【番外編】美久子 学院祭 高校生編(13) バスケ部 コスプレカフェにて(5)
「ここは、ほんとにカフェかな?
何だかホストクラブにしか思えなくなってきたよー」
「ほんとよね!これだけ美男子がいたら、
そりゃ女子の大行列が出来るはずだわ」
そう。流青くんが際立って目立ってるけど、
バスケ部男子は本当にイケメン揃いだ。
背が高い男子が多いけど、低め男子も細マッチョでカッコいい。
さっきの王子様男子なんて、
ラノベの異世界少年王のイメージぴったりだ。
「ねえねえ、あの王子様男子って少年王っぽくない?」
「な、七海っ!私も今、正にそれ思ってた!」
「わかる……確かにそうだわ!幼なじみだった薄幸の少年が、
若くして王になった感じよね!」
「「きゃー!萌える……」」
「何がもえるんだ?」
書生男子の流青が三人分のケーキセットが乗ったお盆を片手で持ち、
無表情で立っていた。
なんだかムスッとしている。ものすごく不機嫌だ。
「「「「「!?(こ、怖っ!)」」」」」
「ひっ!」
「あ」
「ありがとー、乾くん。
おー!これが『青春!バスケ☆ケーキセット』なんだね。
ケーキ、可愛いいねー!」
さすが七海。
この氷点下の空気感をもブチ破る、
普段と何ら変わらないいつもの調子だ。
本当すごいよ。勇者だよ。
「ああ、そうだ。このケーキ、なかなかイケるらしいぞ」
七海のお陰でいつもの流青に戻った。
美久子は本気でほっとした。
流青にジュースとバスケのボール型ケーキをサーブしてもらった。
流青はスマートな所作で七海、恵にもサーブし、
その姿はうっとりと見惚れてしまう程だ。
周りのお客さん女子達も見ている。
「流青くん、なんかすごく手慣れてるね!
本当にお店の人みたいだね」
「「うんうん!」」
「そうか?なら、ネットの動画で予習した甲斐があったな」
サーブが終わった流青は、お盆を膝に置いて当たり前のようにまた美久子の隣にがっつりと座った。
因みに他のバスケ部員は、テーブルには同席していない。
お客さん女子達からの目線が怖い。
「予習したの!?」
「ああ。美久子に楽しんで貰えるようにな」
「え!ありがとう!すごいね、流青くん!学院祭にも本気で取り組む姿勢がすごいよ!」
美久子が尊敬の目で感嘆しながら手をパチパチ叩くと、
流青が目を丸くして固まった。
少し目を逸らして、またじっとしている。
よく見ると頬が少し赤くなっている。
学生帽と髪の毛に隠れて全部は見えないが、耳朶も赤い。
その様子見ていたバスケ部男子達も固まっていた。
「あら!?」
「あらあらー!?」
「……美久子に誉めてもらえて、嬉しい」
照れながらふにゃりと笑った流青は、無敵だった。
「「「「「きゃーっ!!!」」」」」
「流青さん、店内のテンション上げ過ぎですよ」
声がした方を見ると、
書生美男子の隣に、異世界の少年王が立っていた。




