【番外編】美久子 流青のバスケの試合を観に行く 高校生編(16)
「流青くん!どうしたのっ!?頬が腫れてるじゃない!」
「……」
「早く冷やさなくちゃ!こっちに来て」
「江川、触らないでくれ」
「えっ……」
「大丈夫だから。それと、呼び名。
昼に言ったよな?これからは乾で呼んでくれ」
「っ!」
流青はそのまま練習に入った。
部員に頬の腫れを揶揄われるが、
人とぶつかったと言った後は何も言わなかった。
実希子は苦い思いで流青を見つめていた。
◇◇◇◇◇◇◇
翌日。
ホームルームも終わり、美久子はスクールバッグに教科書を入れて帰る準備をしていた。
今日も茶道部は無いので、このまま平松に送ってもらう予定だ。
今朝は流青がバスケ部の朝練で別々に登校した。
教室でも少し話したが、お互いに何となくぎこちなかった。
流青の頬が少し青くなっていることを聞いても、
曖昧に笑って話を逸らされた。
それ以上、何も言えなくなった。
明日は土曜日で、流青の準決勝の試合がある。
美久子は大事な試合が終わってから、
流青とゆっくりと話そうと思った。
「じゃ!美久、七海、気を付けてね!」
「うん!きのぴいも練習がんばって!」
「あーりがとー!踊りまくってくるわ!」
「あはは!じゃーねー!また明日ー」
「じゃ、美久、帰ろっかー」
「うん!」
七海は今夜、とある企業のパーティーで日舞を踊るために、
家の車がお迎えに来ていた。
学院のお迎え用駐車場に向かって、二人で歩いて行った。
少し後ろには常盤の者である(美久子達は知らない)男女生徒が二人、美久子を護るように歩いていた。
「七海、今日はどこいくの?」
「あれ、何処だっけ?えーっとね……」
七海のお迎えの車前に着いた。
「永田町ですよ。七海さん」
「東吾さん!」




