは私達を守ってくれる」
鎧を身につけ、剣と盾を持ったケンタウロスが実態化し、叫び声を上げる。
(良しこれでひとまずは)
そう思っていた矢先、〈バーサークガーディアン〉が突然消滅する。
「なんだと。あいつの効果は1度攻撃を防ぐもの。なのになぜ?」
動揺を隠せない遊びの暗示。
さらに体が動かなくなり、死への恐怖が加速する。
「俺は今、お前達の〈動く〉と〈意味〉を破壊した」
後ろから囁かれた彼らは頭をがっしりと黒い片手で掴まれる。
(マスター、あんたの相棒になれて、嬉しかったぜ)
(銃の暗示のマスター、私のマスターの父親なのだから、ちゃんと守ってくれなければ困る)
死を悟った2人は文字通り、破壊の暗示に〈命〉を破壊され、死亡した。
手を離され、バタリと体が崩れ落ちる。
赤い複眼に映った遺体をよそに、糸のバリアを破壊し、仲間達を通れるようにした。
「残酷な映画の暗示」
「なんだよ」
「ありがとな。お前が居なきゃあいつらを倒せなかった」
感謝の言葉を述べられ、照れ臭くなった彼は顔を赤らめ、頭を掻く。
3人が駆け寄って来たところで、糸の持ち主の気配を辿る。
「気配がテレビ局に続いてるわ。またバリアやられても厄介ね」
険しい表情をする救いの暗示に、破壊の暗示は左を平手にして右手でポンと叩く。
「なら俺達がテレポートをできれば良いんだろ。〈1回テレポートできない〉を破壊すればテレビ局までひとっ飛びだ」
「そこまで聞くとあなたの〈意味〉ってホントなんでもありじゃない」
彼女の冷たく呆れたような表情に彼は苦笑した。
とりあえず目標のテレビ局の内部にテレポートで侵入し、三手に分かれて主人公を殲滅に向かう。
内訳は刃の暗示1人。
救いの暗示、残酷な映画の暗示2人。
電撃の暗示、破壊の暗示2人となっている。
(主人公の気配が密集しているのはこっちか)
次元の裂け目からナイフを3本取り出し、刃の暗示は左手の指に挟む。
廊下を歩いているとスタッフ達の遺体が放置されていた。
主人公である彼女だがサーカス団として生活していたこともあり、人の死に心が痛む。
(すまん。もっと早く来ていれば)
兜に隠れた表情が段々と曇っていく。
遺体を踏まないように歩いていると、主人公の気配が近づいて来る。
しかも3体。
3体がこちらに迫って来る。
足音が大きくなっていく。
これは走っているのではない、飛び跳ねている音だ。
(後ろか!?)
素早く後ろを振り返ると、バッタ怪人型の主人公、蹴りの暗示のドロップキックをくらい、アンカージャッキが起動、強烈な一撃に大きく吹き飛ばされ、廊下に体を打ち付ける。
バウンドする体が静止したところで、右手を支えにし立ち上がり、ナイフを彼に向けて投げる。
だがバックジャンプで回避され、3体合わせてホッパー兄弟である蹴りの暗示、殴りの暗示、手刀打ち暗示がその姿を現す。
「接近戦主体の主人公など、私の相手ではない。くらうがいい!」
次元の裂け目を大量に開き、刃を持つ武器を射出する。
「「「それがどうした!」」」
壁を蹴りながら宙を舞い、武器を次々に躱していく。
さらに徐々にではあるが近づいて来る。
(こいつらの攻撃を同時にくらえば私の命が危うい。ここは伝説の剣を使うしか…………しかし)
ここまで伝説となった武器を使わなかった理由、それはあまりの破壊力に使いこなせるかどうかの自信がないのだ。
例えばエクスカリバーと言うアーサー王伝説に登場した剣は使い手を選ぶため、自分でも使えこなせるかどうか。
そんな心配が頭に過ぎる中、ホッパー兄弟が攻撃体勢に入る。
「これで終わりだ」
「覚悟してもらうぜ!」
「死ねよおらー!」
3人の不規則な動きに、目が追いつかない。
(敵ながら連携は見事、ならば私もためらうことなく伝説を汚すことができる)
次元の裂け目から刃の暗示はエクスカリバーを改良した大剣、エクスカリバー・ジャイアントキラーを取り出し、粒子を放出させる。
「まとめて消えろー!」
ホッパー兄弟の動きは確かに予想がつかない。
しかし攻撃をする際には必ずこちらに向かって来る。
それは彼女にとって一気に倒す絶好のチャンスだ。
体を左に回転をかけ金色に輝く大剣を横に振るう。
突然の攻撃に勢いを止められず、殴りの暗示と手刀打ちの暗示の体が真っ二つになった。
だが蹴りの暗示は刃を踏み台にし、飛び蹴りを繰り出す。
「よくも兄弟をー!」
頭に足裏が命中、アンカージャッキが起動、大きく吹き飛ばすのだった。




