第20話 圧倒的な戦力
究極の主人公の1人、召喚の暗示は現在化け物達を魔法陣から召喚し、軍勢の暗示達を分断させながら襲わせ、マスター達を守っていた。
彼は黒きローブを身に纏い、すべての指に宝石が付いた指輪を嵌めている。
「こいつらは所詮束にならなければ弱者に過ぎんな」
兵士らを過小評価し、不気味に笑みを浮かべる召喚の暗示。
そこに病原菌の暗示が駆けつけ、跪く。
「召喚の暗示様、お目覚めになられたのですね」
「マスターの命令ならば仕方ないだろう。それより被害状況は?」
化け物達に軍勢の暗示の制裁を任せ、ガスマスクを付けた彼に情報を求める。
「自衛隊が本気で軍勢の暗示に我々を殺せると思っているようです。これほどの弱者ならば簡単に片付くでしょう」
「やはりそうか、だが油断はするな。イレギュラーが起きた場合も想定しておけ」
「分かりました」
承諾した病原菌の暗示はゆっくりと立ち上がり、その場を離れた。
不敵に笑いながら召喚の暗示は化け物達を使役し、軍勢の暗示を殺していくのだった。
一方その頃剣豪の暗示は見事な刀鯖きで兵士達を殺し続けていた。
侍を思わせる結ばれた長い黒髪、はんにゃの仮面を被り、武者を彷彿させる黒い鎧を着ている。
後ろには黒ずくめの主人公とマスターである少年がおり、「早く逃げろ!」と声を荒げながら指示する。
「感謝する。帰ろうマスター、お母さんが心配しているぞ」
「うん、遊びの暗示を助けてくれてありがとー!」
少年は〈遊びの殺人〉に遊びの暗示を戻し、剣豪の暗示に感謝の言葉を述べながら手を振って走り出した。
「さて、お前達の様な主人公は生かして返すわけにはいかん。皆殺しにしてくれるわ」
誰もが恐怖する様な男性の声でそう発言し、刀を軍勢の暗示の1人に向けてダーツが如く円を描き投げる。
刃は心臓部を貫通し、さらに次元の裂け目から長い刃を持つ刀、〈物干し竿〉を取り出す。
「思い知るがいい。これが佐々木小次郎が編み出した技………………」
敵が喋っている間に軍勢の暗示の1人はアサルトライフルの銃口を向け、連射する。
「秘剣・燕返し!」
左足を踏みしめ、一気に加速し、繰り出される同時3連撃。
いや、正確には残像の2連撃と本命の一撃。
そのあまりの早さに受け身すら取れず、両断されるのだった。
その数分後、コサメを守りながら炎魔人の暗示は家まで案内されていた。
その姿は黒き骸骨。
炎の暗示と違うところは炎を放出していない状態であること。
そして腕が6本あることが挙げられる。
「あなたの事、信用して良いの?」
「俺は管理人にマスターを守るように指示された。安心しろ。必ず送り届ける」
決意を固める炎魔人の暗示に対して、彼女はどうしても電撃の暗示と破壊の暗示の行動に抵抗を感じていた。
確かに自分のために戦ってくれたのは感謝している。
だが親友と言いながら結局はマスターとしてのワガママが出てしまう。
「ごめんね2人共。私のために戦ってくれたのに」
守ってくれたのに、それなのに、自分は…………
切なそうに笑みを浮かべると、破壊の暗示が深くため息を吐く。
「俺達はコサメを選んだ。だからこそコサメのマスターとしての欲望は透けて見える。ただ一緒にいてほしい。戦ってほしくない。でもな、俺達はコサメを守るためにここにいるんだ。もちろん、親友としてなぁ」
その発言に電撃の暗示は何回も首を縦に振る。
「そうだよコサメ。私達はいつも一緒でしょ」
「破壊の暗示、電撃の暗示、ありがとう!」
コサメは涙をポタポタと流しながら感謝の言葉を述べると、炎魔人の暗示に視線を向ける。
その頭蓋骨では感情が読み取れず、なにを話せばいいか分からない。
「あっ、あのー。そのー」
「うん? どうした?」
とりあえず話かけたが、話題が想像できない。
と、右目の瞳が泳いでいる青年と古めかしい服を着た男性が歩みを進めているのを視認する。
「お前達マスターだな。この戦場にどうして来た」
炎魔人の暗示の質問に、足を止めた青年はバッグから、男性は胸ポケットからゆっくりとライトノベルを取り出し、ページを開く。
「決まってるよ。悪を滅ぼすためさ」
「お前の様な存在がいるから人は欲望に飲まれる。軍に任せるほど俺達はお気楽じゃないんだ」
彼らは自分の主人公を召喚する。
その時だった。
赤き戦士の姿を見て、コサメの中でトラウマが蘇る。
「殺される!? 私、殺される!?」
そう、赤き戦士の名は正義の暗示。
かつて彼女の学校を襲撃し、殺戮ショーを繰り広げた。
後ろに一歩また一歩コサメは下がっていき、恐怖で表情が歪む。
「俺の名は正義の暗示、意味は正義、不安定、悪の絶対排除だ」
自分の説明をした正義の暗示はコサメを凝視し、悪のレベルを計測する。
「悪のレベルB。お前はここで倒す」
ベルトのスクリュー部分からシューティングシルバーを右手で取り出し、左手でサイドスイッチを叩く。
エネルギーがシューティングシルバーに伝達され、トリガーを弾くと、光線が撃ち出されるのだった。




