【番外編】美久子 流青のバスケの試合を観に行く 高校生編(14)
「あ、えーっと…」
「……」
「……」
「男バスのマネージャー、江川だ」
「隣のBクラスの江川実希子です。よろしくね!
実希子って呼んでくれたら嬉しいな」
「「「「!……」」」」
「あ、えっと。み、実希子…ちゃん?」
「美久」
「わ!ありがとう!宇佐美さん、だよね?」
「あ、はい」
「昨日、男バスの練習、見に来てたよね?」
「あっ!……うん」
「あんな影でコソコソ見なくたって、
もっと前で見たら良いのに!ねっ!流青くん」
「「「!……」」」
「ああ、そうだな。美久子、今度からはもっと前で」
「なあ!流青!」
「……何だ、湊人」
「お前、相変わらず江川さんに、流青くんって呼ばれてるんだなあ」
「…ああ」
「そっかー。じゃ、俺も今からうさみみちゃんのこと、
美久子って呼び捨てで呼ーぼおっと」
「何っ?許す訳無いだろう!」
「流青、お前、バカなの?」
「!?」
「同じ事だよねー」
「自分は嫌なのに、彼女には我慢させるって。
乾くんって傲慢男だったのねー」
「乾くん、そんなんじゃ美久に見放されても仕方ないねー」
「仕方ないな」
「み、見放すなんて!しないよ!?」
「……っ!」
「ち、ちょっと、そんな、呼び方くらいで」
「呼び方くらい?甘いねー」
「江川」
「え?」
「今後は、俺の事は乾と呼んでくれ」
「えっ、そんな…。男バスみんな、流青って呼んでるし…。
あ!じゃあ、私もこれからは呼び捨てで呼ぶわ!
私の事も実希子って呼び捨てで呼んでくれていいよ!」
「俺は美久子の不安は少しでも取り除きたい。いや、取り除く。
もし、美久子が俺以外の男に呼び捨てにされていたら」
「されていたらー?」
「その男を潰す」
「「「「(っ!?潰すって、何をっ!?)」」」」
「流青くんっ!」
「……今後、その呼び方で呼ばれても、俺は返事をしない」
「っ!」
予鈴が鳴った。
「さあさあ!昼休みも終わりだよー。みんな戻ろっかー」
流青は自席に戻った。
きのぴいと七海が、実希子にこそっと耳打ちをした。
「江川さん。正々堂々と告るならまだしも、
姑息な手で美久を悩ませたら、私が許さないから」
「江川さーん、いい加減もう諦めなねー。
あなたでは無理だからさー」
最後に湊人が耳打ちをした。
「流青のこと、今、すぐ、諦めて。
諦めないと、俺、マジで、許さないから」
江川は走って教室を出て行った。
「流青ー。放課後、ちょっと顔貸してくれるー?」
「……ああ」




