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【番外編】美久子 流青のバスケの試合を観に行く 高校生編(9)
「っ!」
ズキン!
痛っ!
美久子の胸に痛みが走った。
右手で自分の胸を押さえた。
もう一度流青を見ると、流青の隣に女子マネージャーも並んで座り、
楽しそうに話している。
女子マネージャーが笑いながら流青の腕をばんばんと叩いた。
流青は嫌がる素振りもせずに、そのまま一緒に笑っている。
耳鳴りがする。
動悸も激しくなってきた。
目の前がチカチカする。
しまった、わたし、このままじゃ、やばいかも……。
「……宇佐美さん。下に降りなくていいんですか?」
「……あっ。すみません、ちょっと気分が悪くなって、やめま…」
ふらついた美久子を咄嗟に抱き留めた一橋は、
美久子の酷い顔色を見て驚く。
「宇佐美さん、すみません、少し失礼します」
一橋は美久子を軽々と横抱きで抱き上げ、保健室に急いだ。
流青はそんな美久子には全く気付かず、実希子と話していた。
実希子はちらりと美久子が運ばれて行く様子を横目で見て、
心の中で昏く笑った。




