表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/132

【番外編】美久子 学院祭 高校生編(12)  バスケ部 コスプレカフェにて(4)


「「「いらっしゃいませー!!!」」」



流青に窓際奥の4人席に案内(引き摺られ座ら)された美久子達は、バスケ部員の興味津々な目線と、お客さん女子達からの熱く冷たい視線をこれでもかっ!と浴びていた。


七海と恵は『すごーい!内装、凝ってるねー』とか、

『コスプレ、なかなか良いレベルに仕上がってるわね!』と、

のんきに周りを見渡していた。


美久子は一人、背中に汗をダラダラかきながら(うつむ)き加減でテーブルクロスを見つめていた。

着物の中の長襦袢(ながじゅばん)は大量の汗で大変なことになっているだろう。

しかし、冷や汗の理由は周りの熱く冷たい目線のせいだけでは無かった。



「……美久子。何故こっちを向いてくれないんだ?」



美久子の隣に座った流青はテーブルに(ひじ)を付いて、

迷子の子犬(実物は大型犬)の様な哀しい目で美久子をじっと見つめていた。

流青の身体は完全に美久子に向いている。

椅子もほぼ真横に寄せている。

相変わらず卑怯な手口を使う流青だ。


美久子はさっき廊下で書生風姿の流青を見た瞬間、

完全にハートを撃ち抜かれた。

実は和装男子好きな美久子のモロ理想の姿形の流青に、

再び恋に落ちた気分だ。

前世を合わせたら三度目だ。もう、落ちまくりだ。


急に何だかとてつもなく恥ずかしくなってしまい、

まともに流青と目を合わせられなくなった。


七海と恵はニヤニヤしている。



「この格好、合ってないか?」

「ええっ!そ、そんなこと無いよ!凄く似合ってる!」

「でも、さっきから美久子と全然目が合わない。淋しい。

こっち見て、美久子」

「美久!見れない理由、言ってあげたら?ふふっ!」

「ええっ!?そんな!……えっと……流青くんが、

すごく格好良すぎて、まともに見れない、です……」

「そうか!よかった」



流青は美久子に格好良いと言ってもらい、

とても嬉しくなってにっこりと笑った。



「「「「「!!(きゃー!笑ってるー!格好いいー!)」」」」」



流青は机の下で、美久子の手をそっと握った。



「っ!?」

「美久子が着物を着ると言っていたから、

俺もこれを選んだんだ。着物ペアルックだろ?」



机の下で握っていた手をゆっくりと机の上に持ち上げた流青は、美久子の目を見ながら手の甲にちゅっとキスをした。



「「「「「きゃー!!!!」」」」」


「ぎゃー!!流青くんっ!な、何するのっ」

「乾くん。はい、はしゃがないー」

「もー、またムダに敵を増やしたらダメだよー」

「大丈夫だ。牽制になる」

「……さっき、廊下で並んでいる女子達からすっごく睨まれたんですけど?今も睨まれてますけど?」

「わかっている。大丈夫だ」



流青は何か手立てがあるらしい。

さすが、流青くんだなーと思いながら、

美久子は必死に握られている手を離そうと藻掻いていた。



「乾くーん!1番さん、準備OKでーす!」



呼ばれた流青は「少しだけ待っててくれ」と名残惜しく離した手で美久子の頬をスッとなぞり、バックヤードに入って行った。



「「「「「(きゃー!ほっぺた触ったー!!)」」」」」


「……あれは、無自覚タラシだねー」

「あ!七海もそう思った?」

「思った思った!」

「……もう、あかん……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ