【番外編】美久子 学院祭 高校生編(42) 無気力状態
クラブ対抗の出し物の時間が終了した。
美久子の茶道部のお茶席も、無事に二日間を終えた。
とうとう学院祭最後のイベント、
クラスで踊るフォークダンスの時間になった。
以前は『流青くんと踊れるかも!?』とあんなに楽しみにしていたのに、
何だか身体も気分も怠く、全く踊る気分になれなくてサボってしまった。
恵と七海には『ちょっと今はムリでごめん!サボる!』と謝った。
二人ともすごく難しい顔をしながら『OK!どうしても辛かったら早退しなよ』と笑ってくれた。
あんな表情をさせて本当に申し訳無かった。
お茶席の片付けも気になるからやっぱり早退も出来ず、
先生に見つからないようにコソコソと体育館横のベンチに座っていた。
晩秋の夕方近くの空は雲が高くて、
空気が少し冷たい。
身体が怠く、着物姿の美久子にはちょうど良かった。
「あーあ。なんだか、
淋しさを高める空気感だなあ……」
美久子はとても淋しいけれど、
反面、久しぶりに一人も良いもんだなと思っていた。
つい、独り言が出てしまう。
「ま、近くに常盤のどなたかは、
必ずいてくださってるんだけどね。
それももう少しで終わりだね……」
「……あの……宇佐美さん?」
「うぇっ!?あ、山田くん!」
ベンチ横の体育館のドアから、
同じクラスの山田颯太が出て来たところだった。




