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日常編 家族

今回は初の割り込みです。わかりにくくなってしまい、申し訳ありません。

もしかしたら、この様なことがまたあるかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。



今回のお話は、いままで少なかった、家族との接触を描いてみました。そして、簡単な人物紹介もありますので、出来れば飛ばさずに読んでください。



日常偏 家族




どうも!こちらの家族ともうまくやってます!愛佳ことトア。いや、トアこと愛佳_____




......あれ?




初っぱなから失礼しました。気を取り直して、まずは私の家族を紹介しましょう!



母上 リーナ・アルバート

性格は穏やかだが、頭がよい。貴族向きな性格。髪の色は金髪でスタイルもよい。(もちろん顔も整っている。)瞳の色は、常磐色(ときわいろ)で、肌が白く、まさに憧れの女性。少しお茶目なところがある。

樹海の女神(グリーン・ヴィーナス)』と言う二つ名を持っている。



父上 マッド・アルバート

アルバート男爵家当主。元平民で、母上が魔物に襲われたところを助けたことで、お互いに一目惚れ。結婚したことで、貴族となった。今は当主として、地を治めている。高身長で、図体(図体)が良い。剣の腕は良いが、魔法はそこそこ.....(運動神経◎)

貴族独特の、回り酷い(まわりくどい)言い方と計算が苦手で、苦労しているらしい。因みに、私の剣の腕がよかったのは、この人の子供だからと言う理由で、皆納得しているらしい。(実は親バカらしい。)



次女 ノア・アルバート

トアの姉で、その上にも姉がいる。お転婆娘で、魔法の練習ではよく失敗し、物を壊したりする常習犯。トアが生まれたときは3歳だった。周りからは、『お転婆天使』と呼ばれている。

トアが初めての弟という事で、とても喜いたらしい。実は最近、ブラコンと言うことが発覚した。


長女 ミア・アルバート

トアが生まれた当時は7歳。母上譲りのシルクのような金髪と美貌のため、『シルキープリンセス』と呼ばれている。ちょっとドジなところがある。雰囲気や言動が大人びている。

全てが母上と瓜二つである。トアが生まれたため、次期領主でなくなり、実は安心している。


クララ・サンクティタース トアの専属メイド

トアが生まれたときに専属となった。見た目は10代位だが、エルフなのでもっと年上。声も高く、街では、よく冒険者にケンカを売られる。動きが速く、魔法も剣も上手いので、煽り文句を言い終わる前に、相手を伸ばしてしまう。身の回りの世話だけでなく、文官や、武官の仕事などもできる万能メイドだ。


____________________________________________


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_______________________








時を遡り、私が3歳になった頃。私はやっと、文字を教えてもらえるようになり、本を手にいれることが出来た。

それまでは、しつこい程「教えて!教えて!」と、いろんな人にせがんでいたが、なかなか教えて貰えず、許可を貰えたときは、とても嬉しかった。

それからと言うもの、貰ったペンや本や、紙で、どんどん勉強していった。

前世の影響で、勉強方法には自信のある私は、学校で、6年掛けて習う内容を、一年ほどで覚え、辺りを驚かせていた4歳頃。

大半は前世で言えば、中2、3年の内容だったため、地理や歴史以外は、読まなくともある程度は出来た。


子供向けの本を読み漁ってしまった私は、少し難しい本を読み始める。

勿論直ぐに読み終わってしまい、専門の道に行った人がやっと知っている内容や、学校で科を選んだ人しか知らないことまで覚えてしまった。

最も、3、4歳で勉強に興味を持つのは普通ではなく、半分呆れられていたのだが。


数学では、「この計算の仕方よりもっと簡単なのがあるのに。」と、思うものが幾つかあり、母上や父上に提案してみた。

案の定驚かれたが、その時父上が、何か企んだ顔をしたのを、私は見逃さなかった。



そして後日、父上に呼び出されたので(嫌な予感はしたが。)執務室に行くと、山積みになった書類を指して、


「ちょっと、手伝ってくれ。」

とのこと。予想道理だ。当主がこんなのでいいのか?と思ったが、前々から、領主の仕事は何をするのか気になっていたので、直ぐにOKする。


書類の内容は様々だったが、私が頼まれたのは、一番量が多い、お金の流れが細かく乗っている報告書。

どうやら計算が面倒くさくって、後回しにした結果らしい。

呆れながらも、頼まれた書類にすらすら数字を書いていく。

山積みになっていた書類も、みるみる減って行き.....


「_____はぁー。終わったーー。」


無事に書き終わり、ソファにもたれ掛かる。

父上に確認してもらっている間、酷き使って、痛くなった手首や、ずっと座っていて痺れた腰を伸ばしていた。すると.....


_____ドンッ。


急に父上が机を叩いて立ち上がった。

驚いて父上の方を見ると、


「我が息子は天才だ!神に愛されているのだ!!」

とか、意味のわからないことを叫んだ。音に驚き駆けつけた母上達や、後ろに控えていたクララさんも、これにはあきれる始末。

これが、父上の親バカが発覚した瞬間だった。


父上親バカ事件以降、父上は、母上に怒られても懲りず、私に仕事を頼むように。終いには、城への報告書とか、他の貴族への手紙まで私に廻してきた。個人的には、こんな作業も嫌いではないが、この事が世間に広まると風評被害に会うだろう。

流石に父上も、私に全てをさせるのはいけないと分かっているようで、半分は自分で頑張って書いている。


しかし、私が書くと、早く終わるのも事実。その為、母上達もなにも言わない。

何度も言うが、個人的にもこの作業は嫌いではない為、私も文句を言うことは一つもなかった。



そんなこんなで書類づくめの日々...

と言うわけでもなく、外での運動も欠かさない。ここでも父上と一緒なのだが、剣の練習....と言うわけにもいかず、広い家の広い庭を、ただ走るだけなのだが。


そうやって汗を流し、気分転換して、また、書類仕事をする。と言う日々は続いた。愛佳としての気持ちでは、外の空気を吸うだけで十分なのだが、ここは前世とは違うし、周りは私を男の子として認知しているので、4歳の男の子らしく....って、私まだ4歳だったの_____ドンッ。


急に父上が机を叩いて立ち上がった。

驚いて父上の方を見ると、


「我が息子は天才だ!神に愛されているのだ!!」

とか、意味のわからないことを叫んだ。音に驚き駆けつけた母上達や、後ろに控えていたクララさんも、これにはあきれる始末。

これが、父上の親バカが発覚した瞬間だった。


父上親バカ事件以降、父上は、母上に怒られても懲りず、私に仕事を頼むように。終いには、城への報告書とか、他の貴族への手紙まで私に廻してきた。個人的には、こんな作業も嫌いではないが、この事が世間に広まると風評被害に会うだろう。

流石に父上も、私に全てをさせるのはいけないと分かっているようで、半分は自分で頑張って書いている。


しかし、私が書くと、早く終わるのも事実。その為、母上達もなにも言わない。

何度も言うが、個人的にもこの作業は嫌いではない為、私も文句を言うことは一つもなかった。



そんなこんなで書類づくめの日々...

と言うわけでもなく、外での運動も欠かさない。ここでも父上と一緒なのだが、剣の練習....と言うわけにもいかず、広い家の広い庭を、ただ走るだけなのだが。


そうやって汗を流し、気分転換して、また、書類仕事をする。と言う日々は続いた。愛佳としての気持ちでは、外の空気を吸うだけで十分なのだが、ここは前世とは違うし、周りは私を男の子として認知しているので、4歳の男の子らしく..って、私まだ4歳だったの忘れてた。ヤベッ。







時が変わり、5歳後半に差し掛かった頃。私が父上に、計算の仕方を教えていたこともあり、一人で仕事が出来るようになっていた。その為私は、姉上達との時間が増えていった。

このときにはノア姉上は8歳、ミア姉上は12歳さいになっていた。ノア姉上は、相変わらずお転婆で、一緒に本を読んだり人形で遊んだりしていたが、一方のミア姉上は思春期に入り、あまり遊んでくれなくなっていた。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




この日はミア姉上の、お茶会の練習の為、家族全員で集まり、お茶会(仮)を開いた。

ディナー(夕食)のときのように、ミア姉上と呼んでは意味がないので、ミア様・殿と呼ばなければならならい。

お辞儀だとか、言葉遣いだとか、色んなことを母上にレクチャーしてもらって、部屋に入るところからスタートする。

今回はミア姉上が主催者(ホスト)で、ゲストの私達は、ミア姉上よりも位の上の貴族と言う設定だ。



「ようこそいらっしゃいました。アルバート男爵家の皆様。私は、ミア・アルバートと申します。本日は、私のお茶会へお越しくださり,ありがとう存じます。では、早速会場へ案内いたします。」


出だしは順調だ。ミア姉上は、後ろに控えている女の人に目配せして、私たちを案内させる。

会場に着いた私達は、案内された席につく。そして、支給係の人達がタイミングを見計らい、紅茶と茶菓子を出す。


「こちらはこの領で取れた巨峰を使った紅茶です。そしてこちらは....」

この言葉で、お茶会が始まる。

先ずは、出された紅茶と茶菓子の説明を

した。

こちらの大陸はイタリアのような、夏には乾燥し、冬はよく雨が降る気候なので、巨峰がよく採れるのだ。


この後の会話は、腹の探り合いばかりの、気の休まない時間となる。

これが本番なら、とてもストレスがたまって、倒れてしまうだろう。


「そういえばミア殿、たしか三年後には成人すると伺ったのだが、そろそろパートナーは見つかりましたかな?」


おぉ、父上らしい、ストレートな質問だ。まぁ、まだ貴族の会話に慣れていない私にとっては、分かりやすくていいんだけどね。


「え、えぇっと....」


「もしよろしければ、うちの息子なんてどうでしょう。」


これは、貴族の会話で聞くフレーズ第一位だろう。初対面でもこれを聞けるのは、恐らく貴族だけだろう。


「えぇ、トア様はとても良いお方と存じますが、私には勿体無い方です。」


いやいや、それはこっちの台詞(セリフ)だよ!って言いたいけど、並んでみたら、お伽噺(おとぎばなし)のお姫様と王子様かっ!って思う位釣り合っているんだよね。本当にこれが自分なのか。て思うし、この世界の顔偏差値高過ぎてビックリするよね。


「いえいえ、ミア殿はとてもお美しい。それにどんなことにも優れておいでです。」


「そんなに褒められると照れますよ。そう言えばトア様は、剣の腕が良いとか。」


うまく話を変えることに成功したようだ。しかし私は、ここにいる皆が失念していた。父上が親バカだと言うことを。


「そうなのですよ!私の息子はそれはもう強くて、剣だけでなく魔法も!魔法も素晴らしいのです!頭もいいですし、心は海のように広くてですね____」


これには、誰もが頬をヒクつかせ、或いはその勢いに引いている人もいた。ただ一人だけは、笑顔で頷いていたのだが。


「何度も言いますが剣の動きが別格でしてね。

まぁ、私には劣りますがな。ガッハッハッハー....あれ?皆、どうしたのだ?」


「旦那様。今更ですか?」


「あ、あの、父上。皆様の前でそれは、とても恥ずかしいのですが...。それに私は、そんなすごい人ではありませんよ。」

私は反論した。別に、いい人ぶっている訳ではないのだが、本当にそんな完璧な人ではないと思ったからだ。


「皆!聞いたであろう!まだ六歳であるのに、謙虚さまで持っているのだ!!」


しまった...。火に油を注いでしまった。今日はなるべく黙っていよう。そう誓った直後、ノア姉上が言った言葉は、余計に油を注ぐ結果となってしまった。


「父上の言う通り、トア君は完璧でかっこよくて、自慢の弟です!」



....面倒臭くなってきたよこれ。親バカの父上にブラコンの姉上....地獄だ。う~ん、頭痛い。


ブラコン姉上と親バカ父上は、どうやら私の話に夢中で、周りが頭を抱えている事に気が付いていない。


「あのー、盛り上がっているところ悪いのですが、そろそろお開きにしましょう。」


ミア姉上ナイス!!

私は、全身に入っていた力を抜いた。


しかし私はこの時、本当の地獄が待っていることを知らなかった。







この後ミア姉上は、母上と反省会をした。


「やっと終わったー。」


私は地獄のお茶会が終わってから、自分の部屋のベッドに寝転がり、リラックスしていた。


コン コン コン。


瞼が重く感じ始めていたとき。

ドアをノックされたので、開けてみると其処には、今までに見たことの無い、キラキラした笑顔で立っているノア姉上が居た。


「どうしたので___!?」


用事を聞こうと、言葉を言い掛けた所で手を引っ張られ、何処かへ連れていかれる。

ノア姉上の辞書には、『行儀』の文字が無いらしい。


家は広く、ドアの数なんて数え切れない程ある。

転生して直ぐはよく迷っていたが、今ではそんな事は無い。

なので、連れていかれる所の予想は着くわけで。


「もしかして____ッ。」


予想的中。因みに予想と言うのは、父上の執務室だ。

今までの流れからして、悪い予感しかしない。


「父上。トア君を連れてきたよ!入っても良い?」


「うむ。」


一体、何をされるのだろうか。


「二人とも、そこに座ってくれ。」


私達は、待っていたぞ。と、案内されたソファに座る。

二人とも眩しいくらいの笑みを浮かべている。いつもならなんとも思わないこの笑顔も、今に限っては恐怖でしかない。


「ち、父上。わた..じゃなくて、俺にご用とは何ですか?」


危なかった。そう思っていると父上は、ニコニコしながら近づいてくる。

諦めた私は、入っていた力を抜き、父上をじっと見つめる。


「_____トアっ!ほんとにお前は自慢の息子だ!」


「へ?______ぐはっ!」


父上は急に大声をあげたと思えば、ソファに座っている私に抱きついた。

姉上はと言うと、「あ、ずるーい!」

と言って、同じように抱きついてきた。

興奮しているのか父上は、私に抱きつけている腕の力加減が、出来ていない。

中身は女子中学生で、思春期真っ只中の私にはとても耐え難い。


バシバシバシ!


「父上!父上!ぐるじいでずっ!」


「あ、あぁ。すまない....。」


私の声で我に返り、素直に手を離してくれる。


「はぁ、でも父上、急にどうしたんですか?」


「トア君は、かっこよくて天才で完璧だから、頼み事をしたいんだって。」


「コクッ、コクッ。」


私の質問に、父上でなくノア姉上が答えた。

その父上はと言うと、先程ので少し反省したのか、ソファに座って、大人しく頷くだけをしている。


「で、その他の見事とは?」


よくぞ、聞いてくれた!と言わんばかりの表情で、父上が立ち上がる。


「俺がトアに頼みたいと言うのはな....」


「ゴクリ。」


「ノアの先生になってほしい。」


「俺が?」


「そうだ、何せトアは、頭()良いからな。」


何故か「も」を強調した父上だが、その顔は至って真面目だ。


「と、トア君と一緒にお勉強出来るなら、別に、逃げたりとかしないからね。」


「お、言ったな。有言実行しろよ。」


「はーい...。」


つまらなそうに返事をしたノア姉上は、「用事があるから。」と言って、逃げるように部屋を出ていった。


「トア。」


「はい、父上。」


「これから、ノアに教えてほしい内容を言う。________」


父上から聞いた内容はこうだ。

・魔法、魔力の操作。

・学園の入試に向け、出そうな所。練習問題。

・礼儀、作法、言葉遣い。

以上。


「父上、『礼儀、作法、』って、俺男ですけど、母上の方が良いんじゃないですか?」


「あぁ、もちろんリーナにも教えてもらうが、社交界に出れば、異性と接することが多くなるだろう。」


「つまり、実際に相手がいた方が分かりやすいと言うことですね。」


「あぁ、そう言うことだ。」


自分だけなら不安だったが、母上も一緒にするという事で、安堵する。

今回頼まれた3つは、それぞれ別の日にするとのこと。

勿論どれも、一日だけ先生になる訳ではない。





自室に戻った私は、机に向かって明日から始まる、「即席授業」の準備をしていた。


(授業かぁ。皆、何してるかな...。)


ふと、前世のクラスメイトを思い出す。

浮かんでくるのは嫌な思い出ばかりだが、それらがなければ、今の自分は人に嫌われるような、自己中心的な性格になっていただろう。


なんだかんだ自分のためになってくれていた人達に感謝し、紙に問題などを書いていく。


「よし、終わった。」


全て書き終わった所でお風呂に入り寝巻きに着替える。そして、ソファに寄りかかって、一休憩する。


(あ、日記忘れてた。)


私は、こっち(異世界)で、3歳になった頃、両親に貰ったノートに日記を書くことが日課となっている。

この日記は、誰にみられても内容がわからないように、日本語で書いている。

これは、日本語を忘れないためでもあるのだが、自室では同目的で、日本語で話すようにもしている。(慣れるために、一人称は『俺』。)

この世界では、世界を救った勇者の影響で、転生者・移転者は勿論、日本人と言う存在は崇められる存在である。

只、私がこの事を知るのは、まだ先の話。


「はぁ、疲れた....。」


今日は本当に疲れた。父上の親バカと、ノア姉上のブラコンが発覚し、お茶会の練習や、その後の父上の執務室で、散々褒められ、それに加え、ついさっきまで字を長時間書いていたこともあり、手首が痛い。


今日は早めに寝よう。そう言って、ベッドに座り、欠伸(あくび)をする。同時に重くなってきた瞼に気付き、それに身を任せるように目を瞑り、やがて、意識を手離した。


_____________________

__________________

______________

___________








_______数日後。


小鳥の歌と、春風が心地よい朝。

今日はノア姉上の、礼儀、作法のレッスンなので、広いホールで、私と母上(教師)の二人が、ノア姉上(生徒)

を待っているのだが、一向に来ない。


「母上、ちょっと様子を「いえ、私がいくわ。」


そう言って、母上がホール(教室)

出ていった。

恐らく、同姓の方が万が一の時にも安心なのだろう。


「はぁ、何で私、男の子に転生してしまったんだろう。」

思わず一人称が「私」になってしまったが、後ろに控えているクララさん達に聞こえないように呟く。

時々、女性としての感情と、男性としての感情が、食い違うときがあり、苦労しているのだが。


「ごめんなさい。色々あって。」


貴族の女性の色々とは、ほぼ全てが、身だしなみ

に関係のあることだ。きっと、ドレス選びに時間が掛かったのだろう。男爵家といってもうちは結構財力とかある方だから、そう言うのは沢山あるんだよね。母上が元々貴族だったこともあるし。

そんな事を考えながら、顔を上げた瞬間。


_____ドクンッ

息が詰まって、胸が苦しくなった。

これは、男性と女性の感情が食い違った時にいつも起こる。先程、「苦労している」と言ったのは

このせいだ。


「え、えぇっと、何処か変かな...?」


「い、いや、そんなんじゃなくって...」


私が何も言わず、俯いているのを悪い方に勘違いしたらしい。

これに気づいた私は、息が詰まった事を、うまく利用する。


「姉上が余りにもお美しいので、言葉が出なかったのです。」


「ふぇっ!?」


ノア姉上は、顔を赤らめ、体をくねくねさせている。


「あら、トアはいつの間に女性を口説くなんて覚えたのかしら。」


「え?口説く...?」


少しして、私ははっとした。

中身は女子なので、ただ、誤魔化すための口実で、姉妹同士でからかっているような感じだったが、これが弟姉の会話でなければ、口説いて見えて当然だ。

自分で言うのもなんだが、お伽噺に出てくる、王子のような少年と、「天使」と呼ばれる少女は、隣に立っているだけで様になるだろう。

たまに、ふと鏡をみると「へ?..誰?これ。」

って時あるくらいだもん。


「自覚がないのね....。まぁいいわ。3人揃ったことだし、早速始めましょう。

先ず、座学が先ね。基本から行くわよ。」


何故か私も生徒となっているのだが、折角なので学ばせてもらうことにした。


「パーティー等で、爵位の下の者が、上の者より先に挨拶をするのは正解でしょうか?」


「はーい!間違いだと思いまーす!」


「ピンポーン、正解よ。では次の質問。今のノアの喋り方等で、間違っているところはどこでしょう?」


あ、間違っている前提なんだ。まぁ、思い当たる節はあるんだけどね。


「え?母上。自分からじゃ見えないよ~。」


認めちゃうのね、そこ。


「あぁ、確かにそうね。じゃあ、そのままじっとしてて。」


すると、母上の手元と、姉上の周りが白く光る。

母上が姉上の前に手をかざし、スキャンするように、下から上へ手を動かすと、母上の目の前に、そっくりそのままの姉上の姿が、写し出される。


「え?母上!母上!それどうやったの?」


「その話はまた後で。今は、お勉強の時間よ。」


姉上は、勉強と聞いて顔をしかめる。どうしても嫌いなようだ。


「姉上、俺も頑張るから、姉上も一緒に頑張ろう?」


「うん!頑張る!」


「あらあら、飼い慣らされてるみたいね。」


ノア姉上には見えなかったみたいだが、私は、舌をペロッとだし、母上はそれを見てクスクスと笑う。

その後、いくつかの問題に答えたところで、実技に入る。


先ずは、エスコートの練習だ。最初は母上と私でお手本を示す。そしてそのあと、私と姉上で練習をする。そこに母上の修正が入り、それを踏まえてもう一度する。他のものも同じだ。


ダンスの過程で、手を腰に回すところがあるのだが、毎度恥ずかしそうにしたり、体をビクッとさせたりしていた。

正直、罪悪感みたいなものが沸いてくるのでやめてほしい。

その後は、箱の開け方、座り方、会話中の仕草など、細かいところの練習をして、今日の授業は終わった。


「姉上、今日、とてもきれいだったよ。次も頑張ろうね!」


「うん!トア君と一緒なら頑張れる!」


ここ最近、私は、ノア姉上のブラコンを逆手にとって、 勉強をやめてしまわないように、声を掛けている。


ノア姉上がホールを出た後、私は母上にしか出来ない話をした。


「母上。母上は、私にこうなってほしいとかありますか?」


「どうしたの、急に、それに、私なんて言っちゃって。」


どうやら、素が出ていたようだ。


「先程までのレッスンを引きずっていたようです。それと、少し気になって。」


「うーん、そうね、勿論優しい人になってほしいし、常識をもった行動をしてほしいけど、トアの人生はあなたが好きなように、楽しい人生を送ってほしいわ。次期領主という運命には逆らえないかもしれないけどね。」


「そうですか、安心しました。ところで、逆らえない「かもしれない」と言うのは。」


「うふふ。トアは賢いから、出世して、徐爵されちゃうかも、なんて。」


「ふふっ、それじゃあ母上は、どちらが嬉しいですか?」


「そんなのどちらでも良いに決まってるじゃない。トアの人生なんだから、トアがしたいことをすれば良いの。それにまだ子供なんだから、そんな事気にしなくて良いの。わかった?」


「はい、母上。大好きですっ!」


私はこの日を境に、「はっちゃける」ようになった。


いかがでしたでしょうか。

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