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第09話 夢(1)

「どうだったかしら、人間になった夢の経験は?」


 目を覚ますと、見慣れた女王が横にいた。

 景色も一変しており、人間界ではなく妖精界だとわかる。


 帰ってきたのか……いや。


「ぜんぶ、夢だったんですか、女王?」


「そうよ、いい経験ができたでしょう?」


 ひどい、あんまりだ!

 せっかく人間になれた、人間としてこれから頑張ろうと思ったところだったのに!!


「なにを怒っているのかしら、最初にいったでしょう。夢を見なさいって」


「おれの見たい夢はあんなに苦しいものばかりじゃない!!」


「そうよ、夢だって苦しいものはあるもの」


「なにが言いたいんです?」


 おれの怒りは収らない。

 槍か矛でもあれば、女王に襲いかかっていたかもしれない。


「リコスちゃんいってたじゃない。夢には『喜』『怒』『哀』『楽』があるって」


「言いましたね」


「あなたが選んで妖精力を高めようとしていた夢って、『喜』と『楽』ばかりだったのよね。偏った取り込み方をしていたら成長が思ったほど伸びないのも当然じゃないかしら?」


「それでおれに『怒』と『哀』が主軸の夢を見せたってことですか……」


「あれが夢になるのか現実になるのかは、リコスちゃん次第よ」


「どういう意味ですか?」


 女王は、右手に杖を持ち、頭に冠を被り、首飾りを胸元にぶら下げて立ち上がった。

 おれも立つように手で合図を送ったので、素直に立つ。


「単刀直入に訊きます。リコスちゃん、あなたは女王になる気はある?」


「は?」


 なにを言われたのかおれには理解できなかった。


 おれが、女王だって?

 おれが女王? はっ? えっ? 男だぞ……。

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