【番外編】美久子 学院祭 高校生編(14) バスケ部 コスプレカフェにて(6)
「「「!!(し、少年王ー!!)」」」
ラノベ脳の美久子達は、笑顔の少年王を見て驚愕した。
間近で見ると、もはや男子高校生ではなく、
少年王にしか見えない。
少し焦げ茶色のサラッサラの髪には、
ついつい王冠に見えてしまう天使の輪がクッキリとある。
大きな焦げ茶色のクリクリした二重の目は、
バサバサと生えている長い睫毛に縁取られていた。
あれには爪楊枝は5本は乗るだろう。
色白なモチモチ肌はシミも毛穴も無い。
背は170センチの恵くらいで、
バスケ部の中では低めだが手脚が長い。
鮮やかな青色の王子様ジャケットに白いトラウザーズを履き、
膝少し上までの黒のロングブーツを履いていた。
さっきまで着けていなかった紺色のマントと、
右肩から掛けている青色のサッシュが、
溢れんばかりの王子様感を出していた。
「す、すごい……リアル少年王だ」
「え?少年?」
「ほんとだわ……このマントとサッシュのあざとさが良いわ!」
「え?あざとい?」
「ちょっと、写真撮っ」「ダメだ。美久子」
「「「………(チッ!)」」」
聞いたことが無い単語や、よく分からない感想に困惑顔の真壁だったが、初見ではわかりにくいが少し慌てている流青の表情を見て、フッと笑った。
「……真壁、お前はここにいなくて良い。
あっちのテーブルでお呼びだぞ。早く行け」
「あ、大丈夫です。河田さんが行かれるみたいなんで。
初めまして。高1の真壁です。
このテーブルは、学院の有名美女揃いですごいですね。
流青さんの彼女さん、ぶほっ!」
真壁は流青に鳩尾に軽くパンチを入れられた。
腹筋は鍛えていて6つに割れてはいるが、
それでも不意打ちはキツかった。
「流青さんっ!鳩尾はナイですよっ!」
お腹を押さえながら悶絶してても、
真壁は素晴らしくキラッキラな少年王だった。
流青は少年王をガン見している美久子の傍に更に近寄り(もうほぼひっついている)、真壁をギロッと睨んだ。
「美久子を見るな。寄るな。話し掛けるな。
早く行け。さもないとお前の休憩時間無くすぞ」
「はあっ?何ですか、それ。パワハラですよ。顧問に言いつけますよ」
「「「ぶふっ。あはは!」」」
「!!」
流青と真壁の小競り合いを見て、美久子達は大笑いした。
「少年王!可愛いねー!」
「ほんっと!私は2-Aの木下よ。
ここにいる4人は全員同じクラスなの。よろしくね」
「福田でーす。よろしくね!」
「真壁くん、初めまして。宇佐美です。よろしくお願いします」
それぞれにっこり笑顔で真壁に挨拶をした。
真壁は顔を真っ赤にして、急にあたふたと慌てだした。
「……どうした?真壁」
「あっ!す、すみません。何だか急に……あっ!ちょっと呼ばれてるので、裏に下がります。どうぞ、ごゆっくり」
ぺこりと頭を下げて、
バタバタとバックヤードに戻った真壁は、
自分の異常な焦りように戸惑っていた。
『び、びっくりした。あの超絶美女達、美しくて可愛いいってなんだ?流青さん、よく平気でいられる……さすがだ。
流青さんの彼女さん、すごく……丁寧に挨拶してくれて、可愛かった……。項の後れ毛がめちゃくちゃ色っぽかった……』
真壁は見てはいけないけれど、どうしてももう一度美久子の項を見たくて、美久子の後ろを行き来した。
三度目に流青に手首を掴まれ、殺気を含んだ目で睨まれた。
真壁は泣く泣く行き来を諦めた。
美久子達はケーキセットを思い切り堪能した。
何度か流青が美久子にあーんをしてケーキを食べさそうとしたが、美久子が本気で阻止して事なきを得た。
あっという間に30分の滞在時間が過ぎようとしていた。




