【番外編】大学生編 狙われる流青(15) 乾親子の逆襲(1)
「今のお言葉は、どういう意味でしょうか?」
「どういう意味……とは?」
「……流青の申しました通り、
息子は既に正式に婚約しております。
私共も息子と彼女の結婚を大変待ち望んでおります。
本当なら今日にでも入籍して早く囲え……んんっ、
一日も早く入籍して欲しいと思っておりますが、
彼女の気持ちも優先して、
両家で大学卒業後と決めております」
「ま、まだ4年もあるじゃないか!
流青君ももっと色々な女性を見てからの方が良いぞ!?」
「必要ありません」
「っ!」
「我が乾家の家系と言いますか、
乾家の男子の気質と申しますか……。
早くに生涯の伴侶を見つけ、一生添い遂げます。
全く何の不満もありません。
寧ろ、息子に対して要らぬ邪魔をしないで頂きたい」
「!!」
「坂木常務。ご存知だとは思いますが、
婚約していることを相手から聞いていた、
または婚約者が存在することを知ることができた場合、
略奪は不正な婚約破棄の原因として相手方から慰謝料を請求されます」
「っ!?い、慰謝料!?」
「はい。ですのでこの場合、
常務のお嬢様が息子の婚約者である彼女から訴えられる事になります。
もし、そうなったらあちらのご両親はお嬢様を躊躇無く訴え、
美しいお嬢様の心も評判も傷が付く事でしょう」
「っ!?」
「この御時世、ネットやSNSの情報は一度出ると全てを消すことは不可能に近い。二度と消えません。
まあ、流青が婚約者の彼女以外と結婚する気になるなどありませんので、取り越し苦労ですね」
「………」
「坂木常務」
「………り、流青君、さっきの事は…」
「レイナさんから、ある女性モデルの仕事について、
何か頼まれませんでしたか?」
「っ!?いきなり、な、何の話だ」




