【番外編】大学生編 狙われる流青(3) 動くレイナ
「あっ!…………」
横顔からでもわかる、驚くほど整った顔。
鍛えている男らしい体格が素敵で、
今すぐ抱きつきたくなる。
ただ格好良いだけではない、
容姿、服装、身に付けている物から仕草や内面まで、
全てが知的で上級な雰囲気が漂っている。
サイドをツーブロックにした少し長めな黒髪を後ろに流し、
黙っていても滲み出る男の色気が凄い。
一緒にいる二人もそこらにいる男子とは全てレベルが違う。
正に上級の男達だ。
けれど、
私はあの黒髪の男子が良い。
見つけた。
この私に相応しい、本物の男だ。
「…………見つけた」
「「え?」」
「あれ、誰?」
「あれ?」
「あの、窓側の3人組の黒髪でネイビーのサマーニットを着てる人」
「あー、さっき話してた乾くんだよ」
「ネイビーがめちゃくちゃ似合ってるよねー。格好いい!」
「乾くん………決めた。私、あの人にするわ」
「え?」
「あの人にする?」
「そう。私の彼にするの」
「ええっ!?本気?」
「……あー、うん。多分、レイナの好みまんまだよねー」
「レイナ、乾くんを好きになっちゃんたんだ!一目惚れだね」
「うふっ。運命かも!」
「ははは。……あー、でも、乾くん、彼女いるらしいよ?高校からの」
「彼女?そんなの関係ないわ。奪えばいいのよ」
「うわ!コワっ」
「……かなり、ラブラブらしいよ?」
「だから、関係無いの!モデルの仕事も奪ったもん勝ちなのよ?
ぼーっとしていて奪われる方が悪いのよ!
それに、私と乾くん、すごくお似合いだと思わない?
やっぱり見た目も中身もつり合う者同士が良いのよ!」
「あー、まあ、そうかもだけど……」
「……私は略奪はいやだなあ。芸能人とかよくあるけど……」
「私もムリ。高校の時、略奪されたことあるし」
「本当に愛し合うべき二人には仕方のないことよ!
お互いにたまたま出会うタイミングが遅かっただけ!
今の彼女には可哀想だけどね。
で、乾くんの彼女って、可愛いの?」
「……見たことないから知らない。
でも噂ではめっちゃ可愛いって」
「そうそう!すごく仲が良いって聞いたよ」
「……そう。ま、どっちでも良いわ。
とりあえず話掛けてくる」
「ええっ!?今?ちょっと!レイナ!」
「あーあ、行っちゃった……。
あのイケメングループに話掛けたら、
めちゃくちゃ氷対応されるよーって言おうと思ったんだけどー」
「それ、入学式直後から有名だもんね。
レイナは大学まともに通い出したのは先週からだから知らないか……」
「ま、お手並み拝見しよ!」
「ふふっ。だね!」
可奈と唯は、
意気揚々と流青達のテーブルに近寄って行くレイナの後ろ姿を見ていた。
多分、玉砕するだろうと思いながら。




