【番外編】美久子 流青のバスケの試合を観に行く 高校生編(4)
「あ!乾くん、出て来たねー!」
「うん!」
流青が再度交代してコートに入った。
『『『『『きゃー!!!!』』』』』
「……すごい。コートに入るだけでこの歓声……」
「No × doubtのライブみたいだねー」
「……」
流青は歓声を浴びながら広いコートを縦横無尽に走り回り、何本もシュートを決めた。
決める度に大きな歓声が上がる。
周りに流青よりも背が高い選手はたくさんいるけれど、
流青はその圧倒的な存在感で誰よりも大きく、キラキラと輝いて見えた。
生き生きとプレーをする流青は、
バスケが大好きな一人の男子高校生だった。
「……流青くんって、本当に男子高校生だったんだね…」
「えっ?」
「あっ!…なんかね、いつも流青くんは格好良くて何でもできちゃう凄い人でね。
高校生?人?を超越してるっていうか、私にとって凄い、神様のような存在でね」
「ふふっ。うん」
「…でも、今のあの姿見て、一生懸命にバスケがんばってる流青くんって、当たり前なんだけど、やっぱり17歳の同い年の高校生なんだーって」
「うんうん」
「なんか、ちょっと安心しちゃった!」
「あはは!やっぱり美久だねー!
今の乾くんの姿見て、その感想言うのは美久だけだよ!」
「え?」
「乾くんにその感想、そのまんま言ってみて!
きっとめちゃくちゃ喜ぶと思うよー」
「…そうかな?」
「そうそう!あと、かっこいー!も言ってあげてね!
それ言わないと拗ねちゃいそうだよねー」
「あはは!そうだね!」
「ほら!美久も周りに負けないで、応援しなきゃ!」
「あっ!うん!えっと……」
「ほら、がんばれーって!」
「うん!……流青くん!がんばれー!!!」
ピタッ。
走っていた流青が立ち止まり、ばっと美久子の方を見る。
「え?」
美久子とばっちり目が合った。
「!?」
流青がニヤリと笑った。
『『『『『きゃーーーー!!!!!』』』』』
「っ!?」
「コラーッ!乾っ!よそ見するなっ!走れーっ!!」
監督に怒鳴られた流青は何事も無かったように走り出し、
更にどんどんシュートを決めた。
流れに乗って学院の他の選手もシュートを決める。
シュートが決まる度に会場中が沸く。
本当に凄い熱気だった。




