【番外編】大学生編 狙われる流青(終) 流青のしあわせ
※またまた長くなってしまいましたが、
【番外編】大学生編 狙われる流青は、これにて終了です。
お読み頂きまして本当にありがとうございました!
ある土曜日の夕方。
美久子は流青と朝から新しくオープンした水族館でデートをした後、流青の部屋のソファーでいつもの膝だっこをされながら話していた。
「……でね、流青くん。今日は資格試験の勉強をしなくていいのかな……本番は再来月、だよね?」
「大丈夫だぞ。俺が美久子に会える時間を削るわけが無い」
「うーん……会えるのはすごく嬉しいんだけど、
何か申し訳無いっていうか、やっぱりちょっと気になって……。
かなり難しい試験だって聞くし…合格率が数パーセントだって……」
「美久子は優しいな。心配しなくて大丈夫だぞ。
ちゃんと勉強はしてるから」
「そっか。でも、ちゃんと寝てね。
流青くん、最近お仕事も忙しいから心配だよ」
「もっと心配して」
「え?」
「もっと俺を見ていて。俺だけ見てて」
「あっ……ふふっ。うん。流青くんだけを見てるよ」
「……うん」
流青は腕の中の美久子を抱きしめ直した。
「ねえ……」
「ん?」
「あの人、……坂木さんって……やっぱりキレイだよね」
「全くキレイでは無い」
「え」
「あんなヤツ、美久子は気にしなくていい」
「……うん。ごめん。坂木さんは流青くんの事気に入ってて、
すごくアピールしてたから……。
あれ?でも最近あんまり見ないような?」
「………」
「諦めてくれてたらいいんだけどなあ」
「きっとそうだ。俺の事は飽きたんだろう。
だからもう全く気にしなくていい」
「……それは無いね。絶対に無い!」
「っ!?無い?」
「だって流青くんだよ!?こんな超絶イケメンだよ!?」
美久子は両手で流青の顔を挟み、
ぐっと顔を近付け、見上げながら力説した。
「っ!」
「たまにイジワルだけど、笑ったらとーっても可愛い流青くんだよ?ひと目見たら誰でも好きになっちゃうよ……。
今日だってさ、すれ違う女の子たちが流青くんを見る見る!
男の子も見てたし!どーいうこと?流青くんはBLまでアリなの?だめー!やっぱりだめっ!流青くんは私だけの流青くんなんだからっ!
……はあっ。ほんと、心配だなあ。これ、一生続くんだろうなあ」
一人で話す内にヒートアップした美久子の本音を聞いた流青は、所々で少し気になる箇所もあったが、嬉しくて固まってしまった。
「!…………」
「あれ?お耳が赤い」
「…………美久子、一生、心配してて」
流青は顔も赤くし、目を逸らしながら小さな声で呟いた。
「何?んっ………」
流青は美久子の後ろ髪に手を入れて顔を引き寄せ、
強く激しいキスをした。
「………ぷはっ!り、流青くん!?」
「美久子、もっとキスして」
「!?ち、ちょっと、待ってっ!く、苦しいよ!」
「俺は美久子だけのものだから、一生」
「っ!………」
「何度でも言うから。美久子が安心してくれるまで何度でも。
俺は美久子がこうやって傍にいてくれるだけで良いんだ。
他には誰も何もいらない」
「………うん。ありがと」
「………早く、美久子と結婚したい」
「っ!………うん。大学卒業したら、お嫁にもらってね」
「!………まだ、駄目か?」
「……流青くん、それ毎月聞くけど……まだ、ダメだよ。
まだ、十代だしね。ふふっ!」
「そうか……。美久子が結婚したくなったら、いつでも言ってくれ。明日でも良いぞ」
「明日!?あはは!うん、ありがと」
「………」
「結婚したら……もう、お互いの家に帰らなくていいんだよね……」
「………早く、そうなりたい……美久子と……一緒に……住みたい……」
「………そうなったら、ほんとに夢みたいだなあ………。
流青くん、ちょっと眠そう」
「………美久子……も」
「………ちょっとだけ、お昼寝しちゃう?」
「する」
流青は美久子を軽々と抱き上げてベッドに向かった。
二人は布団を被り、向かい合って寝転んだ。
美久子は流青に向かって少し両手を広げて微笑んだ。
「流青くん、はい。おいで」
「っ!?」
「流青くんの大好きなだっこ、してあげる」
「!………だっこ」
流青は嬉しくてはにかみながら、
自分の半分程の身体の美久子に抱きついた。
柔らかくてフワフワで、
大好きな美久子の香りを静かに思い切り吸い込んだ。
自分の香りを吸い込まれた事を知らない美久子は、
右手でサラサラの流青の髪を優しく撫でながら、
左手でゆっくりと流青の背中をポンポンとした。
「………はあ、しあわせ…過ぎる……」
「ふふっ。そのまま寝ていいよ」
「………うん………美久子……すきだ……」
「!………わたしも、だいすきだよ」
「………うん………うん…………」
「おやすみ………流青…くん……」
美久子は夢を見た。
前世で静子だった自分が、
泣いている幼い亮介を抱きしめ、
背中をトントンと優しくたたいている。
顔を上げた亮介は、大人の流青で幸せそうに笑っていた。
ほっとした自分は静子ではなく、美久子の姿だった。
二人で手を繋いで歩いていると、
いつの間にか小さな男の子と女の子が二人の間にいた。
四人で笑いながら歩いていた。
とってもしあわせな夢だった。
【番外編】大学生編 狙われる流青 終
※この後、健二と恵のイチャイチャ話を短編でお送りします。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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