第21話 復活の炎
正義の暗示がコサメに向かって放った光線を、炎魔人の暗示は両手で作り出した業火の炎で受け止め、いとも簡単に打ち消した。
「変身」
その隙を突き、変身の暗示の右サイドスイッチをシゲルは腕を十字にしながら右腕で押し、黒き戦士に変貌する。
「俺だけ動きをスキップをさせてもらう」
意味深な事を発言し、右足を踏み込むと、突如として姿を消す。
(後ろか!)
後ろを振り返り、炎を放とうとするが、そこには黒き戦士の姿はない。
(なに?)
(隙を見せたな)
正義の暗示は再びベルトの左サイドスイッチを叩く。
エネルギーがシューティングシルバーに伝達され、トリガーを弾く。
放たれた光線が炎魔人の暗示の背中に命中し、黒き骨がバラバラになる。
「いやーーーーーーーー!?」
守る者の死を見て悲鳴を上げ、後ろを振り返り走り出すコサメをシゲルは上空から殴り掛かる。
そこに電撃の暗示がバッグから飛び出し、電気を纏った拳と黒き拳をぶつけ合った。
「グッ、グゥー」
「お前じゃマスターは守れねえよ」
黒き拳が彼女を吹き飛ばし、アスファルトの地面に転がす。
「電撃の暗示!?」
親友に駆け寄るコサメに、今度は破壊の暗示が飛び出し、バッテンの複眼がシゲルを映す。
「コサメが悪と言うのなら、そんな概念、破壊してやる」
そう言って自分を含め、3人の〈悪のレベルB以上〉を破壊すると、正義の暗示が計測を開始する。
「悪のレベルが下がっている。倒す必要はない」
「正義の暗示が言うならそうなんだろうね。シゲルさーん」
セイギの呼び声に、シゲルは変身を解除し、息を整える。
「だっそうだ。襲撃をしたことを謝る。だがなぁ。コサメさんだっけか。主人公を2人所有しているというのに、戦闘に慣れていないように見える。この状況だ。戦えるように訓練はした方が良い」
その上から目線で、自分達のやり方を否定する彼の発言に電撃の暗示は表情を歪ませ、歯をくいしばりながら怒りをむき出しにする。
「あなた、謝ってよ。戦いなんて望んでないコサメに戦いを要求したことを!」
「電撃の暗示!? あの人を煽っちゃダメだよ!?」
これ以上戦ってほしくない。
親友達の傷つくところを見たくない。
それは彼らにとってワガママに見えるのだろう。
主人公とは本来人を殺すために存在する。
それを否定したと言うことは、あるべきことをさせていないことになるのだ。
不服そうにシゲルは帽子を被り直すと、感情を押し殺し、にこやかな笑みを浮かべる。
「俺はただアドバイスを言っただけなんだがなぁ」
捨てゼリフを吐きながら、セイギと正義の暗示と共にその場を離れていく。
トラウマが蘇ったコサメの目には、3人の姿が悪魔に映った。
完全にこの場から3人がいなくなると、緊張が解ける間も無く炎魔人の暗示のバラバラになった黒き骨を見て、改めてゾッとする。
すると頭蓋骨が宙に浮かび、次々に元の形へ戻っていく。
接合部に合体を果たし、元通りになった彼にコサメ、電撃の暗示、破壊の暗示は驚きで目を丸くし、思わず叫んだ。
「な、なな、なんでー!?」
コサメの驚きの声に、炎魔人の暗示は「そういえば言ってなかったなぁ」と頭を掻く。
「俺の体は頑丈でな、バラバラになってもパーツが残れば復活ができる」
「じゃあどうしてすぐに復活しなかったわけ?」
電撃の暗示は手を腰に当て、ムスッとした表情で彼に質問する。
それに対しすべての腕を組み、深くため息を吐いた。
「あの状況でもし復活してみろ。あいつらの的になるのは俺だ。いくら究極の主人公とはいえ主人公との戦闘はできれば避けたい。正直に言うとマスターに我々は兵士共以外は殺すなと言われているのでな。そこら辺は考慮してもらいたい」
守ってもらっている立場の自分達に文句など言えないことを自覚する電撃の暗示。
だが究極の主人公の炎魔人の暗示が自身を超える存在とどうしても思えない。
戦術次第で倒せる相手なのではないかと思えるぐらいあっさりと赤い戦士にやられた彼の姿は確認している。
さらに復活能力に慢心しているのが見て分かる。
目を細め、疑いの目を向けると、慌ててコサメがあたふたと視線をこちらに向けさせ、苦笑しながらフォローに入る。
「まあまあ、とりあえずお家に帰ろうよ」
「…………コサメがそう言うなら」
ふてくされながら、彼女は〈電撃の殺人〉に戻っていく。
「炎魔人の暗示、あとは任せたぞ」
破壊の暗示もコサメの命を守ることを頼み、〈破壊の殺人〉戻っていった。
「家はここから近いのか?」
「うん、もう少しで着くよ」
2人は再び歩き出し、アスファルトの道を進んで行く。
軍勢の暗示が炎魔人の暗示の意味によって自然発火をくらい、死亡していると知らずに。




