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【番外編】美久子 学院祭 高校生編(51)  学院祭後:泣き虫流青


私は、自分がどれだけ危険な状況だったのか、

みんなの表情と涙で知った。


こんなに沢山の人に心配を掛けてしまって、

泣かせてしまって、

本当に、申し訳無い……


流青くんも、こんなに泣かせてしまって……





美久子は空いている手で、

泣き止まない流青の頭をゆっくりと撫でた。

サラサラで艶々で、触り心地がすごく良かった。


流青がゆっくりと顔を上げた。

子供が泣いたみたいに、

涙で顔がぐしゃぐしゃだった。



「ふふ」



美久子は酸素マスクを付けたまま笑った。



「みっ、美久子っ……ううっ……」



流青は、また泣き出した。



「……流青くん、ほんと、泣きすぎ」



美久子は小さく微笑みながら、頭を撫でた。



「……怖か、った……美久子がっ、目の前でっ、

死んじゃうかと、思ったっ……」



流青は目を瞑りながら、

子供みたいにしゃくり上げて泣いた。


美久子は流青が落ち着くまで、

暫くじっとしていた。


一頻(ひとしき)り泣いた後、

流青はゆっくりと目を開けて、美久子を見つめた。



「……美久子、全て、ごめん。全部……

美久子が、生きて、いてくれて、良かっ、た……」


「……ごめんね、心配、掛けて」



流青は目に涙を溜めながら口をへの字に下げて、

首を横に振った。

仕草も表情も、まるで甘える子供みたいだった。

美久子は『格好いいのに可愛いいなあ』と思いながら、

ゆっくりと頭を撫でた。



「……お願い……ずっと、俺を、傍にいさせて……

ちゃんと、するからっ……いなくならないで……

美久子の傍に、いたいよ……

嫌だ……美久子が好きすぎて……俺は……」



泣きながら懇願する流青は、

以前より少し頬が()けていて、

美久子は泣きそうになった。


そっと頬を触ると、その手を流青に取られた。

流青は美久子の手を自分の頬に当てて、

懇願するように目を瞑った。



「……流青くん……ずっと、傍に、いてくれて……ありがと」


「!……」


「心配かけて……本当に、ごめんね」


「…………うん」


「怖がらせて……ごめんね」


「……うん……ううっ……」


「ふふ」


「……美久子が、死ん、じゃったら、すぐに俺も」


「ダメ」


「……ふっ、ううーっ」



また泣き出した。

どうやら、流青の涙腺は壊れたらしい。

仕草も言葉もまだ子供状態だった。


美久子は沢山心配を掛けたお詫びに、

泣き虫流青が満足するまで、存分に甘えさせようと思った。



流青は一時、絶望を味わった。

今は美久子の傍にいられる、

奇跡のような幸せを嚙みしめながら、

美久子に思い切り甘えていた。




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