第34話 死へ誘う特殊勝利
5人がテレビ局の方へ向かっていると、目の前に軍勢の暗示達の遺体が転がっていた。
そこに立っているのは彼らを倒したであろうカーボーイ姿の銃の暗示と黒ずくめの男、遊びの暗示だった。
破壊の暗示は言葉なくして分かる。
相手は自分より弱いと。
(意味の効果範囲に入ればこちらの完全有利。だがカーボーイの奴は中距離も遠距離もできそうだ。で問題はあの黒い奴だ、なんの意味を持っているのか、それによってやり方が変わる)
2人をそれぞれ確認し、戦闘体勢に入る。
すると遊びの暗示のサングラスに隠されし目が赤く光り出し、黒きコートを脱ぎ捨てた。
その姿は機械仕掛けの人型兵器。
サングラスを外し、赤いレンズになっているメインカメラを見せつけ、マスクを外し、クラッシャー部分から蒸気を放った。
カードが3枚引かれ、彼の前に展開される。
「さあ、死の遊びを始めよう。私のターン」
1枚引かれ、4枚になる。
それに対し危険を感じた刃の暗示は薙刀を次元の裂け目から遊びの暗示に向けて射出する。
だが銃の暗示のサブマシンガンが放った銃弾に弾かれ、アスファルトの道に金属音を鳴らしながら落ちる。
「あいつにカードを使わせるな! 何が起きるか分からんぞ!」
刃の暗示の指示に救いの暗示はハンドガンを構え、トリガーを弾こうとする。
「もう遅い。私は〈閃光の奪取〉をプレイ」
彼の発言に応じてカードの効果が発動され、白髪の彼女が持つハンドガンが突如として消滅し、遊びの暗示の手元に現れた。
銃口を救いの暗示に向け、連射する。
しかしオートマチックガンで放たれた銃弾のスピードでは到底当てることはできず、次々と躱される。
弾切れを起こした拳銃をアスファルトの道に投げ捨て、彼は「私のターン」と言ってカードを補充する。
ならばと電撃の暗示は両手を組み、電気をケーブルから両腕に伝達させる。
高電圧の電気によりケーブルは発光し、さらに破壊の暗示が〈チャージの手間〉を破壊し、充電をすぐに完了する。
「くらえー!」
電気は光線となり、遊びの暗示に襲いかかる。
(クックックッ。俺達がただ棒立ちをしていた訳じゃないんだぜ〜)
銃の暗示の思惑通り、光線を何か網状の物に阻まれ、防いだ。
「まさかだけど、あのロボットのカードで?」
電気を出し切り、光線を撃ち終わった電撃の暗示は動揺し、破壊の暗示に悲痛な表情を見せる。
(存分に勘違いしろ。私の意味だとなぁ)
彼は「私のターン」と〈閃光の奪取〉の効果で引いた1枚のカードに加え、ターンが返ってきたので1枚引く。
手札が5枚になったところで「良いカードを引いた」と豪語する。
「私は〈裏切りのシーフシスターズ〉をプレイ。兵士カードをすべて捨て、その枚数分カードを引く」
〈裏切りのシーフシスターズ〉が実態化し、微笑みながらナイフでカード4枚を斬り裂き、4枚補充される。
さらに彼女達は消えることはなく、遊びの暗示と銃の暗示を守るようにナイフを構え、腰を落とす。
「お前、主人公を保有しているとでも言うのか」
刃の暗示の質問に対し、遊びの暗示は彼女に向けて勢い良く指を指す。
「そう言う訳ではない、これこそ私の意味、すべての遊びを狂気に変える。私のターン」
カードが1枚引かれ、手札が5枚になる。
網状のバリアによって攻撃は防がれ、一方的に攻撃される。
この状況を覆す方法は。
そんなことを刃の暗示は考えていると、待ち草臥れた残酷な映画の暗示がため息を吐く。
「あー、俺に任せろ。すぐに片付ける」
「おい、何をする気だ?」
破壊の暗示の質問に「まあ見てろ。これが俺の意味だ」と自信有り気に次元の裂け目から鉈を取り出し、闇に包まれ、姿を消す。
その行動に救いの暗示は察した様子で勝利を確信した。
「私は…………」
その続きを言おうとした瞬間、〈裏切りのシーフシスターズ〉の1人が気配に気がつき、後ろを振り返ると、突然現れた残酷な映画の暗示の鉈によるなぎ払いから遊びの暗示を庇い、悲鳴を上げながら光になって消滅した。
それと同時に片割れも消滅し、動揺で思わず「なに!?」と大きな声を出す遊びの暗示。
「こいつ〜!」
予想外の攻略法に銃の暗示は慌てて後ろを振り返り、サブマシンガンを乱射するが、不死身である彼に銃弾など効くはずもなく、鉈をゆっくりと振りかぶる。
すると体が突然動かなくなり、夕暮れに光るピアノ線の様な糸が見えた。
「そうか、こいつらは2人じゃない。3人だ! 3人目がいるぞ!」
闇に消え、拘束から逃れると、全員に詳しい説明をし始める。
「電気の光線を防いだあのバリア、俺を拘束した糸、そしてロボット野郎の意味の説明で分かった。この近くにもう1人の主人公がいるとな」
「それが分かったところでなんになるんだ〜。お前達は俺達と戦った時点で負けは確定してんだよ〜」
銃の暗示はサブマシンガンを投げ捨て、次元の裂け目からなんと対戦車ライフルを取り出した。
「あの世に行っちまいなぁ〜!!!」
銃口を電撃の暗示の頭に向け、トリガーを弾く。
爆音の銃声と射出された銃弾の破壊力。
これが当たれば死亡は確定だ。
(親友を殺されてたまるかよー!)
意味が銃弾を粉砕し、拳を握る彼は2人に対して怒りを爆発させる。
「破壊してやる! 残酷な映画の暗示! 俺の意味ならあいつらを倒せるぞ!」
その威勢の良さと〈意味〉を知った残酷な映画の暗示は「よし分かった」と言って、破壊の暗示を抱え、闇に消えるのだった。




