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【改元記念】令和初日に宇宙人が来訪してきて、俺を指名してきた件

作者: 長音燈

「3、2、1、0!!!」


今、この瞬間に平成は終わり、新たな時代令和を迎えた。

その迎え方は様々だ。

飲み会をしながら迎える者、友達と電話をしながら迎える者、ジャンプしながら迎える者、などなど。


さて、彼、平和明成へいわあきなりはどのように迎えたのかと言えば……。



寝ていた。



改元がなければただの晦日みそか

改元ブームに乗っかることもなく、連休中にも関わらず明日から始まる仕事に向けて寝ていたのだ。

折角、『平成』と『昭和』の文字が自身の名前にあるにも関わらず、だ。

つまらん男である。


そんなつまらん男もこれから起こることには驚きを禁じ得ないだろうと思っていたのだが、そうもいかないようだ。


×××


『緊急速報が入ってきました!東京上空に未確認飛行物体出現、東京上空に未確認飛行物体出現!周囲30キロに住む方は避難してください!繰り返します!とうk……。』

「あー、UFOね。そんなの来ても仕事はなくならねぇからなぁ」


新元号初日にUFOが出現、世間は大騒ぎするが私には関係なし。

ブラック企業は何があっても休めないのである。

さて、仕事の準備をせねば。


ピロリロリロ、ピロリロリロ♪


こんな忙しい朝に携帯着信ねぇ。しかも職場からか。

なんかまた仕事だろうなぁ。


『あ、平和くん!君、早くUFOの出現場所にいってくれ!』

「はい?」

『つべこべ言わずに早く行くんだ!これは政府からの要望だ!

既に君の自宅に車が到着している!』

「は、はいぃー!とりあえず行きますー!」


なんだかよく分からないが、政府からの要望なので行かないわけにもいかない。行ってくる。

ん、車がいるとは?




その頃、テレビ放送では、このようなことを放送していたそうだ。

『速報です!政府が未確認飛行物体とのコンタクトに成功したようです!彼らは戦争をしに来たのではないということ、そして、「ヘイワアキナリ」という名の人物の要求をしているということの様です!』


×××


「平和さん、急にお呼び立てして申し訳ありません。私、防衛省の日本源三ひのもとげんぞうと申します」

「は、はぁ」


なかなかのコワモテだなぁ。なに、私やらかした?


「テレビ映像はご覧になられていませんか?」

「いえ、時間がなかったので……、すみません」

「いえ、いいんですよ。端的に説明すると、UFOが来て、あなたを連れてくることを要求しています」


うん、意味不明すぎる。

ただ、やらかした訳では無さそうだ。


「あの、全然意味が分からないんですけど」

「残念ながら、私も全然わかりません。申し訳ないです。私に今できるのはあなたを安全に送り届けることです」

「お手数お掛けします」

「いえ、任務ですので。私も令和初日にこんなことになるとは思いませんでした」

「ですよね」


今の状況はさっぱりわからんが、私が世界を救う鍵になるようだ。

こんなはずじゃなかった。


×××


車は、新宿御苑に到着した。

ドアを開けて見えたのは……。


「うわぁ、デケェ」

新宿御苑をすっぽり覆ってしまうほどの大きさの円盤。

しかも浮いている。


「日本と申します。リヒテンテッド星王陛下。要求された者を連れて参りました」


日本さんが、UFOに向かって呼び掛ける。

ただ、こんな距離じゃ届くはずがないし、そもそもどうやって返事が返ってくるのだろうと思う。


『そなたが、「ヘイワアキナリ」か。私は、ナルハシア星星王のリヒテンテッドである。そなたをこの船にお招きしたい。もちろん、彼を連れてきてもいい』


返答方法はまさかのテレパシーである。

ただ、このような状況でホイホイついていくのは日本さんがいても結構怖い。

そもそも日本さんは何者なのかも分からないしな。


「平和さん、何かありましたか」


日本さんが、私の困惑したような表情を見て話しかけてきた。


「あぁ、そのリヒテンテッド星王陛下が、私を船にお招きしたいと申しておりまして…。日本さんも同行して良いそうです」

「本当ですか!?指令本部に確認を取ります。本部の確認がとれ次第先方に返答しましょう」

「は、はい」


何だかんだ、日本さんすごい。

あ、そういえば仕事どうしよう。まぁ、会社が呼び出してきたんだし臨時有給扱いにでもしてくれると信じている。


×××


所変わって、宇宙船内。

先程の話のあとすぐに本部に確認がとれたらしく、スムーズに船内へと誘導された。

ちなみに、船内への移動手段は光っぽいのに包まれたら一瞬で船内にいたのでよくわからない。


「突然お呼び立てして申し訳ない。私がリヒテンテッドだ」

「お初にお目にかかります、リヒテンテッド星王陛下。私が平和昭成です」


普通に人間っぽい見た目なんだな、宇宙人って。


「そなたに頼みがある。我が星の産業はピンチだ。そなたの社畜っぷりを見込んで、我が星の産業を救ってくれ!」

「は、はいぃ!?」


突然の頼み。しかも深々とお辞儀。


「突然言われましても……、私に何ができると……?」

「産業の動かし方を教えてほしい!もちろん地球上での仕事には支障が出ないように影武者を用意するし、待遇に関してはなんなりと申してくれ!」


うーん、少し不安が残るなぁ。

あのブラック企業から逃れられるとなると魅力的だが……。

そう考えていると日本さんが話しかけてきた。


「平和さん、先程確認しましたが私もついていっていいそうです。もしものことがあれば私がお守りします」


うん、日本さんがつけば安全だな。


「分かりました。受けましょう」

「そうか、ありがとう!!では、これからよろしく頼む!!」


こんなに喜んでもらえると嬉しいものだ。


×××


その後、私はナルハシア星の産業建て直しに尽力した。

私にはこの仕事が向いていたようで、たった一年ちょっとで産業の建て直しに成功し、令和2年に地球へと帰還した。

UFO問題は政府が穏便に済ませたようだが、その後も少しはネット上で憶測が飛び交っていたらしい。

帰還後、私はあのブラック企業をやめ、新たに投資会社を起業した。業績はうなぎ登りだ。

やはり、人間やってみないと分からないものはあるようだ。

令和の初日に起こった大事件は私に新たな人生の過ごし方を教えてくれた。

ギリギリ間に合ったー!!

お久しぶりです、長音燈です。

人生初のSF(?)に挑戦しました。

令和の新時代もよろしくお願いします!

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